台湾東部には、花蓮や太魯閣、台東など、人気の観光スポットがたくさんあります。自然の景観が美しいことで名高く、特に花蓮と台東を結ぶ幹線道路「台11線」から太平洋を眺める海岸沿いの景色は、台湾の中でも最も美しいと称されています。今回は、50年以上の歴史があるレトロな観光列車「藍皮解憂號」に乗って、車窓から東海岸の景色を楽しむ旅をご紹介します。
運行終了した「普快車」が観光列車として蘇った
2020年に運行を終了した台湾鉄道南廻線の「普快車」が2021年10月23日から観光列車 「藍皮解憂號」として運転を再開しました。台湾鉄道の観光列車は、鉄道での観光旅行を推進する為に、2001年から民間の旅行社などが請負い、経営しています。この観光列車「藍皮解憂號」は、台湾南部屏東の枋寮駅と台東駅間を一日一往復しています。記念切符、弁当などが付いて、片道599台湾ドル、往復1,099台湾ドルです。
記念切符やマスクなどのセットと切符受け取り時にもらえるウェルカムドリンク
「枋寮」駅を背にして左側に2~3分ほど歩くと見えてくる
「藍皮解憂號」に乗るには、まず始発駅である「枋寮」駅へ向かいます。「枋寮」駅を降りて徒歩2~3分ほどの場所に「藍皮意象館」があります。ここでは「藍皮解憂號」の切符の受け取りを行っているほか、記念品の販売、資料の展示などがされています。
「藍皮解憂號」オリジナルグッズもここで購入できる
地域特産品の展示と販売コーナー
「枋寮」駅構内には、特産のレンブの形をした椅子が置かれている
出発駅の「枋寮」は、台湾で一番南に位置する駅で、駅を出れば台湾海峡を望むことができます。「枋寮」は、マンゴーやレンブの産地として知られていますが、漁港があり、新鮮な魚介類が水揚げされることから、海鮮料理も「枋寮」の名物料理です。
新鮮な海鮮がたくさん入った「飯湯(60~70台湾ドル)」は朝ごはんにもおすすめ
「枋寮」の街で見かける海鮮入りの「飯湯」は魚、エビや牡蠣、野菜などを炒めた後、スープで煮たものをご飯の上にかけて食べるもので、南部特有の料理です。漁を終えた後の朝食として、早朝から営業している店もあります。お時間があれば海鮮料理も是非味わってみてくださいね。
記念品を展示販売している車両もある
専門家による調査、研究を経て整備が行われた「藍皮解憂號」は、列車を新しくする、改善するのではなく、もとの姿に再現することを重視した列車です。つまり、本来の列車の旅を楽しむことができるのです。
台湾鉄道で空調がなく、窓が開けられる唯一の列車です。窓からの自然の風を感じながら、風景を眺めると、まるで昔にタイムトリップしたかのようです。
列車走行中に思わず身を乗り出して写真を撮りたくなる風景がありますが、くれぐれも手や顔を窓の外に出さないように気をつけてくださいね!
安くておいしいと人気の駅弁「台鐵便當」。ポークリブ弁当「排骨便當」とフルーツまたはベジタリアン弁当「素食」とフルーツのどちらかを選べる
そして、列車の旅と言えばお弁当ですよね。このようなレトロな雰囲気の中でいただくお弁当は味も格別です。
列車内ではガイドによる中国語での解説がありますが、途中トンネルに入ると明かりを消して、昔のトンネルの中の様子を再現するなどの演出もあり、鉄道ファンのみならず、多くの人を引き付けています。
車窓から眺められる海岸沿いの景色
「太麻里」駅近くの人気スポット
枋寮駅から台東駅の区間では、途中「加祿」駅、「大武山」駅に停車し8~10分ほどプラットフォームに下車し、解説を聞き、写真を撮る時間が設けられているほか、「太麻里」駅では、40分ほどの時間が設けられ、徒歩で駅近くのスポットへ向かうミニツアーもあります。太麻里駅を降りてガイドと数分歩き、日本の江ノ島電鉄の踏切の景色に似ている場所へ向かいます。この人気スポットで写真を撮り、また徒歩で駅へ戻るというものです。ミニツアーでの風景も楽しんでください!
車窓からの美しい風景
かつて16世紀にポルトガル人が台湾東部を航海していた際に、その美しい自然の景色を見て、「IIha Formosa イラ フォルモサ(美しい、麗しい島)」と感嘆したことから、台湾は「フォルモサ」と呼ばれるようになったと言われています。「藍皮解憂號」に乗って、台湾が誇る東海岸の美しい景色を是非楽しんでみてくださいね!
※観光列車「藍皮解憂號」の切符は、台湾の旅行社「雄獅旅遊(ライオントラベル)」でのみ予約販売を行っています。
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