近年、若い世代を中心として急速に人気が高まっている東ロンドンのウォルサムストウ(Walthamstow)。かつての東ロンドンといえば、ちょっと怖いかも、というのが定番のイメージでしたが、街の整備や宅地開発も進み、多くの人が移り住んできたウォルサムストウは、今や活気にあふれた「暮らすのにおすすめの街」のひとつとなりました。カルチャーイベントが多く開催されていることや、外食や飲みに行くのにも便利なことなども住人の声として聞こえています。
駅前のバス・ターミナル。左手にはタウン・スクエア
ウォルサムストウ・セントラル駅は、地下鉄ヴィクトリア線の終点駅で、ロンドンの地下鉄・鉄道運賃ゾーンではゾーン3に位置する駅です。地下鉄と共に、オーバーグラウンドの停車駅でもあります。ロンドン中心部にあるオックスフォード・サーカス駅、金融街シティにあるリバプール・ストリート駅から、それぞれ地下鉄とオーバーグラウンドで20分以内という立地なのも大きな魅力のひとつ。なおかつ、自然保護区であるウォルサムストウ湿地がすぐそばにあり、自然とも身近に触れ合えるという好条件なのです。
余談ですが、UK音楽に詳しい方であれば、90年代に人気を博した「イースト17(East 17)」というポップグループをご存知かもしれません。この「East 17」とは、メンバーの出身地であるウォルサムストウ地区の郵便番号、「E17」のこと。E17は「イースト・セブンティーン」と読みます。彼らのデビューアルバムも、邦題は『EAST 17』ですが、英語の原題は出身地をそのまま記した『Walthamstow』でした。地元愛満載のイースト17同様、ウォルサムストウ地区では郵便番号のE17に関連する名称が多く使用されていることにも着目してみてください。
では改めて、ウォルサムストウのおすすめをいくつかご紹介します。
1885年に始まったウォルサムストウ・マーケットは、「ヨーロッパで一番長い屋外マーケット」として知られています。地下鉄とオーバーグラウンドの駅を出ると、通りを挟んでバス・ターミナル、タウン・スクエア、その左手には「17&Central」と呼ばれるショッピングモールが視界に入ってきます。これらの北側を東西に延びているのがウォルサムストウのハイ・ストリート(繁華街)で、マーケットはハイ・ストリート上の約1キロに渡って続いています。
マーケットの屋台で売られているのは、野菜や果物、調味料、お菓子類といった食材から、洋品類やアクセサリー、かばん、おもちゃ、ぬいぐるみ、電化製品、家具類、雑貨・・・などなど、ありとあらゆるものが並んでいます。さまざまなバックグラウンドの人々が暮らすウォルサムストウのマーケットで扱われている商品も、まさに多文化!加えて、ハイストリート上にある飲食店でも、ロンドンの伝統的なパイ&マッシュやウナギのゼリー寄せ(jellied eels)から、カリブ海地域料理のカリーゴート(ヤギ肉のカレー)まで、多彩な料理が味わえます。
Walthamstow Market
High Street, Walthamstow E17 7JX
営業時間:火曜日~土曜日、午前8時~午後5時(土曜日は5時半まで)
ウォルサムストウ・セントラル駅の東側に位置するヴェストリー・ハウス・ミュージアム(Vestry House Museum)は、地元の歴史や、この地区の人々の過去の暮らしぶりなどを、写真や実際に使用されていた家財道具などとともに紹介する博物館。ウォルサムストウが属するロンドンの行政区、ウォルサム・フォレスト区によって運営されており、美しいガーデンも地元民の憩いの場となっています。
ミュージアムの南側、オーフォード・ロード(Orford Road)周辺はウォルサムストウ・ビレッジと呼ばれるエリアです。オーフォード・ロード上には「Queen's Arms」や「Eat 17」といった人気のレストランやカフェ、パブが立ち並び、食を楽しめる街、ウォルサムストウを象徴する通りとなっています。
近くには、数えきれないほどのネオンサインのコレクションを目の当たりにすることができるおすすめスポット、God's Own Junkyardもあります。倉庫街に突如出現するネオンの博物館(兼ショップ+カフェ&バー)で光の洪水を体験してみてください。
ウォルサムストウは、ビールの醸造所が多くあることでも知られています。地下鉄ヴィクトリア線の終点、ウォルサムストウ・セントラル駅の一つ手前の駅、ブラックホース・ロード駅(Blackhorse Road)のすぐ北側には、クラフトビールの醸造所群が「ブラックホース・ビア・マイル(Blackhorse Beer Mile)」として集まっており、点在する各醸造所を繋いで散策できるコースが案内されています。
倉庫街にある各醸造所では、ビールはもちろんフードも提供されており、半日または一日かけて食べ歩きを楽しむことができます。「ウォルサムストウ・ビールツアー」として、この周辺をめぐるガイドツアーを提供しているツアー会社もあるので、参加してみるのも良いかもしれません。
こちらは醸造所のひとつ、Signature Brew。バー&キッチンでのドリンクや食事はもちろんのこと、音楽のライブイベントも楽しめる地元の人気スポットです。
William Morris Gallery
Lloyd Park, Forest Road, Walthamstow, London E17 4PP
ウォルサムストウ・マーケット・エリアにあるアート作品の場所を示したマップ。日常生活の中でアートに触れられるのも嬉しいところ
また、ウォルサムストウでは、E17アート・トレイル(E17 Art Trail)というフェスティバルも行われています。このエリアの住人たちによるアート作品をE17の郵便番号区域内のギャラリーやホール、コミュニティセンター、アーティストの自宅、オンラインなどで紹介するフェスティバルです。次回は2024年6月に開催が決定しています。
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