蔵王樹氷まつりに行こう!

季節を感じる日本の旅
2023年12月15日
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国内旅行
旅行記

まるでモンスターのような白いかたまりがそびえる。それがいくつも並び、美しいけれども少し怖いような神秘的な風景が広がる。これが別名「スノーモンスター」ともいわれる樹氷である。日本でも限られた地域だけでしか見ることができない、世界的にも珍しい冬の絶景だ。

樹氷は、雪や風の中にある水の粒が樹木にぶつかって凍り、うすい氷の層を作る現象(着氷)のこと。初めのうちは木の枝や葉にでき、まるで花が咲いたようになるが、氷の隙間に多くの雪が入り込み、さらに雪がくっついて(着雪)、時間とともに成長し原型が分からなくなるほど大きく育つ。

蔵王ロープウェイ 蔵王ロープウェイ

山形県山形市にある蔵王は、全国屈指の樹氷の名所だ。かつては樹氷のある真冬の山頂付近には長い間誰も足を踏み入れることができず、樹氷の存在が全国的に知られるようになったのは大正時代に入ってからといわれる。それまでは、マタギなどによって「雪の坊」などと言い伝えられていた。昭和36年(1961年)には蔵王ロープウェイが開通。樹氷までのアクセスが簡単になっただけでなく、上空から樹氷を一望することもできるようになった。

時間をかけて成長する樹氷 時間をかけて成長する樹氷

蔵王に樹氷ができるのは、①多量の過冷却水滴と雪を運ぶシベリアからの強い季節風、②氷や雪がつきやすい常緑針葉樹アオモリトドマツが自生していること、③樹氷が埋もれない適度な積雪量という3つの条件が奇跡的に揃っているからといわれている。そして、毎年11月~12月には、アオモリトドマツが着氷と着雪で覆われはじめ、1月は着雪が盛んに起こる成長期となり、2月には、高さ5mにもおよぶ大きな樹氷に成長する。

幻想的な樹氷ライトアップ 幻想的な樹氷ライトアップ

樹氷原までは、蔵王ロープウェイで蔵王山麓駅から樹氷高原駅まで約7分、乗り継ぎをして地蔵山頂駅まで約10分。降りるとすぐに樹氷がパノラマに広がり、散策しながらその迫力を体感することができる。ウィンタースポーツを楽しむ人は、樹氷原コースで樹氷を眺めながらの滑走を楽しみたい。

蔵王ロープウェイは、スキーやスノーボードをしない人でも乗車することができるのもうれしいところ。また、夜には樹氷ライトアップ(2023年12月23日~2024年2月25日の特定日開催(合計36日間)17~21時※上り最終 蔵王山麓駅19:50発)も開催。闇の中に浮かび上がる多数の樹氷という、異世界に迷い込んだような絶景は昼間とは違った感動を与えてくれる。

「1000人松明滑走&冬のHANABI」 「1000人松明滑走&冬のHANABI」

2023年12月23日から2024年2月25日までは、「蔵王樹氷まつり2024」が開催される。これは、世界に誇る蔵王の樹氷・蔵王温泉スキー場を楽しんでほしいと、樹氷ライトアップの期間を樹氷まつり期間とし、「1000人松明滑走&冬のHANABI」(2024年2月3日、17:00~受付、20:00~松明滑走スタート、上の台ゲレンデ)などさまざまなイベントを実施。

「樹氷幻想回廊」ツアーの雪上車「ナイトクルーザー号」 「樹氷幻想回廊」ツアーの雪上車「ナイトクルーザー号」

なかでも「樹氷幻想回廊」ツアー(2023年12月23 日~2024年2月25日の特定日開催(合計36日間) 蔵王山麓駅発17:00、18:00、19:00、20:00 ※事前予約)がおすすめ。これは、暖房付きの雪上車「ナイトクルーザー号」に乗って樹氷が観賞できるツアー。樹氷原では、クルーザーから降りて、写真撮影をしたり、触れてみたり、存分に樹氷を観賞できる。

樹氷の観賞はもちろんのこと、ウィンタースポーツや花火など楽しさ満載の蔵王樹氷まつり。寒さが厳しくなるこれからの時期、ぜひこの幻想的な風景を訪ねてみたい。

※掲載の情報は変更となる場合があります。お出かけの際は公式サイトの情報をご確認ください。

協力=一般社団法人山形市観光協会 文=磯崎比呂美
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