スペインはフィエスタ(祭り)の国。日本でスペインの三大祭りに数えられているバレンシアの火祭りは、ユネスコの無形文化遺産に登録されていて、毎年国内外から多くの見物客が訪れる、一度は見たいお祭りです。どこのお祭りでもそうですが、あらかじめ楽しみ方を知っておくとより満足できるもの。ここでは火祭りを満喫するポイントをご紹介します。
毎年3月になるとお祭りプログラムが始まりますが、本番と呼べるのは16日~19日にかけての4日間。15日~16日の朝にかけて、バレンシア市全域に大小700を超える"ファヤ"(可燃性のオブジェ)が次々と完成し、19日の夜に燃やすまで飾られるのです。大きなものは高さが20m以上あり、製作費も日本円で数千万円。でもたった4、5日のはかない命なのです。
こんな美しい作品も最終日には灰になる(バレンシア市観光局 ©VisitValencia)
専門の火祭りアーティストが趣向を凝らしてつくる"ファヤ"はまさにアート!! 目の前で見ると圧倒されます。町を歩くとどこかしらの"ファヤ"があるものの、効率よくまわるために観光案内所で地図をもらい、見どころを聞いてみましょう。
キオスクでは有料の詳しい火祭りガイドを買うこともできます。大きな"ファヤ"はお金を払うと柵の中に入って見学できるので、気に入ったものがあったら入場してじっくり見るのもオススメ。いずれにせよ、かなり歩くことになるので快適な靴は必須です。
大小の"ファヤ"が集まるルサファ地区はイルミネーションも美しい(バレンシア市観光局 ©VisitValencia)
旧市街の北駅~市役所広場~中央市場周辺と、夜はイルミネーションがきれいなルサファ地区は"ファヤ"が密集しているので、短時間にいくつも見てまわることができます。
町中の"ファヤ"はどれも19日の夜に一斉に灰と化します。2023年の点火時間は子どもの小ぶりの"ファヤ"が20時から始まり、大きなものは22時(審査で1位に選ばれたものは22時半)、市役所広場が23時というスケジュールでした。ただ、消防車が来ないと燃やせないので、遅れることもあります。
人は火を見ると気分が高揚するということを実感する瞬間(バレンシア市観光局 ©VisitValencia)
いよいよクライマックスとなるとまずはその場で打ち上げ花火があがり、爆竹を使って"ファヤ"に点火。あっという間に火の手が上がります。燃え尽きる頃にはいつの間にか人も少なくなり、すべてが灰になると切ない気持ちに...。
"ファヤ"を焼くところを見るために大事なのは、あらかじめどこにするか決めておくことです。大きな"ファヤ"だと人が大勢集まるので、少なくとも30分前には着いておきたいところ。小さなものだとかなり近くで見ることができ、火の熱さに後ずさりすることでしょう。"ファヤ"がいくつもある地区だと、目的だったところの点火が遅れる場合、すぐ違うところに移動できるというメリットがあります。
マスクレタは火祭り名物。バレンシアの人は爆竹が大好きで、期間中は町中に爆竹音が響く(バレンシア市観光局 ©VisitValencia)
さて、火祭りの楽しさは"ファヤ"を見てまわることだけではありません。3月1日~19日までは毎日14時に市役所広場で"マスクレタ"と呼ばれる爆竹ショーがあり、およそ5分間鳴り響く轟音を聴くためだけに大勢の人が押し寄せます。
ぜひとも最前列で見てみたい火のパレード(バレンシア市観光局 ©VisitValencia)
15日から18日の夜中には花火大会、19日の夜早い時間には観衆にまで火の粉が飛んでくる火のパレードが催され、火祭りを盛り上げます。
民族衣装の小さな子どもはまるでお人形のよう(バレンシア市観光局 ©VisitValencia)
町中ではスペインでもっともゴージャスなバレンシアの民族衣装で着飾った人たちを大勢見かけます。気軽に写真撮影に応じてくれるので、声をかけてみましょう。17日と18日には民族衣装姿の老若男女が楽隊を引き連れて聖母広場まで献花に行くパレードがあり、両日とも夕方から夜中まで延々と続きます。とても華やかで、これは必見!!
また火祭りに合わせて例年3月12日~19日には闘牛興行も行われるので、闘牛を観てみたい方には良い機会となります。
このようにバレンシアの町中がお祭り一色に染まる火祭りは、異国の楽しい思い出として一生心に残ることでしょう。
※2024年以降のプログラムの日時・内容は変更となる場合があります。必ずWebまたは観光案内所などでご確認ください。