トラベル&ライフ2023年4-5月号の巻頭特集「釧路・帯広」では、帯広でしか見ることができないばんえい競馬を紹介した。ここでは本誌では紹介しきれなかったばんえい競馬の魅力を取り上げたい。
ばんえい競馬は、明治期に入植が始まった帯広の歴史と関わりが深い。その起源は畑を耕す農耕馬の力比べだといい、2頭の馬に丸太を結び付けて互いに引っ張り合った"ケツ引き"が始まりだと伝わる。
黒々としたたてがみに赤い花が艶やか
出走する馬は「ばん馬」と呼ばれ、フランスやベルギーの外国馬の混血で体重は約1t、体高は2mにもなる。レース前にパドックに行き、近くでばん馬を見ると、サラブレットのスマートさとは異なり、どっしりとした力強さがある。
白い髪飾りがポイント
紫の花が印象的
その体躯の良さに目を見張ったが、たてがみも目を引いた。なんと、花飾りを付けたり、編み込みをしていたりする馬もいて、その美しく整えられている姿は可愛くもあり、凛々しくもある。
本誌でもふれたが、今回初めて馬券を購入した。結果、500円で購入して払い戻しは700円。200円ではあるが、負けなかったことがうれしくて馬券を改めてよく見ると、誕生日を記念した冠レース名になっていた。
「ばんえい競馬では、個人の方でも1口1万円からレースに協賛でき、お好きな冠名をつけることができます。お誕生日や結婚記念日、還暦のお祝いなどで冠レースを開催する方が多いですね」と教えてくれたのは、ばんえい競馬広報担当の中村香代子さん。
冠レースの馬券は記念になるのはもちろん、レースを楽しみ、さらにはひょっとすると"大当たり"...なんてことも期待できて、思い出深い記念日を演出できそうだ。
子供も楽しめるふれあい動物園
ばんえい競馬が開催される帯広競馬場は、JR帯広駅から車で10分ほどの市街地にある。競馬場のほか、ポニーやウサギなどとふれあえるミニ動物園がある。
かつてばんえい競馬に出走していた馬の姿も
動物園ではレースを引退したばん馬たちにニンジンなどの餌やりができ、子供連れで賑わっている。
併設する「とかちむら」も見逃せない。ばんえい競馬を観光資源として活用して賑わいを創出する目的で2010年にオープンした施設で、十勝の魅力を発信する観光交流拠点としての役割を担っている。
その中心となるのが「産直市場」。十勝の新鮮な野菜をはじめ、畜産加工品や地元の人気ベーカリーのパン、酒、さらにはここでしか買えないオリジナル商品が並ぶ。
馬の博物館は入場無料
蹄鉄の大きさからもばん馬の大きさがうかがえる
このほか、十勝名物の豚丼や十勝産の素材にこだわったスイーツなどを楽しめるカフェや食堂が集まる「とかちむらキッチン」、十勝の開拓の歴史と馬とのかかわりを学べる「馬の博物館」もあり、1日たっぷり楽しめる。