一面に広がるブドウ畑
近年、注目されている「日本ワイン」。「日本ワイン」とは、日本国内で栽培されたブドウを100%使用して日本国内で醸造されたワインのこと。ワインへの情熱と醸造技術の発展により実現した、日本ならではの繊細な味わいは世界からの評価も高まっている。
「日本ワイン」は各地で造られているが、日本で最初にワインが造られた山梨は、長い年月をかけてワインの名産地に成長。現在は、約80もの個性あふれるワイナリーが点在し、山梨県産のブドウだけで醸造した「山梨ワイン」を生み出している。
ワインの原料となるブドウ(甲州)
山梨県でワインの原料となるブドウの栽培が行われるようになったのは、奈良時代にまで遡る。当時作られていたブドウは甲州種だけで、特に山梨の土壌や気候はその栽培に適し、より芳醇できめのこまかな味わいのブドウが実っていたといわれる。明治初期には、「文明開化はワインから」を合言葉に、有志が集まって山梨県で初めてワインを生産。日本初のワイン醸造会社「大日本山梨葡萄酒会社」が設立され、以来ブドウの生産地として名高い勝沼地区を中心に、ワインの生産が行われてきた。
毎年さまざまな種類の「山梨ワイン」が誕生している
かつては、甘口ワインが主流であったが、近年は醸造技術の発達により洗練されたワインが造られるようになり、特に日本固有の品種「甲州」から造る辛口の白ワインは、ユネスコの無形文化遺産にも登録された和食との相性も抜群。海外のワイン愛好家からも高く評価されている。
「山梨ワイン」の試飲が行える「ぶどうの丘」のワインカーブ
今年も11月3日に「山梨ヌーボー」が解禁される。ヌーボーとは新酒という意味で、「山梨ヌーボー」は今年山梨県内で収穫され、醸造された甲州(白ワイン)とマスカット・ベーリーA(赤ワイン)の新酒のことを指す。
毎年甲州市では、「山梨ヌーボー」の解禁前に「ワイン品質審査会」を開催。厳しい審査により基準を満たした銘柄だけが「ぶどうの丘推奨ワイン」として11月3日に甲州市にある「勝沼ぶどうの丘」の店頭に並ぶ。
また、「山梨ヌーボーまつり」を各地で開催(予定)。解禁日の11月3日には東京・日比谷公園で行うイベントを皮切りに、11月20日には、山梨小瀬スポーツ公園で開催される県民の日記念行事で、県内ワイナリー、60銘柄以上の新種ワインの試飲・販売が行われる。
糖度が高く凝縮感のあるブドウができたという今年は、期待が持てる年だといわれている。11月第3木曜日(2022年は11月17日)にボジョレー・ヌーヴォーが解禁されるなど、各地で新酒が解禁される秋。今年は「山梨ヌーボー」で実りの秋を祝うのもいいだろう。