アイルランドで一番大きい"妖精の森"

海外現地ライター便り
2022年09月22日
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旅行記

アイルランドといえば「妖精の国」とも言われていることをご存知ですか?
アイルランドで素晴らしい"妖精の森"と呼ばれる森が、西側メイヨー県のベリーク城の敷地内にあります。ベリーク城はとても豪華なお城で、敷地内にある妖精の森はアイルランドで1番の広さとも言われています。森探索でお腹が空いたら、お城のレストランやカフェで食事をとることもできます。ダブリンやゴールウェーなどと比べるとメイヨー県は自然の宝庫!日本の都会の喧騒から離れてファンタジー気分を味わいたい方にはぜひおすすめです。

ベリーク城と森の歴史

ベリーク城

ベリーク城は、1831年に準男爵アーサー・ノックス・ゴア(Arthur Knox Gore)卿によって建設されました。もともとノックス・ゴア家が所有していた敷地内にはベリークの森がありましたが、アーサー卿が健在のあいだに、さらに200万本もの木が植えられたそうです。このとき植えられた木々は今でもベリーク森のあちこちで生き続けています。

お城の正面入り口の前のアジサイ

お城の正面入り口の前には、アジサイの花が飾られています。アジサイは、土壌のpHバランスが崩れると綺麗に咲かないので、こちらのアジサイはきちんとお手入れされていることが分かります。

ベリーク森のモニュメント

アーサー卿は1873年に亡くなりましたが、遺言でベリーク森に埋葬されました。その場所にご子息のチャールス卿によって建てられたのが、こちらのモニュメントです。

ベリーク森は貴重な存在

ベリーク城の森

ベリーク城の森には、1700年代から段階的に数百万本の木が植えられてきました。森の公式パンフレットによれば、2001年には、6000本のオーク、4000本のブナの木、500本の栗の木がそれぞれ植えられた記録が残っています。これほど大規模に広葉樹の植樹が行われている森はアイルランドにはほぼないと言ってよいでしょう。生態系にとって広葉樹自体の希少価値がどんどん上がっているなか、この森の価値は計り知れないものがあります。

豊かな生物多様性をはぐくむ森

メッセージボード

オコンネル博士が2022年の夏に行った1回目の生物多様性の調査によると、ベリーク城の森には、93種類の植物と13種類の鳥、そして12種類のほかの動物が確認されたそうで、今後さらに増加が期待されているそうです。

森を歩いていたら、日本産の貴重な植物も発見しました。「日本の貴重な草だから勝手に刈らないで!」と英語で書かれたメッセージボードを見て、思わず立ち止まって考えてしまいました。一体誰が誰に向けて書いたメッセージなのでしょうか...。普通に散策に訪れた人は草を刈りません。

こういったサインからも察することができるように、この森の成長と歴史には、多くの人の汗の結晶が詰まっています。生涯をこの森に捧げた人もいます。それだけの価値がある森なのだということが、この記事からも伝われば嬉しいです。

地元の男性グループ「Mens Shed」の活躍

Mens Shed

男性グループ「Mens Shed」は、アイルランドのアイドルグループの名前ではありません。「Mens Shed」は、アイルランドのほとんどの市町村に必ずといっていいほど存在するグループです。女性が女友達とカフェに行ってお話したりするのが好きなように、男性も週に1回集まって、お茶を飲んだりおしゃべりをしながらDIYを楽しみます。

このベリーク森の妖精の家は、すべて地元の「Mens Shed」の男性たちによって作られたのです。パパもいれば、独身男性もおり、孫がいる年代のおじいさんも参加しています。男性の育児参加率が世界トップクラスに入るアイルランドですが、このように社会参加して活躍する男性陣がいることは頼もしく感じます。

ベリーク森の妖精の住み家

ベリーク森の妖精の住み家<

階段があるタイプの妖精の家が可愛らしいですね。まるで、実際に妖精が住んでいるかのよう。ドアだけのタイプや、丸太を利用して立体型にしたタイプなど、見ているだけで飽きることがありません。

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黄色のドアにはカタツムリとへびが描かれています。アンティーク風のお洒落な蝶番が使われており、とても凝ったデザインです。5角形の変形型の家が、とてもおしゃれですね。

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宙づりになっているタイプの妖精の家を発見したとき、娘が喜んで教えてくれました。子供はこういう奇想天外なデザインの方が喜ぶのかも知れませんね。ハートマークで埋め尽くされた黄色のドアの妖精の家がとてもキュートです。

妖精の森の中に突然現れる不思議な空間と階段

ダンジョンにでもつながりそうな階段

妖精の森を突き抜けると、突然開けた空間に辿り着きます。まるで、ダンジョンにでもつながりそうな階段を登ると、本当にお城の地下部につながるドアを発見しました。そのまま、階段を上ると、ベリーク城の正面ドアに辿り着くことができます。

アジサイの花

広い空間にアジサイの花だけが、ぽつんと咲き誇る不思議なお庭でした。この庭には、なにか物語がありそうな雰囲気が漂っています。

森散策で歩き疲れた人を癒してくれるお城のカフェ

お城のカフェ

お城の正面口を通り過ぎてまっすぐ進むと、アーチ形の門のなかに中庭カフェがあらわれます。屋根がある屋外のオープンカフェは、歩き疲れた足をいたわるのにはちょうど良い空間です。アンティーク感あふれるお城とは対照的なカフェのモダンなインテリアデザイン。

お城のカフェ

石づくりの壁が堅牢なお城を連想させます。

お城のカフェ

カプチーノとチーズケーキを注文しました。店員さんおすすめのチーズケーキは、お城カフェの一番人気だそう。サンドウィッチもあるので、軽めのランチをとるには、ちょうど良いカフェです。

ベリーク城の妖精の森(Fairy Trail in Belleek Woods)

所在地:Belleek Wood, Belleek, Ballina, Co. Mayo
入場料:無料
駐車料金:無料
アクセス:Bllinaの中心地から徒歩約20分(約1.7km)、車(タクシー)で3分(公共交通機関なし)

※掲載の情報は、変更となる場合があります。

文・写真=maroon
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