ドイツの公共交通機関が1ヶ月9ユーロで乗り放題の「9-Euro-Ticket」!何とも太っ腹なこのチケット、惜しくも2022年8月で終了してしまったのですが、ICE(新幹線)なども含むドイツ国内の列車が、どこへでも片道一律39,90ユーロで利用できる「Egal-Wohin-Ticket」が、2022年7月より登場しました(販売は2023年3月31日まで、利用は2023年12月9日まで)。近距離だとかえって高くついてしまうので、正規料金やほかの割引価格と比較して、賢く利用してくださいね。
このように、国内移動が気軽になったドイツ。せっかくなので、大都市だけでなく、ガイドブックにも載らないような小さな街に足を延ばしてみるのはいかがでしょうか。
中世の城砦、Starkenburg(シュタルケンブルク城)がそびえる山肌には見事なぶどう畑が広がり、その麓には、中世のカラフルな木組みの家々を有する旧市街‥‥。風光明媚なこの街は、ヘッセン州南部に位置するHeppenheim(ヘッペンハイム)。20分もあればぐるりとまわれてしまうほどこぢんまりした旧市街ですが、見どころはたくさんあります。
旧市街のメインは、Marktplatz(マルクトプラッツ)に鎮座する市庁舎。1551年に建築されたものですが、1705~1706年にバロック様式のハーフティンバー(柱や梁の間の外壁を漆喰やレンガで埋めた木造建築)に生まれ変わりました。
2004年に全面改修がなされ、木組みの赤、屋根の青など、色のコントラストがより鮮やかに。塔の上からは、1日に数回、カリヨンの音が鳴り響きます。
さて、ここからすぐの小道、Schunkengasse(シュンケンガッセ)に入り、道なりに進んでいくと、向かいの山頂にそびえるシュタルケンブルク城を望む絶景スポット、さらに進むとネオゴシック様式の教会、St.Peter(ザンクト・ペーター)があり、ついつい足取りがゆるみます。
歩みがのんびりしてしまうのは、ほかの通りも同じこと。地元の人々が集うセンスのいいカフェ、木組みの家とは趣を異にする、海沿いの街にありそうな白壁の家、外を眺めている女性...を窓に描いた(!)絵画教室などなど、名所でなくとも、ついつい目を奪われてしまいます。
さらに心を射抜かれたのは、影絵タッチの絵入り街灯!これは、ヘッセン州で語り継がれる伝説のワンシーンを、グラフィックアーティストのAlbert Völkl(アルバート・フォルクル)が数年にわたって150以上もの街灯に描いてきたというもの。
―宮廷の使用人が尼僧に扮して、夜ごと街に出没するという悪ふざけをしていた。しかし一度だけ予期せぬ間違いを犯してしまう。すると若い農夫がひるむことなく、鍬で使用人扮する尼僧のことを...―
こんなふうに、街灯の下には、その絵についての解説がついています。解説についている絵も独特なタッチで、怖いですが面白い!150以上もあるので、一つ一つ見ているとキリがないのに、どうしても立ち止まってしまう不思議な魅力がありました。昼間でこの状態なのですから、夜、明かりが灯されたら、どうなっていたのやら(笑)。
はじめに20分でまわれると記しましたが、あれこれ素通りすることができず、私はたっぷり3時間も費やしてしまいました。可愛らしいだけでなく、さまざまな伝説にも触れられるヘッペンハイム、一度ならず、二度三度と訪れたい場所です。
ドイツを訪れた際は、お得なチケットで、お気に入りの街を探してみてください!
※2022年8月現在の情報です。情報は変更となる場合があります。