ティラノサウルス、ブラキオサウルス、トリケラトプス......。はるか昔、地球上にはたくさんの恐竜が生息していた時代がありました。そして今、長い年月を超えて、さまざまな恐竜の化石が各地で発掘され、その生態が解き明かされています。
恐竜化石発掘壁
福井県勝山市は、日本随一の恐竜化石の産出地です。なぜ勝山市には恐竜の化石がたくさん出るのか。それは、福井・石川・富山・岐阜・長野に分布する恐竜時代後半(中期ジュラ紀~前期白亜紀)の地層「手取層群」があり、地層の中でも骨などが特にたくさん集まった「ボーンベッド」が発見できたからです。
勝山市で大規模な発掘が行われるきっかけとなったのが、昭和57年(1982年)の北谷町の杉山川左岸におけるワニの全身骨格化石の発見です。その後当時の福井県立博物館は恐竜化石の発掘を目指して予備調査を実施し、肉食恐竜の歯などを発掘。さらに、平成元年(1989年)から現在まで、大規模な恐竜化石発掘調査を断続的に行ない、骨や歯、足跡などの恐竜の化石が多数発見されました。
フクイラプトルの全身骨格
恐竜化石発掘調査では、フクイラプトル、フクイサウルス、フクイティタン、コシサウルス、フクイベナートルという5種の新種の恐竜化石や新種の鳥類フクイプテリクスの化石などを発見。福井県は世界から注目されるようになり、平成29年(2017年)には、恐竜化石とその発掘現場が全国で初めて国の天然記念物に指定されました。
福井県立恐竜博物館
平成12年(2000年)には、国際的な視野に立った恐竜化石研究の拠点として福井県立恐竜博物館が開館しました。ドーム型の常設展示室は4,500㎡という広さで、実物の化石を用いた10体を含む、44体の恐竜全身骨格のほか、化石、標本、ジオラマ、復元模型などを展示。
野外恐竜博物館
平成26年(2014年)には、日本最大の恐竜化石発掘現場に野外恐竜博物館がオープン。恐竜化石を発掘している現場の見学だけでなく、実際に発掘現場から持ってきた石を叩く発掘体験にも参加できます。
恐竜時代を体感できる福井県立恐竜博物館は、カナダのロイヤルティレル古生物学博物館、中国の自貢恐竜博物館とともに世界三大恐竜博物館の一つに数えられています。
今年2月には、「フクイベナートル」が鳥類に近い「テリジノサウルス類」に分類されると福井県立恐竜博物館が発表しました。恐竜から鳥への進化の過程を研究する上での大きな役割を担う重要な発見により、新たに恐竜の謎が解き明かされるでしょう。
この春、「恐竜王国」福井県、太古のロマンを探しに出かけてみてはいかがでしょうか。