トラベル&ライフ2022年2-3月号の取材で訪ねた石川県加賀市にある片山津温泉。霊峰白山を望む柴山潟の湖畔に温泉街を形成する北陸屈指の温泉地だ。一帯は越前加賀海岸国定公園に指定されているだけに豊かな自然に恵まれているのも魅力で、冬になると柴山潟では越冬のため南下してきたコハクチョウの姿を見ることができる。
江戸時代に温泉が発見された後、明治時代に温泉街が開けると1980年代には年間151万人が訪れる人気の温泉地となった片山津温泉。現在は、時代のニーズに応えた新しい取り組みを行い、さらなる地域活性化を図っている。誌面で紹介した二人乗り電気自動車のレンタルサービス「温モビ」や、おもてなし喫茶メニュー「加賀パフェ」の開発のほか、コロナ禍で注目を集めつつあるワーケーションにも力を入れる宿が登場している。
そのひとつが、「季がさね」。柴山潟の湖畔に立ち、湖を眺めながら温泉を楽しめる大浴場と月替わりの懐石料理が評判の宿だ。ここでは、「仕事が終わったら温泉旅館で家族とゆっくり過ごそう!」をコンセプトにしたワーケーションプランを用意。
宿泊する部屋とは別のワーキング専用ルームを利用することができるので仕事に集中することができ、また一緒に宿泊している家族や友人などにも気兼ねせずに部屋でのんびり寛げる。ワーキングルームは個室タイプでWi-Fiが整っているので、オンラインのミーティングにも利用できるのもうれしい。
源泉かけ流しの温泉が楽しめる「季がさね」
ワーキングルームは広さ約6畳、定員2名とコンパクトな空間(写真提供=季がさね)
2022年1月にリニューアルオープンした「アパホテル&リゾート 加賀片山津温泉 佳水郷」もそのひとつ。全室湖畔に面した素晴らしい眺望の客室でワーケーションを堪能できる。客室は和室だけでなく、ベッドを配した和洋室など多彩。もちろん、Wi-Fiを完備している。また、館内は洗練された雰囲気で、賑やかな温泉旅館のイメージとは無縁の閑静なたたずまい。仕事に集中しやすいのも嬉しい。
柴山潟に面して立つロケーションが魅力
客室からは柴山潟を一望できる(写真提供=アパホテル&リゾート 加賀片山津温泉 佳水郷)
コロナが収束し、観光事業が本格化した際を見据えて、ワーケーションの環境整備をしているのが「大江戸温泉物語 片山津温泉ながやま」。柴山潟を望む絶景露天風呂と海鮮バイキングが人気の宿だ。今回、まだ準備段階だが、特別にワーケーションを体験することができた。
カフェ&バーをリニューアルしてワーケーションスペースに活用
ワーケーションスペースは1階にあり、大きなガラス窓からは柴山潟を望み、開放感もたっぷり。以前はカフェ&バーだった場所なので、個室ではないがテーブルの間隔が広いので隣の席も気にならない。また、広いテーブルもあるので、パソコンを置いても余裕があり、資料が広げられるのもうれしい。
メールのチェックや返信などをしていると時間はあっと言う間に過ぎる。パソコンからふと目を離して窓の外を見ると、穏やかな湖が広がっている。疲れた目にも優しく、集中していた気持ちを解いてくれた。
気分転換で足湯を満喫!温泉宿ならでは
温泉宿だからこそ、リラックスした状態で仕事をしてもらいたいという思いから、ワーケーションスペースの利用は浴衣のままでOKとのこと。さらに、4000坪もの広大な庭園には柴山潟を望む足湯(冬季は閉鎖)もあるので、気分転換にも最適だ。
働き方が多様化した今、仕事と休暇は一緒に楽しむものになりつつある。また、2024年春には片山津温泉の最寄り駅の加賀温泉駅まで北陸新幹線が延伸する予定で、首都圏からのアクセスも便利になる。時代のニーズに合わせたワーケーションの充実で、令和の時代も片山津温泉から目が離せない。
〈お問合せ〉
片山津温泉観光協会
http://www.katayamazu-spa.or.jp/