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キャメロンハイランドの茶畑
キャメロンハイランドの茶畑

マレーシアを代表する紅茶の2大プランテーション

海外現地ライター便り
2021年12月15日
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海外旅行
旅行記

意外と知られていませんがマレーシアは高級紅茶の産地で、年間5,000トンもの生産量を誇ります。マレー半島の中央部に位置するチチワンサ山脈には海抜1,500mほどの高原地帯が続き、その気候や土壌が良質な茶葉を栽培するのに適しているのだとか。中でもパハン州キャメロンハイランドの丘陵地帯には「ティープランテーション(お茶の大規模農園)」が集まっています。

マレーシアを代表する紅茶ボーティーとは

マレーシア最大のティープランテーションを有する紅茶製造販売会社ボーティー(BOH Tea)は1929年にキャメロンハイランドで創業しました。同社の、大地の香りがするような素朴な風味の紅茶はマレーシアの定番みやげとしても人気が高く、ティーバッグや一部のリーフ缶はスーパーなどでも気軽に買うことができます。

キャメロンハイランドにある同社のティープランテーションには、山肌に植林された茶の木が、まるで緑の帯が流れるように続いています。その雄大な風景は、ぜひ見ておきたいマレーシアの絶景の一つ。そこで今回は一般公開されている2カ所のティープランテーションにあるティーガーデンを、それぞれご紹介します。

スンゲイパラスティーガーデン/ブリンチャン

丘の上からせり出すようにのびるティーガーデンのカフェテラス 丘の上からせり出すようにのびるティーガーデンのカフェテラス

眼下に広がる緑鮮やかな茶畑が一望できるテラスは人気のフォトスポット 眼下に広がる緑鮮やかな茶畑が一望できるテラスは人気のフォトスポット

一般的にボーティーのティーガーデンというと、キャメロンハイランドの中心タナーラタから北へ約10kmに位置するブリンチャンのスンゲイパラスティーガーデンを指します。アクセスは観光ツアーなどに参加するか、個人で行く場合はタクシーを利用、または自分で車を運転して行くことになります。

車1台が通るのもやっとという細い山道を進むと、山の急斜面一帯に茶畑が広がっている光景が見え、ティープランテーションの規模の大きさが体感できるのではないでしょうか。

熱帯とは思えない涼風が心地よいスンゲイパラスティーガーデンのカフェ 熱帯とは思えない涼風が心地よいスンゲイパラスティーガーデンのカフェ

ティーガーデンが位置する山の頂上に着くと見えてくるのは、茶畑に向かってガラス張りのバルコニーが突き出ているカフェ「ジェイエーズバルコニー」。先端部がオープンテラスになっていてそこから眺める茶畑はまさに絶景。

隣接する「トリスタンズテラス」は2019年に新たに拡張されたエリアで、違う角度から茶畑を眺めることができます。どちらも全面ガラス張りなので、圧倒されるような美しい風景を眺めながらティータイムを過ごせます。

素朴な味わいのスイーツや軽食などが楽しめる 素朴な味わいのスイーツや軽食などが楽しめる

カフェはセルフサービスで地場産のいちごを使ったストロベリーチーズケーキなどのスイーツ、チキンポットパイ、ウインナーロールなどのセイボリー(甘くない軽食)などが揃っています。ポットでサーブされる紅茶を特別おいしく感じられるのは、製茶工場がすぐ隣にあるせいでしょうか。

限定アイテムなどが見つかるティーガーデン内のショップ 限定アイテムなどが見つかるティーガーデン内のショップ

紅茶だけではなく、紅茶葉を使ったボディスクラブなど珍しいアイテムも 紅茶だけではなく、紅茶葉を使ったボディスクラブなど珍しいアイテムも

カフェテラスと反対方向には、紅茶の製茶工場の工程見学コースやショップがあります。ショップで販売されている紅茶はスーパーなどでも買えるものもあるのですが、時期によってはスンゲイパラスティーガーデン限定の希少な紅茶葉が販売されていることも。また、紅茶の香るスクラブやボディクリームといった珍しいコスメアイテムなどもあるのでチェックしてみてはいかがでしょうか。

ボーティーガーデン/リングレット

ボーティー創業の地にあるボーティーガーデンはここから始まった ボーティー創業の地にあるボーティーガーデンはここから始まった

ボーティーガーデンはキャメロンハイランドの中心となるタナーラタから約10km南へ下った山あいに位置します。主なアクセスはタクシー、車などになります。ここはボーティー創業の地で最初のティープランテーションが開墾された場所です。

やはり細い山道を行くのですが、ボーピッカーと呼ばれる茶摘み作業をする人々のカラフルな宿舎やスラウ(モスクより小規模のイスラム教の礼拝施設)などが茶畑の中に点在し、のどかな田園風景となっています。

カフェの売店は1930年代に軍用貯蔵庫として使用されていた カフェの売店は1930年代に軍用貯蔵庫として使用されていた

現在はカフェの売店になっている半円形の建物は軍用施設のニッセン小屋(軍用物資の貯蔵庫)で1949年に建てられました。カフェの隣にはオープンエアのカフェスペースがあります。このようにリノベーションはされていますが、ちょっとしたところに当時の面影が感じられます。

海抜約1,460mに位置するボービューポイント 海抜約1,460mに位置するボービューポイント

どこまでも連なる山々の絶景を堪能できるボーティーガーデンの穴場スポット どこまでも連なる山々の絶景を堪能できるボーティーガーデンの穴場スポット

実はこちらのティーガーデンには、隠れた絶景ポイントがあります。茶畑の急斜面に沿ってハイキングコースを登った先にある「ボービューポイント」は、コース入り口から距離にして174mなのですが、傾斜角度30度でかなりの急勾配が続きます。しかし、その先にあるボービューポイントから望むことができる奥深い山の見晴らしは一見の価値があります。

眼下には茶畑が続き、ひんやりとした澄み渡る空気が心地よく、マレーシアの自然の豊かさを感じながらリフレッシュできるのではないでしょうか。

キャメロンハイランドのティープランテーションの新茶の芽 キャメロンハイランドのティープランテーションの新茶の芽

かつてイギリス統治下にあったマレーシアには今も当時の文化が残っています。ハイティーやアフタヌーンティーの習慣もその一つ。カフェやホテルなどでも気軽に楽しむことができるので、滞在中は紅茶を味わいながらゆっくりとした時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。

■スンゲイパラスティーガーデン(Sungei Palas Tea Garden)
住所:39100 Brinchang, Cameron Highlands
営業時間:8:30~16:30(火曜~日曜) ※月曜定休(祝日、特定日除く)

■ボーティーガーデン(Boh Tea Garden)
住所:39000 Ringlet, Cameron Highlands
営業時間:8:30~16:30(火曜~日曜) ※月曜定休(祝日、特定日除く)

*クアラルンプールからキャメロンハイランドは北へ約200kmの距離で、日帰りすることも可能です。

※2021年11月現在の情報です。掲載の情報は変更となる場合があります。

文・写真=逗子マリナ
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