世界遺産の街マラッカのレトロな街並みとウォールアート
海外現地ライター便り
首都クアラルンプールから南へ約200kmに位置するマラッカ。ヨーロッパとアジアの歴史や文化が重なり合うエキゾチックな魅力あふれる旧都として知られています。2008年にはペナン島ジョージタウンと共にマレーシア初の世界文化遺産として登録されました。
中華街に周辺には栄華を誇ったプラナカン時代の装飾の一部が残っている建物もある
観光の中心となるのはオランダ統治時代の面影を残すオランダ広場（Dutch Square）。 目の前のマラッカ川を渡った対岸は、中華街ジョンカーストリート（Jonker Street）へと続き、風景は一気にアジアに変わります。今回はそんなマラッカの新旧フォトジェニックな魅力が感じられるスポットをご紹介します。
ジョンカーストリートの東側にある小さな裏通りには、マレーシア最古といわれる中華寺院を中心に、モスク、ヒンドゥ寺院とマレーシア三大民族の寺院が並ぶように建てられています。その様子から通称ハーモニーストリートと呼ばれています。
日本でも昔見かけたような、どこかなつかしい趣のある駄菓子屋
鮮やかなミントブルーの上皿秤が入り口で差し色のように映える
周辺は時が止まったようなやや朽ちたレトロ感あふれる雰囲気に包まれていますが、よく見るとマレー式棟割住宅の壁の装飾などに、マラッカで栄華をほこったプラナカン文化の面影が見つかります。
そのままマラッカ川近くまで歩いて行くと、見えてくるのは今も人々の生活を支える商店街。金物屋、秤（はかり）屋、駄菓子屋、食料品店、飲食店などが並んでいて、写真などで見る少し前の日本にどこか似ているようにも思えます。ノスタルジックな街並みにどこか懐かしさをおぼえるかもしれません。
入ってまず目を引くのが店の奥に天井まで積み上げられたアンティークなお茶の缶
量り売りで買える茶葉。戸棚の中には高級茶葉もあるのだそう
商店街の中にある「高銘撥茶行（Koh Beng Huat）」。マラッカ屈指の老舗茶舗で、中国や台湾などから取り寄せたお茶の量り売りをしています。入り口を入ってすぐに目に飛び込んでくるのは正面の壁に天井まで積み上げられたお茶の缶。
来店者にはお茶をふるまってくれるのですが、熱すぎず冷たすぎないちょうどよい温度です。戸棚の中だけではなく、店内にはさまざまなお茶が並んでいます。おすすめのお茶は「黄金桂」（100g /24リンギット＝約600円）。手頃な値段で風味のよい烏龍茶の一種です。
マラッカ川両岸は整備された遊歩道マラッカリバーウォーク（Melaka River Walk）になっています。特に「オランダ広場」付近には遊歩道に沿ってカフェやレストラン、バーなど軒を連ね人気のスポットに。
ウォールアートのテーマのひとつ、食が民家の壁に描かれている
散策がてら上流へ歩いていくと現れるのが、2012年のリバーアートプロジェクト（River Art Project）から始まったウォールアート群。両岸にある民家、商店、レストラン、マンションなどの建物の壁にはマレーシアの文化、歴史、食、民族などが圧倒されるほどの迫力で描かれています。単調だった川沿いの風景は、原色を大胆に使った作品により話題となり新しいマラッカの名所となりました。
マイキールズヘリテージはフォトスポットとして大人気
なかでも美容ブランドがスポンサーとなったマイキールズヘリテージ（My Kiehl's Heritage）は、カラフルなウォールアートというだけではなく世界遺産の街マラッカを保存していくことの重要性がメッセージとしてこめられているそうです。2015年に完成して以来、フォトスポットとしても大人気となっています。
マラッカ川の両岸に続く作品の数々は観光船からも眺めることができる
ウォールアートはマラッカリバークルーズ（Melaka River Cruise）に乗船し、船上から眺めることもできます。夕方から夜にかけては一部がライトアップされ、昼間とはまた違った印象になります。
世界遺産の街として人気のマラッカですが、旧市街の趣やアートにあふれたフォトジェニックな魅力もぜひ体感してみてはいかがでしょうか。
■ハーモニーストリート（Harmony Street）
住所：Jalan Tukang Emas,75200, Melaka
■高銘撥茶行（Koh Beng Huat）
住所：27 Jalan Kampung Pantai, 75200, Melaka
■マイキールズヘリテージ（My Kiehl's Heritage）
住所：Jalan Tukang Besi, 75200, Melaka
※掲載の情報は、2021年10月現在の情報です。内容は変更となる場合があります。
