茨城県つくば市北部にそびえる筑波山は、古くから「西の富士、東の筑波」と称され、朝昼夜と一日に何度も色を変えることから「紫峰」と呼ばれてきた。そして標高871mの男体山、標高877mの女体山という2つの峰をもつ美しい姿は、信仰の対象となり、多くの人々が訪れた。
筑波山の紅葉は毎年10月下旬頃から。山頂から始まり、時期をずらして裾野へと広がっていく。紅葉を楽しむには、ハイキングをしながら散策をするのがおすすめだ。筑波山は日本百名山の中でも標高が低く登りやすいのが特徴。また、ケーブルカーやロープウェイなども充実しており、体力に合わせて初心者から上級者まで楽しむことができる。今回は、筑波山の紅葉スポットの紹介をしよう。
筑波山神社
筑波山を訪れるのに起点となるのが、筑波山神社だ。筑波山神社は約3000年という歴史を誇る古社。筑波山を御神体とし、筑波男大神(いざなぎ)、筑波女大神(いざなみ)を祭神とし、 夫婦和合、縁結びの神として信仰を集めている。境内は、神社の建物付近だけでなく、中腹の拝殿から2つの山頂を含む約370haというから驚きだ。ここでは、歴史的な建築物とともに、色づいたイチョウやモミジが楽しめる。
宮脇エリア
筑波山神社から筑波山ケーブルカーの発着地、宮脇駅までの宮脇エリアはたくさんのモミジが楽しめる紅葉スポットだ。赤く色づいたモミジのトンネルをのんびりと歩きながら散策はこの時期ならでは。特に宮脇駅付近はモミジが植樹されており、撮影スポットとして多くの人が集まる。
筑波山ケーブルカー「もみじ」号
筑波山ケーブルカーに乗り込めば、車窓の風景も素晴らしく、秋の筑波山の魅力を堪能できる。途中、ケーブルカー同士がすれ違う場面もあり、頂上に近づくにつれて風景が変わり、杉の巨木、そしてハンレイ岩の巨岩なども見るのも楽しい。筑波山ケーブルカーは全長1,634m、高低差495m。車窓を流れる風景を楽しみながら、すべるように登っていく。筑波山頂駅まで約8分とあっという間だ。
ロープウェイ女体山駅からの眺望
ケーブルカーの筑波山頂駅から男体山の頂上までは約300m、岩場のある険しい道を歩き、15分ほどで筑波山の男体山御本殿に出合える。一方筑波山頂駅から女体山までは約500m。こちらは比較的緩やかで、こちらも15分ほどで到着する。女体山の山頂からは360度のパノラマが一望でき、裾野の紅葉、その向こうには関東平野を見渡せる。紅葉に染まる男体山の姿も見ることができ、この時期にはぜひ訪れたいスポットだ。
筑波山ロープウェイ
女体山の山頂までは、ロープウェイならもっと簡単にアクセスできる。つつじヶ丘駅から女体山駅まで、全長1,296m、高低差298m、約6分の空中散歩は、赤や黄色に色づいたダイナミックな風景を存分に楽しめる。天気がよければ、富士山やスカイツリーが見えることもある。
この時期、紅葉に染まり、他の時期とは異なる魅力に満ちている筑波山。ぜひ、ハイキングで、またはケーブルカーやロープウェイを使って山頂まで登り、そこから紅葉に色づくダイナミックなパノラマを楽しんでみたい。