大分県大分市の東部、佐賀関(さがのせき)半島にある関崎と愛媛県の佐田岬半島にある佐田岬との間にある豊予海峡は太平洋と瀬戸内海がぶつかる潮流の速い地域として知られ、「速吸の瀬戸」と呼ばれている。この場所で漁獲され、佐賀関で水揚げされる魚介類は、古くからおいしいと知られてきた。そして「関もの」としてブランド化され、「関さば」「関あじ」「関ぶり」「関たい」「関いさき」などの名で販売されている。
「関もの」の中の代表格といえば「関さば」と「関あじ」ではないだろうか。これは、豊予海峡で佐賀関の漁師が一本釣りしたマサバやマアジのこと。身は引き締まっていながら、とろけるような味わいで、特に活き造りのおいしさは、一度食べたら忘れられないといわれるほどだ。
そもそも、豊予海峡は海底の起伏が複雑で漁の際に網を使うことが難しかった。そのため一本釣りで漁を行い、結果的に魚を傷つけずおいしさにつながったといわれる。また、潮の流れが激しい海域での一本釣りは、熟練した漁師でも命がけだ。
佐賀関漁港
漁獲したマサバやマアジはすぐに船の生け簀に放ち、生きたまま漁港に持ち帰る。漁港では持ち帰った魚を地元の漁協と仲買人が買取りを行い、網生簀で一日魚を休ませ、出荷時には血を抜き鮮度を保つ「活けじめ」と冷し込みを行い、神経抜きを施すなど、厳しい品質管理を行うことで「関さば」「関あじ」が完成し、全国へと運ばれるのだ。
下:関さば、上:関あじ
「関さば」は11月~3月、「関あじ」は年中おいしく食べられるが、8月~9月に旬の時期を迎える。「関さば」は、普通のマサバよりも大ぶりで、金色がかった色が特長だ。季節によって脂肪量が変わることがあまりないため、いつでもとろりとした味わいを楽しむことができる。「関あじ」は、小さい頭と大きめの尾が特長。そして体は全体的に美しい艶がある。いずれも刺身で食べるのがおすすめだ。引き締まってぷりぷりとした食感、かむほどに深い味わいが広がるおいしさは、普通のサバやアジとは一線を画すもの。多くのファンに指示されているのもうなずける。
関崎海星館
「関さば」や「関あじ」の漁が行われる豊予海峡を一望するのなら佐賀関半島の岬にある「関崎海星館」へ。展望室からは豊予海峡を望む300度のパノラマが広がり、空と海のダイナミックな風景、行き交う漁船の様子が楽しめる。日豊海岸国定公園内にあり、遊歩道を歩けば「しあわせの鐘」や「関埼灯台」もあり、のんびりと過ごすことができる。
タイやヒラメにも勝るといわれる「関もの」の「関さば」と「関あじ」。ぜひ最高級ブランドの二つの味わいを楽しみ、豊予海峡に思いを馳せてみたい。