トルコ最大の都市、イスタンブール。2019年3月、この街にトルコ最大級のモスク「チャムルジャ・ジャーミィ」が開堂しました。今回は、それまで約462年に渡りイスタンブール最大のモスクとして知られていたスレイマニエ・ジャーミィと比較して、チャムルジャ・ジャーミィの魅力をご紹介したいと思います。
チャムルジャ・ジャーミィは、イスタンブールのアジア側の街、ユスキュダルにあるチャムルジャの丘にそびえ立っています。チャムルジャの丘はイスタンブール最高峰の丘で、ヨーロッパ大陸から眺めるとその高さをより実感することができます。丘の上に建つチャムルジャ・ジャーミィは、対岸の遠い所からでもよく見えて迫力満点。訪れなくとも、見る人の気を引いてやまない存在です。
チャムルジャ・ジャーミィの設計計画はエルドアン大統領(2021年現在)の命により2000年から始まりました。このモスクを設計するにあたり手本とされたのは、16世紀にオスマン帝国の宮廷に仕えた建築家、スィナンの建築でした。スィナンは世界遺産のセリミエ・ジャーミィやイスタンブールのスレイマニエ・ジャーミィなど、多くの建築物の設計を手掛け、トルコ史上最高の建築家とも評されています。スィナンの建築によく見られる大ドームを複数の小ドームが支える様式がチャムルジャ・ジャーミィにも取り入れられています。
チャムルジャ・ジャーミィは最大収容人数が6万3千人で、トルコ最大級のモスクとして知られています。このモスクが完成するまで、イスタンブール最大級のモスクだったのはスレイマニエ・ジャーミィです。これらのモスクを比較してみることで、チャムルジャ・ジャーミィの大きさを実感できると思います。
まず、鉛筆のような形をしたミナーレ(尖塔)の数を見てみましょう。スレイマニエ・ジャーミィのミナーレの数は4基、対してチャムルジャ・ジャーミィには6基あります。ミナーレの数はモスクの格式の高さを表しており、チャムルジャ・ジャーミィの方が格が高いモスクとして設計されたことがわかります。
次は大きさを見てみましょう。スレイマニエ・ジャーミィのミナーレの高さは最長のもので76m。対してチャムルジャ・ジャーミィのものはなんと107mもあります。また、床面から天井までの高さは、スレイマニエ・ジャーミィは53m、チャムルジャ・ジャーミィは72m、そしてドームの直径はスレイマニエ・ジャーミィが26m、チャムルジャ・ジャーミィが70mと、圧倒的な違いがあるのが分かります。
モスクの敷地内には凛とした空気が漂っていますが、堂内に一歩踏み入れると、そこはまるで別世界。私たちの存在を丸ごと優しく包み込んでくれるような、宇宙のような壮大な空間が広がっています。
最初はその圧倒的な空間に、そしてその後は細部に散りばめられた美しい内装に魅了されるでしょう。ほかのモスクでは味わうことができない「最大級」の感動を、イスタンブール最高峰の丘の上に建つチャムルジャ・ジャーミィで体感してみてはいかがでしょうか。
チャムルジャ・ジャーミィ
Ferah Yolu Sk. No:87 34692 Üsküdar/İstanbul