台湾の南部に位置する台南の食べ物は、北部に比べ甘めであるのが特徴です。それは昔、お客様へのおもてなし料理に、高価な砂糖がよく使われていたことに由来するそう。台南には、甘いもの好きにはたまらない料理やお菓子がいっぱいあります。今回は、お茶をお供にちょっとひと息入れたくなるような、台南ならではの名物お菓子を3つご紹介します。
台南の土産物店や中華菓子店などでよく見かける椪餅(香餅とも)は、台南ならではの伝統菓子です。赤いマークの刻印はお店によって異なり、それぞれにオリジナリティがあります。中は空洞になっていて、生地の内側には黒糖が塗られています。砂糖が高価だった時代に、甘い椪餅はさぞかし高級なお菓子だったことでしょう。少し前までは、この椪餅の中に卵を入れて焼いたものを、産後のエネルギー補給食として食べる習慣があったそうです。割れやすいので、持ち運びには注意が必要ですが、ついついたくさん買ってしまいたくなる一品です。
路地裏にひっそりとたたずむ連得堂は、小さなお店ながら100年以上の歴史を持つ手づくりおせんべいの名店です。店内には、日本時代から受け継がれる大きな円形のおせんべい焼き機が鎮座し、ガッチャンガッチャンと店内に音を響かせながら、朝から晩までおせんべいを焼く4代目ご主人の姿があります。ここの名物おせんべいは、お花型の雞蛋煎餅(たまご煎餅/35元)と、八の字型の味噌煎餅(40元)の2種類で、どちらも素朴な甘さが楽しめます。どことなく懐かしさを感じるこの味を求めて、わざわざ遠方からやってくるお客さんも少なくありません。大量生産ができない為、購入できるのはおひとり様2パックまでとなっています。
住所:台南市北區崇安街54號
営業時間:8:00~20:00(売り切れ次第終了)
台湾のお土産と言って、まず思い浮かぶのは何といってもパイナップルケーキではないでしょうか。台湾各地でさまざまなメーカーのパイナップルケーキが売られていますが、パイナップルの産地として有名な台南の關廟という郊外の街にある「鐵金鋼(ティエジンガン)」というお店のパイナップルケーキは、筆者が思うナンバーワンのメーカーです。数あるコンテストの受賞経歴もあり、濃厚でゴロっとした食感が楽しめるパイナップルの餡はもちろん、それを包むクッキーがサックリとしていて、餡とよくマッチしています。關廟の本店以外にも、台南中心部にある林百貨で購入することができます。
最後にひとつ、甘いものではないのですが、台南限定の縁起物お菓子である鄭成功ポテトチップスをご紹介します。鄭成功は台南人にとって、オランダ人勢力を駆逐したヒーローと崇められる存在で、このポテトチップスは赤崁樓や台南孔子廟など台南を代表する古跡だけで販売されています。「成功」という縁起の良さから、受験や面接を控える学生たちからも人気があり、このシリーズには、ビールもあります。古跡で販売される台南限定お菓子シリーズは、媽祖モチーフのパフや月下老人(縁結びの神様)モチーフのグミなど、新商品が続々と増えつつあり、今後の展開も楽しみです。
※掲載の情報は、2021年4月現在の情報です。内容は変更となる場合があります。