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天然岩ガキ「夏輝」は1つの重さが約300~500g
天然岩ガキ「夏輝」は1つの重さが約300~500g

鳥取県産天然岩ガキ「夏輝」

にほんグルメ探訪
2021年05月19日
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国内旅行
美食

6月になると、鳥取県沿岸で岩ガキの漁が始まる。真ガキの旬が冬であるのに対して、岩ガキの旬は夏。産卵前の身が大きくなる7月~8月ごろに一番の旬を迎える。ここで獲れるのは日本海の数か所でしか獲ることができない天然の岩ガキ。鳥取県では、県内で獲れる天然ものの岩ガキを「夏輝(なつき)」と命名し、なかでも殻高13cm以上で形の良い岩ガキにはブランドラベルを付けて販売している。

澄み切った海が広がる浦富海岸 澄み切った海が広がる浦富海岸

岩ガキは時間をかけてゆっくりと成長するため、殻と身が大きく育つ。大きさも厚みもあり、クリーミーでジューシーな味わいが特長だ。山陰海岸には、中国山地から豊かな栄養分が流れ込み、餌となる良質なプランクトンが生息。そんな環境の中で日本海の荒波にもまれて岩ガキは4年もかかってやっと「夏輝」の大きさに成長するという。そのためラベル付きの「夏輝」は鳥取で水揚げされる岩ガキの中でも約1割程度ととても希少なものだ。

「夏輝」の漁は素潜りで行われる 「夏輝」の漁は素潜りで行われる 撮影:古谷千佳子

漁法は素潜り。小型の船で水深約1~15mのポイントまで向かい、鉄製の器具「かきおこし」を使って岩やテトラポッドに張り付いた岩ガキを漁獲する。海中で息を止めて行う作業は大変な重労働だ。また、漁期を6月~8月と制限し、岩ガキの大きさも殻高10cm以上または重量200g以上に制限するなど、天然の岩ガキの資源管理も行われている。

「プレミアム夏輝 砂丘の誉」は「夏輝」の倍以上の大きさ 「プレミアム夏輝 砂丘の誉」は「夏輝」の倍以上の大きさ

鳥取県漁業協同組合福部支所では、昨年から、夏輝の中でも殻の胴囲33.5㎝を超え、1kg以上の重さの岩ガキを「プレミアム夏輝 砂丘のほまれ」と認定し、金冠のタグをつけて発売した。
通常岩ガキの漁は素潜りで行われているが、「砂丘の誉」はボンベを使用して鳥取砂丘沖の水深18~21mの深い所で漁を行い、「鳥取砂丘沖ボンベガキ」とも呼ばれている。ボンベ潜水資格をもつ数人の漁師しか獲ることができないため、1日に200~300個程度しか市場に供給されない。またその中でも「砂丘の誉」の規定を満たす岩ガキは10~30個程度とさらに希少価値が高い。

「夏輝」は、ノロウイルスと貝毒の安全検査も行い、安全・安心だ 「夏輝」は、ノロウイルスと貝毒の安全検査も行い、安全・安心だ

岩のようにごつごつとした大きな殻の中に、ふっくらとした大きな身が入っている「夏輝」。このおいしさを存分に楽しむには、やはり地元の漁師の食べ方に習いたい。レモンをかけて豪快に口に含めば、磯の香り、濃厚でクリーミーな味わい。ぷりぷりと口いっぱいに広がるおいしさは天然岩ガキ「夏輝」ならでは。これほどのボリューム感はほかにはないだろう。
きらきらと美しい輝きを放つ鳥取の夏の海で獲れる岩ガキ「夏輝」。この至極の味が楽しめるのはその名の通り、夏の間だけだ。

協力・写真提供=鳥取県 文=磯崎比呂美
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