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ベルリンの歴史ある町 ケーペニック

海外現地ライター便り
2021年04月30日
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海外旅行
旅行記

ドイツの首都であるベルリンは約360万人の人口を抱える巨大都市です。このような大都市であるベルリンですが、もともと一つの都市であったわけではありません。周辺の都市や町と合併して現在の街の形となっています。そのためベルリンの中に一つの都市や町として文化や歴史を持つ場所が存在するのです。
その一つがケーペニックと呼ばれる歴史的な市街地です。そこには歴史を感じさせる建物が建ち並び、趣を感じさせてくれます。今回は、そんなケーペニックについて紹介したいと思います。

歴史ある場所ケーペニック

歴史ある場所ケーペニック

ケーペニックは12世紀に歴史にその名前が登場する長い伝統を持った町です。ベルリンの周辺都市として独自に発展を遂げてきましたが、1920年にベルリンに統合されて、現在ではトレプトウ=ケーペニック区の一部となっています。ケーペニックを実際に訪れると良くわかるのですが、昔ながらの町の姿が残されています。中心にあるのは広場と教会、そして旧市庁舎(現在は区役所)。それらを中心にして町が形成されており、典型的なドイツの町となっているのです。このような市街地ですが、大通りから離れると目に映るのは石畳の道と、その脇に並ぶ古めかしい建物。中心部を歩けば、中世にタイムスリップしたかのような気分を感じることができるでしょう。

水辺に広がる町

水辺に広がる町ケーペニック

ケーペニックが位置するのは二つの川が合流する場所です。合流点を頂点にして市街地が形成されており、水辺に広がる町となっています。旧市庁舎付近では川沿いに遊歩道が整備されており、散歩を楽しむことができるでしょう。川辺で眺められるのは穏やかな流れの川、それに面して建ち並ぶ住宅。何より嬉しいことに観光地ではないため、川べりを訪れる人の多くは散歩を楽しむ地元の人々。そのため、ここでは美しい風景を楽しみながら、川の流れのようにゆったりとした時間を楽しむことができるのです。

歴史の趣を楽しめる場所「ケーペニック宮殿」

歴史の趣を楽しめる場所「ケーペニック宮殿」

ケーペニック旧市庁舎の大通りを挟んで建つのはケーペニック宮殿。17世紀に建てられたバロック式の小規模な宮殿です。当初は狩猟の際に利用されていたこともあり、川べりに建つ自然が身近に感じられる場所となっています。現在宮殿が果たすのは博物館としての役割。ルネサンス、バロック、ロココの装飾美術作品が展示されています。展示は多くの食器を使って貴族の食卓を再現するものなど、当時の暮らしを垣間見ることができるものとなっています。歴史の趣を満喫するのであれば、ケーペニックで訪れておくべき場所といえるでしょう。

歴史的な事件が起きた場所

ケーペニック旧市庁舎

ケーペニックは、ドイツの人には特別な事件が起きた場所として知られています。それは「ケーペニックの大尉」と呼ばれる事件です。1906年に古着屋で衣装を用意した人物が、自分が陸軍の大尉であると本物の陸軍の兵士を騙して、兵士を引き連れて市庁舎を訪れました。そして市長に不正の疑いがあると拘束して、市の金庫から多額のお金を持ち出したのでした。後日この人物は逮捕されて事件は解決するのですが、あまりの荒唐無稽な出来事に笑い話としてドイツ中に知れ渡り、この事件をモチーフとした演劇や映画も作られているのです。

旧市庁舎に立つ「ケーペニックの大尉」

旧市庁舎に立つ「ケーペニックの大尉」

そんな事件の現場となった旧市庁舎を訪れると、入口脇に見えるのは軍服姿の銅像。なんと今では事件を引き起こした人物の銅像が建てられています。実際に訪れた際には、多くの人が銅像と一緒に記念写真を撮っているのを見かけました。それは100年以上前に起きた荒唐無稽な事件が、今でも多くの人を魅了している証拠なのかもしれません。このような旧市庁舎はある意味でケーペニック屈指の観光スポットと言えるでしょう。

ベルリン市内の「隣町」ケーペニック

ベルリン市内の「隣町」ケーペニック

特別な魅力を持つケーペニックは、今ではベルリンの一部です。それでも町が持つ雰囲気は保たれており、今でも町と言える場所となっています。そんな場所には公共交通機関を使えばベルリン市内の料金で訪れることができるのです。ドイツでは公共交通機関は多くの場合、市内と市外で料金が異なり、市外に向かう場合は割高になります。そのためケーペニックは市内料金で訪れられる「隣町」と言えるかもしれません。ベルリンを訪れた際に、雰囲気のある町並みを持ち、歴史的な事件の現場となった「隣町」であるケーペニックを訪れてみてはいかがでしょうか。

ケーペニック宮殿(Schloss Köpenick)
アドレス:Schloßinsel 1, 12557 Berlin
開館時間:11時~18時(月曜日・休館日)
入場料:6ユーロ

旧市庁舎 (Rathaus Köpenick)
アドレス:Alt-Köpenick 21, 12555 Berlin

※2021年4月現在の情報です。掲載の情報は変更となる場合があります。

文・写真=Kiyohide Hayashi
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