意外かもしれませんが、いまでは当たり前となったカフェの文化が花開いたのは16世紀のトルコ・イスタンブールでした。イスタンブールからヨーロッパへ、そして世界へと広がったカフェ文化。イスタンブールには、オスマン帝国時代を思わせるカフェはもちろん、個性溢れるカフェが街中にたくさんあります。数あるカフェの中でもひときわ個性的で、この街の絶景を眺めることができる「ミム・カフヴェ」をご紹介しましょう。
オスマン帝国第19代目のスルタン(皇帝)メフメト4世の母であるトゥルハン・スルタンの手により完成したイェニ・モスク、そしてその傍らにあるエジプシャン・バザールは、イスタンブール旧市街のエミノニュというエリアを代表する歴史的建造物です。モスクには礼拝の時間になると多くの人が集い、バザールには日用品を求める地元の人やトルコらしいお土産をキラキラした目で探す旅行者で日々賑わいをみせます。どこかオスマン帝国時代の空気が流れる旧市街の混沌の中に、今回ご紹介する「ミム・カフヴェ」があります。
エミノニュにある古い建物を改装して造られた「ミム・カフヴェ」に一歩足を踏み入れると、外の混沌の世界とは切り離された独創的な空間が広がっています。カフェのオーナーがすべて手作りで造り出した空間は、どの一角を切り取っても絵になります。
一枚一枚が手描きの絵皿や床の模様、壁一面に描かれた絵画やポスター、階段にセンス良く置かれた雑誌やレトロなテレビ、天井から吊るされたオブジェやドライフラワーなど、視界に入るものすべてにオーナーのセンスを感じることができます。
「ミム・カフヴェ」の魅力は、店内の雰囲気だけではありません。窓際の席に座ると、そこから見えるのはイスタンブールの絶景。緩やかな坂道の途中に建つこのカフェだからこそ見ることができる景色が広がっています。手前に見えるのは、旧市街エミノニュの街並みです。右手にはスレイマン大帝の時代に大宰相として活躍したリュステム・パシャのモスク、ガラタ橋が架かる金角湾の向こうには新市街のランドマークであるガラタ塔が見えます。さらに、ボスポラス海峡やアジア側の大陸までをも一望することができるのです。カフェでゆっくりと時間を過ごしながらイスタンブールの絶景を眺めることができるのは、「ミム・カフヴェ」ならではの魅力です。
トルコの朝食メニュー「カフヴァルトゥ」、トーストサンドやハンバーガーなどの軽食、オリジナルのスイーツやドリンクなど魅力的なメニューが揃っていますが、ぜひ飲んでいただきたいのは定番のチャイ(トルコの紅茶)です。淹れたてのチャイをゆっくりと啜りながら、ヨーロッパとアジアが交わるイスタンブールの絶景を眺める、至福の時間。他の都市では経験することができない、とても贅沢なひとときです。
ミム・カフヴェ エミノニュ店(Mim Kahve Eminönü)
住所:Devoğlu Yokuşu Sokak No:10, Fatih/İstanbul