総延長約20km、約6500本の桜が咲き誇る淡紅色のトンネル。直線の並木道が10本あり、圧巻の景色がどこまでも続く。これが、近年、桜の名所として人気を集める桜並木道である。
県道3号線、山の入り口、里山の並木道と岩木山
この桜並木道は、青森県弘前市の西部、「津軽富士」と称される青森県の最高峰・岩木山の麓に位置する岩木地区にある。バス停「小森山入口」(JR弘前駅からバスで約40分)辺りから「嶽温泉郷」辺りに通じる県道3号と支線沿いに植えられた桜並木のことだ。岩木山山麓の標高200~450m地点にあり、高低差は最大で250mほど。標高の低い場所の咲き始めは毎年4月下旬ごろだが、場所により開花時期が異なるため、その分長い期間桜が見られるという特長がある。
また、桜に彩られた岩木山というまるで絵のような風景に出合えるのもこの時期だけ。雪を冠した雄大な岩木山と薄紅色の桜、そして澄み切った青空のコントラストが素晴らしく、絶景をゆっくりと楽しもうと多くの人が足をとめ、写真撮影を行っている。
オオヤマザクラは花と葉が同時に展開し、葉は赤みがある
オオヤマザクラは、中輪、一重咲きで、ヤマザクラよりも大きなことから、その名がつけられた。主に関東以北で自生し、色の特徴からベニヤマザクラ、北海道に多いことからエゾヤマザクラとも呼ばれている。ヤマザクラやソメイヨシノよりも色が濃く、華やかさと力強さがあるのが特徴だ。そのオオヤマザクラが咲き誇るこの桜並木道は艶やかで迫力満点。天気や時間帯により、さまざまに表情を変えるのもおもしろく、何度訪れても新しい感動を与えてくれる。
近年の植樹では、子ども連れの家族が多く参加している
この桜並木道に初めて桜が植えられたのは昭和60年(1985年)、町民による約1000本のオオヤマザクラの記念植樹だった。その後、「世界一の桜並木を作ろう!」と、10年かけて約6500本を植樹し、完成した。現在も、広報誌などで一般市民に募集をかけ、春先になると数十本単位で植樹が行われているという。
こうやって岩木山を楽しむ周遊ルートは、地元の人たちの手によって作られ、多くの人々に「世界一の桜並木道」と呼ばれて愛される桜の名所となったのである。
※開花状況は気候により前後する場合があります。