オランダのアップルパイはアップルタルト(appeltaart)と呼ばれ、各家庭に代々伝わるレシピがあるほどの国民的スイーツです。パイ皿で焼かれるアップルパイとは異なり、高さのあるオランダのアップルタルトは深めのケーキ型で焼かれます。ケーキ型に敷いたパイ生地の上に、シナモンをまぶしたリンゴをたっぷり入れ、格子状に編んだパイ生地をかぶせます。リンゴから出る果汁を吸わせるために、砕いたビスケットやスポンジケーキを底に敷いたり、リンゴにレーズンをまぜるのがポイントです。焼きたてのアップルタルトは、ホイップクリームやバニラアイスを添えていただきます。クルミやアマレット(リキュール)を入れるレシピもあり、作る人によって味が変わるのもアップルタルトの魅力です。
アップルタルトはカフェやレストランでも定番のスイーツで、自家製のアップルタルトを看板メニューにするお店も少なくありません。
『Café Winkel 43』はアムステルダムで一番美味しいアップルタルトが食べられると人気のカフェです。アムステルダムの下町ヨルダン地区にあり、周辺にはアンネ・フランクの家や西教会、個性的なショップが並ぶナインストリートなどの観光スポットもあります。アムステルダム中央駅からは徒歩14分ほどの距離で、道中のブローウェルス運河やプリンセン運河沿いでは、煉瓦造りのカナルハウスやアーチ橋など美しい景色を眺められます。
北教会前の広場に面して立つ、ベル型のシルエットをもつ建物が『Café Winkel 43』です。17世紀初頭に建設されたルネサンス様式の北教会や、愛らしいファサードを持つ周辺の家々とともに、昔ながらのヨルダン地区の風景を織りなしています。『Café Winkel 43』の店内に足を踏み入れると、焼きあがったばかりのアップルタルトの香ばしい香りがふわりと鼻をくすぐります。小さなカフェなのでテーブル席は満席のことが多く、天気が良い日はテラス席もいっぱいになるほどの賑わいです。
『Café Winkel 43』の焼きたてのアップルタルトには、ホイップクリームが添えられます。アップルタルトもホイップクリームも驚くほどのボリュームです。生地はサクサクで、ぎっしり詰まったリンゴはしっとりジューシーに焼き上げられています。甘酸っぱいアップルタルトにホイップクリームが絶妙にマッチし、一度食べたらやみつきになる美味しさです。地元の人にもリピーターが多く、観光客の間でも評判が広まり、ビル・クリントン元大統領が来店したこともあるそうです。
北教会前の広場では、月曜にアンティークマーケットが、土曜にはオーガニック食材のファーマーズマーケットが開催されているので、マーケット散策後にアップルタルトを頬張るのも良いかもしれません。週末のランチタイムはかなり混み合い行列ができることもあるので、混雑を避けたい方には平日の午前中や夕方がおすすめです。『Café Winkel 43』は朝から営業しているので、朝食としてのアップルタルトも楽しめます。