トラベル&ライフ2020.12-2021.1月号の特別企画は『冬の金沢・美食紀行』。その取材の一環で、近江町市場を訪ねた。金沢駅から歩いて約15分、金沢の中心街・武蔵ヶ辻にある近江町市場は享保6年(1721)に加賀藩の御膳所として誕生したのが始まりだ。2021年には開場300年を迎える、歴史と伝統を受け継ぐ金沢市民の台所である。
鮮魚通りにあるヤマカ水産(左)
迷路のように連なる通路はアーケードで結ばれており、そこに鮮魚店をはじめ青果、精肉、総菜、衣料品、日用品など170余りの店舗が点在している。なかでも鮮魚通りは市民や観光客でいつも賑わっている。そのうちの1軒の「ヤマカ水産」は江戸時代創業の老舗で、活きのよい魚介類を手ごろな値段で買えると評判だ。
甘エビと秋サケ
石川県を代表する魚介として有名な甘エビ。食べ方は刺身が一番で、ねっとりと舌の上でとろける味わいは最高だ。左にある秋サケも、この大きさでこの値段。冬になるとズワイガニが並ぶが、取材日は解禁前だったので残念ながら買えなかった。
イキのいいノドグロ
こちらは、甘エビとともに石川県を代表するノドグロ。白身魚の王様とも呼ばれ、塩焼きや煮つけでいただく。脂ののった身は、上品で繊細なおいしさ。やや小ぶりながら4匹で700円はお買い得だ。
貝好きにはたまらない
貝類の種類も豊富だ。手前から白貝、ハマグリ、バイ貝、しじみ。白貝はその名の通り殻が白く、皿のような形をしているのでサラガイとも呼ばれる。酒蒸しやワイン蒸しで。ワイン蒸しには、ニンニクとオリーブオイルを忘れずに。
野菜類も安い
八百屋さんの店頭で見かけたのが金時草。「きんときぐさ」ではなく、「きんじそう」と読む。加賀野菜のひとつで、葉の表と裏で色が違うのが特徴。表側は緑色だが、裏側は鮮やかな金時色(赤紫色)をしているのでその名が付いたという。和え物やお浸し、酢の物にして食べる。