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by howardignatius is licensed under CC BY-NC-ND 2.0
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アメリカの秘境「ザ・ウェーブ」

海外現地ライター便り
2020年08月31日
カテゴリー
海外旅行
旅行記

ザ・ウェーブとは

その特異な自然環境を守るため1日20人しか入場できない秘境中の秘境、ザ・ウェーブは、アリゾナとユタにまたがるコロラド高原、パリアキャニオン・バーミリオンクリフス自然保護区内のコヨーテビュート地区にあります。ラスベガスから約300km、4~5時間のドライブです。
1億9千万年以上前のジュラ紀に形成されたナバホ砂岩の表面が長年の風雨による侵食のため露出し、その流線型の地層が独特の風景を作っています。

この地域は、古代プエブロ族のあと、パイユート族が居住していました。パリアキャニオンの「パリア」とは、パイユートの言葉で泥水、あるいは塩辛い水の意味です。自然保護区内の岸壁には部族が残した岩面線画を見ることができます。

1日に入れる人数は20人のみ!ザ・ウェーブの入場抽選について

ザ・ウェーブ by jerbec is licensed under CC BY-NC-ND 2.0

ザ・ウェーブは自然保護区内にあり、自然環境と砂岩の損傷を防ぐために入場を制限しています。1日20人が抽選で選ばれ、許可証が与えられます。料金は7ドルです。

20人のうちの10人はオンライン抽選で選ばれます。オンライン抽選には4ヶ月前から公式ページより参加できます。毎月1回のみ、1回の抽選で3日分の日程を申請することができます。なお、抽選に参加するのに5ドルかかります。

現地ビジターセンターでの抽選

残りの10名は現地のビジターセンターで抽選します。入場希望日の前日の朝8時半にビジターセンターに行き、説明を聞き、書類に記入します。団体の場合6名まで、代表者が記入申請します。当選率を上げるために重複して申請してしまうと、それが判明した際にその場で権利を失ってしまうので注意してください。団体で5名当選した場合、残り枠は5名となります。9時からビンゴで10人選ばれ、選ばれた人だけ残ってオリエンテーションを受けます。

先の予定がはっきり決まっている場合は、オンラインであらかじめ許可証を取ったほうがいいですが、もし取れなかった場合は、現地で抽選会に参加しましょう。現地での抽選でも外れてしまった場合は、ほかの国立公園を回って翌日また抽選に参加するといいでしょう。

いざ!ザ・ウェーブへ!

ザ・ウェーブ

運良く抽選に当たったら、しっかりと準備をして行きましょう。

持ち物
ザ・ウェーブに行く際は、以下のものを準備しましょう。
● 水:2~3リットルの水筒(ザ・ウェーブ内に水を手に入れる場所はありません!カナブで水筒を満タンにしましょう)
● 帽子(日陰がないので帽子は必須です!)
● 食料(シリアルバー、チップス、チョコレート、ジャーキー、ドライフルーツ、ナッツ類など)
● 携帯トイレ
● カメラ
● 許可証
● 地図(当選すると写真入りの地図が配られます)
● 懐中電灯、ヘッドライト(早朝からハイクする場合)
● 雨が予測される場合、レインジャケット
● ジャケット(季節にかかわらず、日が沈むと気温がぐっと下がります)
● 日焼け止め
● GPS(携帯の電波がどこまで届くか不明なので、GPSも持っているとなお良い)

注意点
ザ・ウェーブには、最寄りの町カナブから車で舗装、未舗装の道を進み、さらに未舗装の道を歩いてやっとたどり着きます。トレッキングに適した丈夫な靴を用意しましょう。日差しが強いので帽子は必須です。日焼け止め、サングラス、トレッキング用の杖もあれば良いでしょう。
トイレはビジターセンター以降ありません。携帯トイレを持参するなどして、必ずごみを残さないようにしましょう!

時間帯

ザ・ウェーブ

トレッキングには、日差しの強くない早朝が歩きやすいですが、早朝や夕方は風景に砂岩の影が入ります。上のような影のない風景の写真を撮りたい方は正午あたりがおすすめです。許可証は24時間有効ですが、ここではキャンプはできません。

アクセス
ラスベガスからビジターセンターのある最寄りの町カナブまで3~4時間、そこからさらに未舗装の道も含めて2時間運転して駐車場まで行きます。ラスベガスからの日帰りは無理なのでカナブで1泊すると良いでしょう。天候によっては4WDが良いですが、普通車でもたどり着けます。駐車場からザ・ウェーブまで歩いてさらに2時間ほどかかります。

近隣の観光地情報

ブライスキャニオン国立公園

ブライスキャニオン国立公園

ブライスキャニオン国立公園は、ユタ州南部、コロラド高原内に位置します。ラスベガスから車で約4時間。1万年以上前から人類が住居していた形跡があり、古代プエブロの部族の後に、パイユート族が居住していました。ブライスキャニオンのブライスは、1800年代に入植した者の名前から取られました。何千年もの間風雨の浸食で形成されたHoodoo(尖塔群)と呼ばれる独特のギザギザの岩が立ち並び、日の出や日没の陽のあたり方によって、刻々と変化する色合いと風景は見るものを圧倒します。

アンテロープキャニオン

アンテロープキャニオン

アンテロープキャニオンは、アリゾナのナバホ族の土地にある渓谷で、ラスベガスから車で約4時間。アッパーキャニオンとローワーキャニオンがあります。アッパーキャニオンは、正午あたりには美しい日光の光線が渓谷内に差しこみ、幻想的な風景が見られます。ローワーキャニオンのほうが狭く、渓谷に降りる階段など歩きにくい場所もあります。入場料は6ドルですが、アッパーキャニオンに入るにはナバホの観光ガイドの付き添いが必要です。

ホースシューベンド

ホースシューベンド

ホースシューベンドは、アリゾナ州ページ付近にあり、ラスベガスから車で4時間弱、アンテロープキャニオンからは約15分の距離に位置します。ホースシューとは馬蹄のことで、コロラド川が大地をえぐって馬蹄型に流れているのを、300mの高さから眺めることができます。
国道89号線沿いに駐車場があり、そこから徒歩でさらに20~30分行くと崖に到着します。平坦な道ですが、日よけの帽子や水があれば良いでしょう。崖には柵もないので、落下にはくれぐれも注意。

ホワイトポケット

ホワイトポケット

ホワイトポケットは、アリゾナ州のユタにまたがるコロラド高原バーミリオンクリフス国定公園内にあります。ザ・ウェーブと同じく、ジュラ紀にできた砂岩が風雨で浸食され、表出した古代の地層が独特な風景を作っています。入場に許可証は不要ですが、ビジターセンターのあるカナブの町から4WDの車で未舗装の道を2時間走らなくてはたどり着けません。ところどころ険しい道もあるので、ビジターセンターでガイドを雇うのも良いでしょう。

グランドキャニオン

グランドキャニオン

グランドキャニオンは、アリゾナ州北部にある、世界遺産にも登録されたアメリカで最古の国立公園です。コロラド川の侵食によって、長い年月をかけて巨大な渓谷が形成されていきました。渓谷の長さは446km、深さは平均1200m。現在も侵食は続いていて、最古では20億年前の地層も見ることができます。ラスベガスから車で4~5時間。渓谷のスケールだけでも絶景ですが、日の出や日没に日の光によって刻々と変わり行く渓谷の色と表情は圧巻です。

サウスコヨーテビュート

サウスコヨーテビュート

サウスコヨーテビュートは、ザ・ウェーブと同じくアリゾナとユタにまたがるパリアキャニオン・バーミリオンクリフス保護地区内にあり、その環境を守るため、抽選で選ばれた1日20人しか入場できません。10人はオンライン、残り10人はビジターセンターで前日に抽選されます。最寄りの町カナブまでラスベガスから車で4~5時間、さらにカナブから2時間運転して入り口に着きます。風雨で侵食され表出した太古の地層の中をトレッキングします。水と帽子、丈夫な靴は必須です。

バックスキンガルチ

バックスキンガルチ

バックスキンガルチは、アリゾナとユタの州境にある絶景ハイクスポットです。車で最寄りの町カナブから1~2時間、ラスベガスからカナブまでは4~5時間。砂岩層が風雨によって侵食されてできた渓谷(スロットキャニオン)の中でも、ここはアメリカ西部で最も深く、最も長い(21km)と言われています。ハイク中には古代プエブロの描いた岩絵が見られます。天候によっては鉄砲水にあたることもあり、カナブのビジターセンターでガイドを頼むのも良いでしょう。

※掲載の情報は変更となる場合があります。

文=ささきなおみ
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