一人乗りの「ウニ舟」に乗り、舟を傾かせてウニを獲る
北海道の礼文島では、6月からウニの漁が始まる。風のない穏やかな日、早朝から漁師が海に出て、箱めがねで水中を見ながらタモ網でウニを獲る。網でごっそりと魚を獲る漁とは異なり、熟練の技と根気が必要な作業が続けられる。
漁が終われば、沖に戻って獲ったウニの殻から身を取り出す作業を行う。こちらも、形を崩さないように身を取り出し、汚れを取り除く、細やかかつ地道な作業だ。こうやって手間と時間がかけられて、美しいウニが食卓にのぼるのである。
ウニの産地はたくさんあるが、礼文島のウニのおいしさが有名なのには理由がある。礼文島のウニは、北からのリマン海流と南からの対馬暖流がぶつかる栄養豊富な海で、上質な利尻昆布を食べて育っているからだ。礼文島で獲れるウニは、「エゾバフンウニ」「キタムラサキウニ」の2種類。
濃厚な甘みが特長の「エゾバフンウニ」。6月~8月が旬
「エゾバフンウニ」はトゲが小さくまるでたわしのようで、馬の糞のような形であることから、その名がつけられたといわれる。身は美しいオレンジ色で、甘く濃厚な味わいはまさに絶品。この味わいを求めて国内外からも多くの人が訪れるという。
あっさりとした味わいの「キタムラサキウニ」。5月~9月が旬
「キタムラサキウニ」は、黒く大きなトゲが特徴。口の中でふわりととろける「エゾバフンウニ」よりもあっさりとしたおいしさだ。
礼文島に訪れたら味わいたいのが「ウニ丼」。島内には、獲れたてのウニが楽しめる店が点在しているので、ぜひその味を堪能したい。また、「うにむき体験センター」(新型コロナウイルス感染症拡大防止のため休業中 ※2020年8月現在)では、シーズン中、礼文島で獲れた新鮮なウニを自分で殻を剥いて食べることができると、人気を集めている。
青い海と断崖絶壁が美しい「澄海岬」
日本最北端の島である礼文島は面積が約82km²で、「澄海岬」や「スコトン岬」などの景勝地が点在。また、300種類以上の高山植物が咲き誇る「花の浮島」ともいわれている。本州では2,000m級の高山でしか見られない植物が礼文島では海抜0mから見ることができるのは、独自の生態系が守られているからこそ。島内はトレイルも整備されているので、レブンアツモリソウやレブンソウといった礼文島の固有種を見つけにハイキングを楽しむのもおすすめだ。
礼文島最北部の「スコトン岬」
グルメに景勝地、高山植物など魅力満載の夏の礼文島。この時期、訪れるのはなかなか難しいが、ウニは今が旬。お取り寄せして自宅で味わいながら、花に彩られた礼文島へ思いを馳せるのもいいだろう。
※掲載の情報は、2020年8月現在の情報です。内容は変更となる場合があります。