JTB旅card
Travel&Life トラベル&ライフ・ウェブマガジン

シンガポールの代表的カクテル「シンガポールスリング」

海外現地ライター便り
2020年07月16日
カテゴリー
海外旅行
旅行記

皆さんは、「シンガポールスリング」というカクテルをご存知でしょうか。 カクテルといってもただのお酒ではありません。その歴史は深く、シンガポールを語る上で切っても切り離せない存在です。 本日はそんな名物、シンガポールスリングについてご紹介していきます。

シンガポールスリングとは

シンガポールスリングは、シンガポールの至る所で味わうことのできる、国を代表するカクテル。1915年ラッフルズホテルのバーテンダー、ニャン・トン・ブーン氏により考案されました。イギリスの小説家サマセット・モームが"東洋の神秘"とたたえた世界一美しいと言われるシンガポールの夕日をイメージしてつくられた一品で、トロピカルカクテルの傑作とも言われています。

ラッフルズホテル ラッフルズホテル

誕生のきっかけ

シンガポールスリングの誕生には、歴史的慣習やその時の人々の身分が大きく関係しています。当時は、まだ女性が社交の場でお酒を嗜むことに抵抗のある時代でした。そのため、人前でお酒を飲んでいるように見えない外見や色合いのドリンクをつくろうとしたのが誕生のきっかけだといわれています。

マラッカ海峡に沈む夕日をイメージした、ピンクでエレガントな色合いのシンガポールスリングは、一見フルーツジュースにも見え、アルコールが入っていながらも甘く飲みやすい口当たりで、女性の間で瞬く間に人気を博したそうです。

シンガポールスリングの誕生を説明した掲示

ラッフルズホテルには、様々な場所にこの誕生のストーリーを説明した掲示があります。

シンガポールスリングの誕生を説明した掲示

ちなみに、シンガポールスリングの「シンガポール」は地名、「スリング」は"飲み込む"という意味のドイツ語 Schlingenが語源といわれています。

ロングバーについて

ラッフルズホテルのロングバー

このオリジナルのレシピを今も守り続けているのが、シンガポールスリング誕生の場であるラッフルズホテルのロングバー。発祥の地でオリジナルカクテルを一度は味わいたいと、世界中から観光客が訪れ、昼間でも賑わっている人気のスポットです。

ラッフルズホテルのロングバー

ラッフルズホテルのロングバー 店内

マレー半島の大農園をイメージしたという店内は、照明やお店のデザインともにクラシック。その空間の中にいると、イギリス統治下のシンガポールにタイムスリップしたような感覚になります。

ラッフルズホテルのロングバー 店内

ラッフルズホテルのロングバー 店内

ロングバーのもう一つの名物はピーナッツです。ここではピーナッツの殻を床に落とすのが一種の伝統行事。そのため、バーの床が殻だらけになることも。

ラッフルズホテルのロングバー テーブルにはピーナッツが

ピーナッツは写真のように席にあらかじめ設置されており、おかわり自由となっています。

鮮やかなピンク色のシンガポールスリング

実際に頼んだシンガポールスリングは鮮やかなピンク色で、噂通り見かけだけではお酒とはわからないような可愛らしい外見。 フルーティーでおいしく、すっきりした味わいと飲みやすさが本当にジュースを思わせる仕上がりになっています。

レシピ

ロングバーではオリジナルのシンガポールスリングのレシピを公開しているので、それを元に自宅で再現することもできます。

〈レシピ〉
ジン30ml、ベネディクティンDom 10ml、ピエール・フェランドライキュラソー 10ml、ルクサルド モラッコ・チェリー 10ml、グレナディン 10ml、スパイスプランテーションビターズ少々、ライムジュース 22.5ml、パイナップルジュース 60ml

ラッフルズホテル1階のギフトショップでベースリキュールも販売

パイナップルジュースとライムジュースを混ぜるだけで本場の味が再現できるよう作られたシンガポールスリングのベースリキュールが、ラッフルズホテル1階のギフトショップでも販売されています。

ロングバーで使われる専用のグラスも販売

ロングバーで使われる専用のグラスも販売

また同じ売場で、ロングバーで使われる専用のグラスも手に入れられるので、家族や友人へのお土産にすることや、自宅で作って楽しむこともできます。

シンガポールスリング味のジャムも販売

ギフトショップには、他にシンガポールスリング味のジャムやグッズも売られています。これらからも、いかにこのカクテルが有名な一品かということがわかります。

シンガポールスリングのグッズも売られています

他のレシピ

今や世界中のバーで提供されるメジャーなカクテルとなったシンガポールスリングですが、実は一般的に親しまれているのは、ラッフルズホテルで考案されたオリジナルのレシピではありません。ラッフルズホテルでできたシンガポールスリングは、その昔ロンドンに渡り、シンプルなレシピへとアレンジされました。その新しいレシピの方が世に広まっていったといわれています。

オリジナルのレシピは、ジンをベースに数種のリキュールとパイナップルジュース、ライムジュースなどで作られるため、現在広まっているレシピに比べると少し複雑です。

ひとくちに"シンガポールスリング"といっても、各バーによってその味や見た目は異なるため、シンガポールにお越しの際は色々な場所で味わってみるのも、滞在中の楽しみの一つになるのではないでしょうか。

ラッフルズホテル ロングバー
住所:#02-01 Raffles Arcade, 328 North Bridge Rd, Singapore

※掲載の情報は、2020年3月現在の情報です。内容は変更となる場合があります。

文・写真=Jalan.Makan.World
このページのトップへ