サンフランシスコから2時間ほど南下したところにあるモントレー半島。ここには、世界で最も美しいゴルフコースのひとつ「ペブルビーチ・ゴルフリンクス(Pebble Beach Golf Links)」や、「17マイル・ドライブ(17-Mile Drive)」という海岸沿いのドライブコース、そして、魚介の美味しいモントレーの街がある。カリフォルニアの潮風を感じながら、素晴らしい景色を旅してきた。
「17マイル・ドライブ」を走り始め、ペブルビーチリゾートのゲートを抜けると、海沿いに青々とした芝と数億ドルと言われる大豪邸が並んでいる。ここ「ペブルビーチ・ゴルフリンクス」は"神のみが創りえた"と称されるゴルフ場。全米オープンなどの6つの男子メジャーチャンピオンシップを開催し、世界のゴルフ誌でも絶えずトップに選ばれる。
海を眺めながらここでプレーをするのは多くのゴルファーにとって憧れなのだという。ゴルフ未経験の私でも、ここが美しい場所だということは一目瞭然。別世界に思わずため息がこぼれる。
人気の場所だけに、ゴルファーがたくさん行き交っているのかと思いきや、ほとんど人を見かけない。それもそのはず、こんな素敵なコースをにぎやかに回るはずがない。優雅で気品のあるゴルファーたちを遠くにちらほら見るだけ。
有名スポットの18番ホール。コースを回ってここまで来れたら一番だが、ここは予約も取りづらい夢のゴルフ場。世界中のゴルフ好きが、プレーが出来なくてもこの18番ホールをひと目見に訪れるらしい。記念写真を撮りにくる人たちも後をたたなかった。
ドライブコースを走っていると野生動物の多さに驚く。人間よりも動物に多く出会った気がする。岩肌から顔を覗かせるリスもいれば、沖にあるゴツゴツした大きな岩にはアシカの群れがいる。ランチタイムのようで、イルカのように水面から飛び跳ねながら魚を追っていた。
鹿は悠々とゴルフコースの芝を食べている。「ゴルフ場の芝って美味しいの!?」と話しかけながら、ちょっと近づくと、ちょっと離れる。人間と一定の距離を保っていた。ペブルビーチは、もしかしたら人間よりも動物の方が多いかもしれない。
ペブルビーチのトレードマークになっている「ローン・サイプレス(The Lone Cypress=ひとりぼっちの松の木)」。その名の通り、岩肌にポツンと立っている。海岸沿いには松やヒノキを多く見かけるが、このヒノキは特別だ。250年ほど前から健在で、火災で傷ついたり嵐で枝を失い外観を変えながらも、いまだにこの場所に力強く立っている。この木は北米で最も撮影された木としても有名だとか。
ちなみに「17マイル・ドライブ」は住民、徒歩もしくは自転車で訪れる人は無料だが、車で来た場合は有料。宿泊やゴルフをせずに訪れた場合、リゾート内で買物をした人や宿泊者は払い戻しの制度があるのでレシートを忘れずに!
ペブルビーチをあとにし、10分ほど北に車を走らせるとモントレー市内に着く。かつてイワシの缶詰め工場で栄えた街だ。この周辺は、国立海洋保護区として海の生態系が守られていて魚介も豊富だ。となったら、シーフードを食べないわけにはいかない!訪れたのは、ヨットハーバーを見渡せるイタリアンの「パルカ・トラットリア」。
7歳の時にイタリアのシシリアからモントレーに移住したオーナーのサルバトーレさん。漁師をしながらこのお店を開いたという。「親父は今もイタリアで現役漁師。50年以上キャリアもある親父にはかなわないよ!」と話してくれた。
新鮮な魚介のフリッターもサラダも美味しかったが、銀ダラのパスタと赤ワインのペアリングには感動。「魚介なら白でしょ」と、素人の安易な考えが払拭された。「JOYCEというピノ・ノワールの赤は銀ダラに合うよ」彼に薦められたまま半信半疑で口に含むと、脂がのっている銀ダラには、さっぱりのこの赤がぴったり!
カリフォルニアといえば、ヤシの木や白いビーチのイメージが先行していたが、ヒノキや松のあるゴツゴツした岩肌の海岸沿いは、太平洋の向こうに日本があるのを感じさせてくれた。西海岸の潮風を感じるゴルフコースやドライブルート、そして、ヨットハーバーを見渡せるお店でランチ。今までとは一味違ったカリフォルニアを旅したモントレーだった。
(Vol.4へつづく)
〈取材協力〉
カリフォルニア観光局:https://www.visitcalifornia.com/jp
ユナイテッド航空:https://www.united.com/
モントレー観光局:https://www.seemonterey.com/