南米の国、エクアドル。小国ながら国土の1/5が自然保護区で、多様性に富んだ素晴らしい大自然がギュッと詰まっています。国の真ん中をアンデス山脈が縦断し、西はガラパゴス諸島のある太平洋へ広がり、東側はアマゾンへと広がっています。そして、世界でも稀に見る多種多様の鳥が生息している鳥類の宝庫でもあるんです...。 その数なんと1,600種以上!
今回は、世界最大の鳥コンドルが見られる場所と、1カ所で世界でもっとも多くの種の鳥を見られるとっておきの場所をご紹介。
アンティサナの絶壁の岩肌に巣作りをするコンドルを眺める
アンデス山脈の一部を成す氷河をもつ「アンティサナ山」(標高5,704m)、その美しい山を含む「アンティサナ生態保護区(Antisana Ecological Reserve)」は、飛ぶ鳥としては世界最大のコンドルに出会える場所としても有名です。
絶壁の岩肌に巣を作り、運が良ければ卵を守る親コンドルの姿が見られます。羽を広げると全長3m以上のアンデス・コンドル...ボリビア、チリ、コロンビアそしてエクアドルの国鳥で各国旗にも描かれています。しかし現在その数は減少しており、エクアドルに生息しているコンドルは100羽足らずと言われています。コンドルの研究と保護も進められています。
アンティサナに住むハチドリ
アンティサナ生態保護区にはパラモと呼ばれる草原が広がり、標高4,000mでも多くの植物や動物が生息しているのには、ピロー(枕)と呼ばれる地を這う雑草が一役かっています。アンティサナ山の氷河から溶け出した水が地表から蒸発するのを防ぎ、水を上手く循環させているのです。
アンティサナのパラモに生息する鳥
そんな自然の恵みの中で、コンドルだけでなく、野生の牛、鹿や熊、兎などの動物、そして多種多様の鳥類も数多く生息しており、バードウオッチングの旅には外せない場所にもなっています。
ピンタグに住む、インディヘナ(原住民)のカウボーイ
現在こちらの保護区は国が管理していますが、昔はチャグラ(chagra)と呼ばれるエクアドルのカウボーイが守ってきました。今でも近くの街ピンタグ(Pintag)には、インディヘナ(原住民)のカウボーイが暮らしており、彼らが作ったレストランでは、温かいロクロ(ポテトスープ)、茹でたてのチョクロ(トウモロコシ)、そら豆、メジョコそしてホームメードのフレッシュチーズなど、どれもこの地で採れた新鮮な食材を使った素朴な料理。これが本当に美味しい!高地で冷えた体を温めてくれます。是非バードウォッチングのひと息に。
温かいロクロ(ポテトスープ)
ミンド・ベジャビスタで見られるアンデス岩どり(写真提供:Bellavista Lodge)
次は、標高2,000m前後に広がる雲霧林のミンド・エリアにある、タンダヤパ・バレー(Tandayapa valley)と呼ばれる渓谷にある「ベラビスタ クラウド フォレスト リザーブ (Bellavista Cloud Forest Reserve)」へ。米国オーデュボン・クリスマス・バード・カウント(Audubon Christmas Bird Count)により数えられる 、24時間で見られる鳥の数で最多数を数年連続で獲得・記録しているんです。正にバードウオッチング界では宝の様な場所。
1991年、最初にミンド・ベジャビスタに建てられたロッジ
この地に惚れ込んだ英国人、リチャード・パーソンズ(Richard Parsons)氏が、1991年にはじめてタンダヤパ・バレーの土地55ヘクタールを購入。その後徐々に土地を買い足し、今では70ヘクタールを個人保護区として保有しているというから驚きです。
ミンド・ベジャビスタで見られるハチドリ(写真提供:Bellavista Lodge)
エリア内には、自然の動植物を観賞する為のいくつものトレイルがあります。トレイルの目玉はやはり、多種多様な鳥観賞。ロッジにいるだけでも、ハチドリをはじめとする様々な鳥たちがやってきます。ハチドリだけでも130種以上、その中に世界最小の鳥マメハチドリがいるんです。早朝のある限られた場所でしかお目にかかれない鳥たちも、優れた自然ガイドの案内で、カメラに収めることができますよ!
ミンド・ベジャビスタに集まるハチドリ
エクアドルには、珍しい鳥や動植物に出会える場所も熟知している優秀なナチュラリストガイドがおり、エクアドルの自然を愛してやまない彼らと行くバードウオッチングの旅はまた格別です。