廣瀬 誠選手に聞く競技と地元名古屋の魅力
写真撮影:Norihiko Okimura

廣瀬 誠選手に聞く視覚障害者柔道競技と地元名古屋の魅力

パラスポーツ・アスリート×地域
2017年06月15日
カテゴリー
国内旅行
スポーツ

名古屋の「食」と「人」に支えられて

視覚障害者柔道メダリストの廣瀬誠氏 写真提供:NPO法人 日本視覚障害者柔道連盟

JTBグループでは、パラスポーツの発展とともに、地域を元気にするアスリートを応援していきます。 今回は、パラリンピックで2度にわたり銀メダルに輝き、昨年現役を引退した廣瀬 誠氏にアスリートとしての地域の環境と魅力を語っていただきました。

健常者と一緒にできる柔道の魅力

僕は愛知県西尾市出身で、名古屋に住んでからは13年くらいです。
視覚障害者柔道は、通常の柔道と違って、組んだ状態から始まります。逆に言えばそれ以外は同じなので、どこの道場でも学校でも練習できるんです。
僕が通っている田代道場の先生方や柔道を通じて知り合った皆さんは、そのことを理解して受け入れてくださった。僕にとってはすごく良い環境で練習を続けることができました。また視覚障がいがあっても、柔道を窓口にしていろいろな方と出会うことができました。

一方で、支えてもらうには選手の人柄も大切だと思います。僕の人柄が良いという意味じゃないですよ(笑)。でも、この選手を自分たちの街からパラリンピックに送り出そうと思ってもらえるような「人間力」も必要だと思います。選手も幸せになって、応援してくださった方たちも応援して良かったと思える。そんなWin-Winの関係を築けるような地域になると、より健常者と障がい者の共生が進むと思います。

健常者と一緒にできる柔道の魅力 写真提供:NPO法人 日本視覚障害者柔道連盟

名古屋は「食」が面白い

僕はみそかつが大好きで、大会前の減量中は「計量が終わったらみそかつ食べるぞ!」と思って練習したこともあります(笑)。いわゆる「名古屋めし」の手羽先とか喫茶店のモーニングとか、やっぱり名古屋は「食」が面白いと思います。
ですから友達をそうしたお店に案内したり、お互いに子連れの時は東山動植物園に行ったり。最近だと4月にオープンした「レゴランドR・ジャパン」に興味があって行ってみたいですね。

僕は娘が3人いますが、子どもが5歳になったらその子と二人旅に行くことにしています。3人一緒に連れていくと、私といる時間が短いとかいろいろ問題が出てくるので(笑)、ひとりの子とじっくり向き合う時間を作ろうと思って。
僕が白杖を持って人に道を聞きながら歩く姿を見て、お父さんのことを知ってもらう機会にもなるし、旅行を通じて、お父さんは障がいがあっても人生を楽しんでいると感じてもらいたいと思っています。

全国に柔道ができる「受け皿」作りを

視覚障害者柔道の普及に努める廣瀬誠氏
写真撮影:Norihiko Okimura

視覚障害者柔道は、観る楽しさもあります。
通常の柔道は、組み手を探り合っているうちに試合が終わってしまうことがあります。しかし視覚障害者柔道は組んだ状態で始まって、試合中も体が離れると組み直して再開します。
試合開始から最後の1秒まで、何が起こるかわからない技の応酬になるので、本当に面白いと思います。

現在は現役を引退したので、これからは各地の柔道関係者の方々に、視覚障がい者も健常者と一緒に柔道ができるんだということを広めて、受け皿となる学校や道場を増やすお手伝いができればと思っています。

廣瀬 誠(ひろせ まこと)プロフィール
写真撮影:Norihiko Okimura

P R O F I L E
廣瀬 誠(ひろせ まこと)

1976年11月22日 愛知県西尾市生まれ
高校時代に柔道を始めたが、2年生のときに病気から視力が極度に低下。筑波大学で視覚障害者柔道に打ち込み、2004年のアテネパラリンピックでは60kg級に出場して銀メダルを獲得する。その後北京、ロンドン、リオデジャネイロと4 大会連続でパラリンピック出場を果たし、リオデジャネイロ大会でも銀メダルを獲得する。国内では2013年の第28回全日本視覚障害者柔道大会で66kg級に優勝し、続く29回・30回大会では60kg級で2連覇を果たした。現在は愛知県立名古屋盲学校において教諭を務め、後進の指導にも励んでいる。

(取材協力:NPO法人 日本視覚障害者柔道連盟、日本財団パラリンピックサポートセンター )

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