カリフォルニアの旅を贅沢な時間に

カリフォルニアワイン&食紀行Vol.2
2019年12月27日
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海外旅行
旅行記

カリフォルニア州モントレーカウンティにある小さな町、カーメル・バイ・ザ・シー。三日月形の綺麗な白浜「カーメル・ビーチ」に面し、落ち着きのある景観は昔から芸術家や詩人に愛されてきた。そんな美しい街の中心地に位置する豪華なホテル「オーベルジュ・カーメル(L'Auberge Carmel)」。ここでカリフォルニアの贅沢な時間を旅してきた。

歴史ある優雅なホテル「オーベルジュ・カーメル」

ホテル外観

街は通りを歩けば気持ちいい海風が吹いてくる。ビーチから4ブロックほど坂を登ったところにホテル「オーベルジュ・カーメル」がある。1920年代に建てられた優雅な建築のこのホテルは、おもてなしやセンスが卓越し厳選された一流ホテル・レストランのみ加盟できる「ルレ・エ・シャトー」にリスト入りしている。

壁には月と太陽

ヨーロピアンアンティークで装飾されるホテル

ホテルの調度品

早々にチェックインし、中庭を通り抜け部屋に入ると、窓から光が差し込む心地いい空間が迎えてくれた。広々とした天蓋付きベッドの周りには、サンゴで作られたランプやアンティークの家具が置かれている。バスルームには大きなバスタブ、銅の洗面台があり、大理石のフロアには床暖房が付いている。ゆったりと過ごすのには最高の部屋だ。20部屋ある客室は、それぞれ18~20世紀のヨーロッパの調度品で装飾され、一部屋ずつ個性のある部屋になっている。どの部屋に泊まるか予約するときに考えるのも楽しみのひとつ。

心も体も癒されるおもてなし

男性従業員

トントントン、とドアがノックされ「こんなところで訪問客?!」と驚いてドアを開けると、焼きたてのクッキーを持ってきてくれた。「旅の疲れには甘いものが一番だよ」。クッキーはまだ温かく、香ばしい香りが部屋を満たす。時計を見ると、ちょうど"3時のおやつ"のタイミング。なんて心温まるおもてなし。クッキーも美味しいが、彼の笑顔で旅の疲れも癒えてくる。

ホテルには貴重なアンティークのものばかり

噴水やソファー

ホテルはロの字型になっていて、可愛らしい中庭を囲むように部屋が並んでいる。噴水やソファーが並び、希望すれば中庭で朝食を取ることもできる。

ヨーロピアンスタイルの家具

部屋だけでなく、ロビーやダイニングルーム、バーは、すべてヨーロピアンスタイルの家具や調度品で装飾されている。今では手に入らないものばかりだという。

夕食はミシュランレストラン「オーベルジーン(Aubergine)」へ

シェフ

海風にあたり、ホテルを散策した後は、お腹が空いてきた。夕食はホテル内にあるミシュラン星付きレストラン「オーベルジーン」へ。

ここのシェフ、ジャスティン・コグリーは異例の経歴の持ち主だ。シェフになる前は、なんとプロのフィギュアスケート選手として、世界中をツアーショーで旅していた。"Disney on Ice"でシンデレラの王子様役だったとか。日本にも何度か訪れたこともあるらしい。

旅先で出会った食材、美味しいワインに感動し、アメリカに帰国後、レストランで働き始めることからキャリアを積み始める。その後、シェフとしていくつもの賞を受賞し、ついに2019年、「オーベルジーン」もミシュランで星を獲得したのだ。

まるで旅しているかのようなコース料理

キャビア料理

毎日変わるというコース料理は、最高級の食材や新鮮な地元野菜を使ったものばかり。メニューには食材しか書かれていないから、どう料理されてくるかは出てきてからのお楽しみ。

最初に出てきたのは"ノリネイド"というソースが添えられたキャビア料理。そのソースが特徴的。シェフが考案したもので、日本の海苔をオリーブオイルで6時間以上も煮込んで作るのだとか。口に入ると海の香りが一気に広がる。

コース料理の数々

他にも「白だし」を使ったスープや、薄焼き卵の巾着巻きのような料理も、日本人には親しみが持てる。アメリカではなかなか見かけない食材や味が出てくるのは、世界中を回った彼だからこそ生まれてきた。食事をしながら旅をしているような気分にさえなってくる。そして、お皿も料理に合わせて個性あふれるものばかり。

白ワイン

そして、ワインセラーには地元モントレーを主にしたワインが2500ボトルも置かれている。ワインに詳しくない限り、そこから食事に会うのも選び出すのは至難の技。ワインリストとにらめっこするより、そんな時はお任せするのが一番いい。

贅沢な時間を旅できるカリフォルニア

カリフォルニアで、ここまで穏やかな時間を過ごせるとは期待以上だった。ホテル「オーベルジュ・カーメル」で過ごす優雅な時間と、「オーベルジーン」での豊かな食事。一歩出れば夕日が沈む美しいビーチと海風が通り抜ける洗練された街並みが待っている。多くの人に愛される小さな街、カーメル・バイ・ザ・シー。ここは心落ち着かせゆったりと旅のできる街だった。

(Vol.3へつづく)

〈取材協力〉

カリフォルニア観光局 https://www.visitcalifornia.com/jp
ユナイテッド航空 https://www.united.com
モントレー観光局 https://www.seemonterey.com

写真・文=葛西 亜理沙
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