トラベル&ライフ2019.8-9月号の巻頭特集の取材で訪ねた、カナダのナイアガラ・フォールズとトロント。ナイアガラ・フォールズは世界三大瀑布のひとつに数えられているだけに、想像を絶する大迫力には、正直なところ仰天した。
その様子は本誌でお楽しみいただくとして、ここではトロントのディスティラリー歴史地区で見つけた日本酒をご紹介しよう。
トロントの中心街から徒歩約10分のディスティラリー歴史地区は、かつて大英帝国最大の蒸留所があったところ。石畳の道の両側にレンガ造りの重厚な建物が並び、独特の雰囲気を漂わせている。
「Ontario Spring Water Sake Company (泉酒造)」の入り口
その一角で見つけたのが、「Ontario Spring Water Sake Company (泉酒造)」。オンタリオ州で唯一の酒蔵である。オーナーのケン・バルバー氏はカナダ人で、東京に住んでいたこともあるという。「泉」ブランドの純米酒をこの地で造っており、なんと酒かすもある。米はカリフォルニアの山田錦、水は北オンタリオの森と湖が広がるムスコカの湧水を使っている。
立派な薦被り
店内に入ると墨痕鮮やかな「泉」と書かれた立派な薦被りがどーんと置かれ、日本の酒蔵を訪ねたような感じ。一瞬ここがカナダとは思えない。
左から濁り酒、純米吟醸、生酒
さっそく試飲してみると、きりっとした芳醇な味わい。「泉」ブランドの酒はトロントの高級レストランの多くで提供されているそうだが、確かに旨い。ちなみに、酒かすは酒かすアイスクリームにしたり、生酒とクランベリー、ライムジュースなどとミックスした「SAKE PORITAN」なるカクテルとして販売している。
「Spirit of York」
清酒の味わいを堪能し、次は「Spirit of York」を訪ねた。Yorkとはトロントの旧名で、ここではウオッカ、ジン、ウイスキーなどの試飲ができる。ライ麦100%のウイスキーは、スモーキーでくせになる味わいだ。ウイスキー好きにはたまらないだろう。