トラベル&ライフ2019.8-9月号の特別企画で訪ねた足利。本誌ではおすすめのランチスポットとしてココ・ファーム・ワイナリーを紹介したが、ここでは同ワイナリーで醸造するワインについてクローズアップしたい。
ココ・ファーム・ワイナリーの原点ともいえるブドウ畑。
ココ・ファーム・ワイナリーの原点ともいえるのは、ワイナリーの前に広がる急斜面のブドウ畑。地元の特殊学級(現・支援学級)の中学生たちと担任教師が開墾し、ブドウ栽培を始めたことに由来するのは本誌で紹介した通り。もともと畑の開墾とブドウ栽培は、支援学級に通う子どもたちの自立を目的に行われた取り組みで、それがやがてワイン醸造に発展していった。
見るからに急斜面のブドウ畑は平均斜度が38度もあり、大型の機械や車両が入らない。そのため、草取りなどの農作業は全て人の手による。とても大変な作業だが、実は車両や機械の重さで土の中の空気の通り道を潰さずにすみ、土が固くならない利点がある。
また、病気になった葉や実を1つひとつ取り除いたり、ブドウの房に笠をかけたりという丁寧な作業がおいしいワインを造る大きな要因になっている。さらには、こうした地道で細やかな作業は自然のなかでの"仕事"という得難いものを生み出したのも何より大きい。
生産しているワインは、スパークリングワインから、白、赤、ロゼ、そしてデザートワインと実に多彩で、その数は年間約24種約20万本を数える。代表銘柄のひとつ「北ののぼ」は、国内では珍しい瓶内二次発酵のスパークリングワイン。2016年のG7広島外相会合の夕食会の乾杯の際に用いられたことでも、質のよさがうかがえる。
自慢のワインが並ぶショップ
樽に施された彫刻が目を引く。樽彫アーティスト・山下亮太さんの作品
カフェは、ブドウ畑を望む開放的なテラス席のほか、白いテントの客席もある。取材時の6月はまだブドウの実が付いたばかりだったが、秋にはたわわに実ったブドウ畑を眺めながらワインと食事が楽しめる。
ショップも併設しているので、帰りに立ち寄りたい。各種ワインはもちろん、ロゼスパークリングジュースやぶどうジュースなどノンアルコールドリンクやジャム、レーズンサンドといったお菓子などもあり、おみやげにもぴったり。ショップ前のスペースは、ブドウの葉から光が差し込み爽やかな空間だ。テーブルの脚代わりに彫刻が施されたワイン樽を使用しているのもユニーク。
足利まちなか遊学館の1階は休憩スペースもある。2階で着付けを行っている
足利銘仙の着付け体験ができる足利まちなか遊学館。着物は足利銘仙のほか、浴衣、男性用の着物などがある。最近では海外からの観光客の利用も多いそうで、そのため体格のよい人向けに浴衣は5Lサイズまで用意しているという。
「日本人のお友達と一緒に来て、自分だけ着物を着られないのは悲しいので大きいサイズを用意しました。どんな体型の方が来ても大丈夫です」と話すのは、着付けを担当する足利まち歩き事務局の木村克子さん。「着物を着ると、みなさん不思議と笑顔になるんです」とも。歴史ある街を着物で散策する...伝統文化にふれる街歩きを楽しみたい。