スペインのバルセロナといえばサグラダ・ファミリア。毎年、数多くの観光客が訪れます。しかし、そこからガウディ通りを抜けてサン・パウ病院(世界遺産)まで行く人はそう多くありません。
ガウディといえば、いくつもの作品が世界遺産となっていますが、一番有名なのは、やはりサグラダ・ファミリアです。実際目にするこの建物のスケールは、一見の価値があります。
着工から100年以上経った現在でもまだ建設中という珍しい世界遺産で、ガウディの没後100年にあたる2026年の完成を目指して着々と建設が進んでいます。一度見学した人でも、数年後には新たな部分が出来上がっているので再度見学する人もいます。日本人彫刻家の外尾氏が主任彫刻家として活躍されているので、もしかしたら偶然見かけるかもしれませんね。
そのサグラダ・ファミリアを設計した建築家の名前を取ったこの通りは、当初の計画では4本だったと伝えられています。実際には、現存するガウディ通り以外の3本は、サグラダ・ファミリア同様未完のままとなっているようです。このガウディ通りは、バルセロナの中心にある観光客であふれかえったランブラス通りのように人が多くなく、安心して街歩きができる通りです。
疲れたらカフェテリアやテラスでお茶をしても良し、レストランで食事をしても良し、通りに並んでいるベンチに座って休憩しても良し。
ランブラス通りはほとんどが観光客ですが、ここガウディ通りは地元の人も普通に利用しています。散歩している人やベンチで新聞を読んでいる人、カフェでおしゃべりしている地元の人などよく見かけます。そんな中でゆっくり散歩すると、地元の雰囲気を味わえます。サン・パウ病院までは徒歩10~15分程度。歩いている途中で振り返ると、どこからでもサグラダ・ファミリアが見えます。
サン・パウ病院は、ガウディと同時期に活躍したリュイス・ドメネク・イ・ムンタネー(カタルーニャ音楽堂も彼の作品です)の作品で、2009年まで実際に病院として機能していました。14万5000m²の敷地内には48の建築物が立ち並び、計画的に配置された病棟や庭園は、「芸術には人を癒す力がある」というドメネクの信念のもとに造られました。
デザインのひとつひとつが美しく、殺風景な病院を想像して向かうと驚いてしまいます。 細かい装飾で飾られた赤レンガの建物が並び、独特の世界観を醸し出しています。
室内はステンドグラス、陶器などで美しく装飾されていて、天井の美しいアーチに施されたモザイクタイルは、花をモチーフにした淡い優しい色彩で彩られています。おとぎの国のような美しさには思わずため息をつかずにはいられません。また、芸術的な面だけではなく、自然光や通風を考慮した配置や、病棟と病棟の間を地下の廊下でつなげるなどといった機能的な面も見られます。
サグラダ・ファミリアから少し足を延ばし、のんびりガウディ通りを散歩しながら地元の空気感を味わい、もうひとつ別の世界遺産を堪能する。次にバルセロナに来られたら、こんなプランはいかがでしょうか?