緑豊かな仙酔島。高台に国民宿舎が立つ
緑豊かな仙酔島。高台に国民宿舎が立つ

広島 鞆の浦の沖合に浮かぶ仙酔島の魅力

トラベル&ライフ 取材こぼれ話
2019年05月31日
カテゴリー
国内旅行
旅行記

トラベル&ライフ6-7月号の「心ほどけるラグジュアリ-ステイ」の取材で訪ねた鞆の浦。
2017年11月に国の「重要伝統建造物群保存地区」に選定された風情ある町並みで知られている。その鞆の浦の海辺に立つのが「東?亭」。瀬戸内海の新鮮な魚介類が楽しめる宿で、そのおいしさは本誌で書いた通りだが、どの料理も板前さんの技と創意が感じられる逸品である。
今回は「東?亭」の沖合に浮かぶ仙酔島を紹介しよう。

鞆の浦の渡船場の内部 鞆の浦の渡船場

仙酔島は全体がすっぽりと樹木につつまれた周囲約5kmの小島。"仙人も酔ってしまうほど美しい島"ということから名づけられたという。鞆の浦のひなびた渡船場から福山市営の船で5分ほどで到着する。朝7時10分から夜9時30分まで、日中は1時間にほぼ3本のペースで運航している。料金は往復で大人240円。渡船場の2階にはカフェ&ギャラリー SHION(潮音)があり、待ち時間にオリジナルブレンドコーヒー(350円)が楽しめる。

歴史の舞台となった鞆の浦で幕末に思いを馳せる

坂本龍馬の写真が飾られている平成いろは丸の船内 坂本龍馬の写真が飾られている平成いろは丸の船内

福山市営の船の名前は、平成いろは丸。船内には坂本龍馬の写真や古い操舵輪などが展示されているが、これには次のようなエピソードがある。江戸から明治となる慶応3年(1867)4月、坂本龍馬率いる海援隊の「いろは丸」と、紀州藩船「明光丸」が瀬戸内海の六島沖で衝突。鞆の浦へ曳航される途中に、いろは丸が沈没するという「いろは丸事件」が発生。龍馬と紀州藩との談判は、鞆の浦で4日間行われたのである。

3本のマストが立つレトロな姿の平成いろは丸 レトロな姿の平成いろは丸

平成いろは丸は全長約22m(19t)と海援隊の「いろは丸」よりは少し小ぶりだが、3本のマストが立つレトロな雰囲気で人気がある。わずか5分のミニクルーズながら、デッキに出れば瀬戸内海の潮風が心地よい。

キャンプや温泉、海水浴もゆったり楽しめる仙酔島

仙酔島の海水浴場 仙酔島の海水浴場

仙酔島には人は住んでいないが、島内には国民宿舎やキャンプ場、温泉施設などがある。遊歩道も整備されているので、時間があれば自然豊かな島内をのんびりと散策したい。江戸風呂と名付けられた温泉施設には、洞窟蒸し風呂や海を望む露天風呂などがある。夏は静かな入り江で海水浴が楽しめる。時間がゆったりと流れる仙酔島は、鞆の浦ならではの別天地といえるだろう

文・写真=木村小左郎
※掲載の情報は2019年4月時点の情報です。内容は変更となる場合があります。
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