バルセロナ、ティビダボの丘に位置するこのコスモ・カイシャは地元大手銀行Caixa(カイシャ)が運営する自然科学博物館で、ヨーロッパにある自然科学博物館の中でも最大級の規模を誇ります。総面積は50,000m²以上もあり、展示内容もかなり充実しています。
エントランス部分は1904年にドメネク・イ・エスタパという建築家によって設計されたモデルニスモ建築で、展示スペース部分のガラス、鉄を使った現代建築とうまく融合されています。カイシャによって2004年に現在のような自然科学博物館となりました。
モデルニスモといえばガウディですが、ここでも美しいモデルニスモ建築が見られます。また、カフェやレストランも併設されているので休憩をはさみながらゆっくり見学することができます。
地球の誕生からの生命の進化や、物理や気象学、化学、地学などに関する展示コーナーが並んでいます。また、展示物を見てまわるだけではなく、ボタンを押すとさまざまな現象が再現されたり、実験的な装置を作動することができたりと、大人も子供も興味津々の楽しい仕掛けが盛りだくさんです。
アマゾンに生息する動物の鳴き声が聞けたり、地層の巨大な断面に触れることができたり、化石や動植物、昆虫などにも触ることができたり、実際に体験できる手法が随所に見られます。
その他にも、プラネタリウムを見ることができます。時期によっては特別展示もあり、私が行った時は「TIN TIN(タンタン)」の宇宙をテーマにした特別展が開催されていました。
これは遠く南米ブラジルのアマゾンのジャングルから運び込まれたAcariquaraという樹を展示してある空間です。中心の吹き抜けは地上部3階、そして地下部分が6階の計9階建て。螺旋状の通路を回りながら、存在感たっぷりな樹のスケールを実際に体感できます。
この充実した博物館でどれかひとつ選んで紹介するならば、やはり「Bosque Inundado」というアマゾンの熱帯雨林を再現したこのビオトープでしょう。面積はなんと1,000m²超えです。この中に植物、魚類、爬虫類、両生類、鳥類など、100種類以上の生き物が住んでいます。
池の中には世界最大の巨大魚ピラルクも泳いでいます。森の中にはフラミンゴが飛んでいたり、時折人工的にスコールのような大雨を降らせたり、見る者をアマゾンのジャングルに来た気分にさせてくれます。 限りなく自然に近い状態でアマゾンの生態系を見られるのはヨーロッパ広しといえどもコスモ・カイシャだけではないでしょうか。
しっかりした展示内容で大人でも十分楽しめる自然科学博物館、コスモ・カイシャ。久しぶりに童心に返って展示物を見て体験してみると、意外と新しい発見があるかもしれません。
ちなみに、コスモ・カイシャの近くには、ガウディが建築したフィゲレス邸や、地下鉄最寄りのティビダボ駅(Tibidabo)から北にのびるティビダボ通りには、個性的な建築物が建ち並んでいます。すこし足をのばせばTemple Expiatori del Sagrat Corという素敵な寺院にも行くことができるので、そちらも観光してみてはいかがでしょうか。