音楽の都ウィーンは、ハプスブルク時代からの街並みが残る美しい街として、多くの観光客を魅了しています。ウィーン旧市街全体が世界遺産であるため、建物の外観を変更するには膨大な基準をクリアする必要があり、高層ビルはほとんどありません。そのため、少し高い建物に上ると、絶景を見渡すことができます。
そんなウィーンを、一望のもとに見下ろせるスポットをご紹介します。
シュテファン大聖堂南塔
まずは、ウィーンのへそともいえるシュテファン大聖堂。ウィーン旧市街では、この塔より高い建物を建てることが禁止されているため、街の中心地では最も高い塔になります。シュテファン大聖堂には北塔と南塔があります。南塔は136メートルあり、343段の階段を上った先に、素晴らしい景色が広がっています。
シュテファン大聖堂北塔からの眺め
一方北塔は、悪魔伝説が残されています。中世の時代、工事が難航していた中、 現場主任の男は、「塔を完成させる代わりに、聖母マリアの名前を口にしてはならない」という契約を悪魔と結びます。おかげで工事が順調に進みますが、ある日男は、下を通りかかった恋人の名前「マリア」を呼んでしまい、男は塔から落ちて死んでしまいました。
この伝説のため、この塔は68メートルで建設が中断したまま、現在に至ります。内部にはエレベーターがあり、プンネルンの愛称で知られる大きな鐘も見ることができます。
北塔からは、大聖堂の屋根に眼下には馬車、見渡すとウィーンを取り囲む風景が見渡せます。
プラーターの観覧車
プラーター公園という遊園地の中にある、世界最古の現役観覧車からのパノラマも絶景です。ハプスブルク家の時代に建てられただけあり、そのレトロな鉄骨や、赤いワゴンが街のシンボルの一つとなっています。
プラーターの観覧車からの景色。右端の一本の尖塔はシュテファン大聖堂
1897年に建造され、映画『第三の男』にも登場した歴史ある観覧車ですが、ここからの眺めも格別です。足元に遊園地を眺めつつ、旧市街の方に視線を向けると、シュテファン大聖堂などの主要建物がよく見えます。観覧車はゆっくりと回り、65メートルの高さまで上りますので、さまざまな角度からの景色を楽しむことができます。
ドナウパークにそびえるドナウタワー
ウィーンで最も高い建造物は、ドナウ川のほとりにそびえるドナウタワー。
ドナウタワーから見下ろせるドナウ川の流れとウィーン。遠景にはウィーンの森
エレベーターで地上150メートルの展望台に上ると、ドナウ川の向こうにはプラーターの観覧車や旧市街のシルエットが広がり、ウィーンの森まで見渡せます。展望台の上の階には、360度回転するカフェとレストランもありますので、夜景を楽しむにも最適です。
高射砲塔を改装して作られた水族館
ウィーンには、第二次世界大戦のときにナチスによって建設された高射砲塔が6基残されています。そのうちの一つは、内部が水族館に改装され、家族連れに人気の憩いの場になっていますが、47メートルの高さにあるこの建物の、最上階のカフェからの眺めが絶景です。
戦争中に対空砲が設置されていた不思議な過去を思い浮かべ、近代史に思いを馳せながら見下ろすウィーンも、ひと味違います。
カーレンベルクからの眺め。手前にはブドウ畑、左にドナウ川、右に旧市街
少し街中から離れて、ウィーンの森の方にも、街を見下ろせる絶景ポイントがあります。
高度484メートルのところにあるカーレンベルクの展望台は、ブドウ畑が広がるのどかな丘陵地帯にあります。ここは1638年、ウィーンがオスマントルコ軍に取り囲まれたときに援軍が集結し、街を見下ろしながら作戦を練った、伝説の地。ここに集結した歴戦の王たちの気分になって、ドナウ川やウィーンを見下ろしてみるのも一興です。
歴史を感じながら、ウィーンを見下ろせる絶景ポイントをいくつかご紹介しましたが、いかがだったでしょうか?有名な絶景ポイントから、あまり知られていないところまで、ウィーンを空から楽しめるポイントはいくつかあります。
ぜひウィーンを訪れる際には、街を見下ろして、見慣れた景色をちょっと違う角度から楽しんでみてくださいね。