5月になると、信州でも本格的に行楽シーズンが始まります。
戸隠連邦への登山や戸隠スキー場でのトレッキングなどが楽しめる戸隠も冷たくピンと張り詰めた空気が薄れ、やわらかな春の香りが漂い始めました。
戸隠といえば神話「天岩戸伝説」で知られる戸隠神社が有名です。ここはかつて修行道の霊場として栄えた地。霊山・戸隠山の麓に、奥社・中社・宝光社・九頭龍社・火之御子社の五社が点在しており、今もなおその強い力を求めて多くの人が訪れるパワースポットです。けれども戸隠の魅力は神社だけではありません。雄大な趣でそびえたつ戸隠連峰、山々の姿を映し出す美しい池、そして野鳥や高山植物。神社を包み込むように広がる豊かな自然は他にはない魅力に満ちています。
戸隠の大自然を楽しむのならやはり歩いてみるのが一番です。今回紹介するのは戸隠に点在する3つの池を巡るコース。距離は7.2km、所用時間は2時間30分ほどという手軽なコースなので、初心者でも気軽に楽しむことができるでしょう。スタートは戸隠五社の中央に鎮座する中社。ここから北に向かって約40分歩き、奥社参道に隣接する戸隠森林植物園へ入ります。
戸隠森林植物園 写真提供:戸隠観光協会
戸隠森林植物園は敷地面積が約71ha(東京ドーム15個分)という広大な自然公園です。手つかずのままの自然が残り、750種もの植物群、年間120種あまりの野鳥(日本野鳥の会による調査)が生息しているといわれるまさに自然の宝庫。中央広場入り口にはみどりが池があり、この時期なら新緑がきらめき、カルガモがゆったりと泳ぐ、心和む風景が広がっています。
また、池の周りを歩いていると水芭蕉がたくさん咲いているのに気が付くでしょう。それもそのはず、戸隠森林植物園は水芭蕉の名所。園内には、水ばしょう園や水芭蕉のこみちなどもあり、5月上旬から中旬にかけて約50万株もの水芭蕉が開花します。水芭蕉というと小さな花がぽつぽつと咲いているという印象ですが、この水芭蕉は花が大きく、さらに密集度も高いため、可憐な水芭蕉の印象が変わってしまうほどのダイナミックな風景に出合うことができます。
鏡池 写真提供:戸隠観光協会
植物園の中を散策しながら池めぐりコース沿いに40分ほど歩くと鏡池に到着します。鏡池は透明度が高く、天気の良い日には水面に戸隠連峰のシルエットを映し出します。新緑の緑と空の青のコントラストもすばらしく、気持ちのよい風景を前に深呼吸をすれば、心も体も洗われるようです。この壮大かつ神秘的な景色は戸隠屈指の景勝地といわれ、新緑の時期のみならず、紅葉時や積雪時など、季節を問わず多くの人々を魅了しています。
鏡池から森林地帯を50分ほど歩き、最後は小鳥ヶ池へ。これはその名のとおり、多くの野鳥の姿が観察できることで知られています。鏡池よりも小さな池ですが、こちらでも戸隠連峰の映り込みを楽しむことができます。鏡池では、戸隠連峰が迫るようにそびえる姿が見られますが、鏡池よりも戸隠連峰が遠くにあるため、少し奥まって見えるのが特長です。池には東屋もあるので、絶景を前にゆっくりと小鳥のさえずりに耳を傾けるという贅沢な時間が楽しめます。
小鳥ヶ池から10分ほど歩いて中社へと戻ります。ここからは自由に、戸隠の日帰り温泉を楽しんでもいいし、戸隠流忍法の神髄に触れる施設に立ち寄るなど楽しみはたくさんあります。また、戸隠そばはぜひこの地でいただきたいもの。寒冷な地で育ったそばは、香り高く、旨みも十分。さらに戸隠そばの特長である辛味大根がおいしさをひきたてて、他にはない味わいとして心に残るでしょう。
戸隠神社で五社参拝するとともに、壮大な大自然の中を歩く旅。特に5月は新緑が芽吹き、水芭蕉が咲く美しい季節です。大地のエネルギーが満ち溢れる5月の戸隠に、ぜひお出かけください。
JTBでは、4月1日より「日本の旬 信州」キャンペーンを実施中。信州の雄大な自然と、山々から与えられた数々の恵みをテーマに、信州の魅力を堪能できるプランをご紹介しています。今回ご紹介した戸隠池めぐりは「これからはじめる 信州の山歩き10選」のプランのひとつです。
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