観光立国であるタイは美しいビーチリゾートが多いことでも有名です。プーケットやサムイ島などは特に有名であり、海外旅行好きの人であれば一度くらいは行ったことがあるかもしれません。これらの地では観光開発が十分に進んでおり、何ら不自由を感じることなく安心して旅行を楽しむことができます。
とはいえ、ベテラン旅行者の中には手軽さや便利さなどよりも、ある種の"秘境"感を求めるということもあるかと思います。たとえば、映画の舞台となったことで注目を集めたピピ・レイ島は"秘島ビーチ"として大人気の観光名所となりました。ところが、このピピ・レイ島も、急激な観光地化を原因とする生態系の乱れが問題となり、先日は生態系回復のための無期限閉鎖が決定されてしまいました。
そのような状況の中、タイに残された"最後の秘境""最後の楽園"などと称されているのがタイ最南部アンダマン海の小島、リペ島です。海水の透明度や美しさから"タイのモルディブ"などとも呼ばれています。
リペ島には「パタヤビーチ」「サンライズビーチ」「カルマビーチ」「サンセットビーチ」の4つのビーチがあります。それぞれのビーチごとに違った雰囲気があり、すべて回って比べてみるのも楽しいです。
島の玄関口となるビーチ。タイ本土の港や隣国マレーシアのランカウイ島などから来る高速ボートはこのビーチに到着します。ビーチ沿いにはレストランやバー、ダイビングショップ、ホテルやバンガロー、ナイトクラブなどが並んでいます。リペ島で最も賑やかなビーチであり旅行者の数も多いのですが、島の人々によって掃除がしっかりされているためか、とても綺麗です。海水の透明度も高く、この島が"タイのモルディブ"と呼ばれていることに納得させられます。
島内最長の砂浜ビーチ。ビーチ沿いには数多くのバンガロー施設が並んでいます。海辺には無数の小型ボートが停泊しており、これをボートタクシーとして利用し周辺の島々へ渡ったり、アイランドホッピングを楽しんだりすることができます。全体的にのんびりとした静かな雰囲気が特徴で、宿泊の場所として最も人気があるようです。その名のとおり、美しい日の出を見ることができます。
リペ島で最も美しいといわれる白砂のビーチです。すぐ目の前には隣の島の姿が大きく見えて迫力があります。美しい砂浜ビーチのところどころには岩場もあり、たくさんの魚が集まって泳いでいます。他のビーチと違ってボートの停泊がないので、シュノーケリングをするのには最適の場所です。
陸側には大型リゾートが2軒あるだけ。人も少なく、ほとんどプライベートビーチのような雰囲気の中で静かに過ごすことができます。早朝にはヨガや瞑想をしている人などがチラホラいます。
最も美しい夕日が見られるビーチ。岩場が多く日中はほとんど人がいないのですが、夕方頃になると人が集まってきます。周囲には森が広がり、またビーチに出る道に舗装されていない部分が多く、4つのビーチの中では最も"秘境"の雰囲気を感じることができます。水の透明度が高くて魚もたくさん泳いでいるのですが、とにかく岩が多いのでシュノーケルをする際には若干の注意が必要です。ビーチには巨大な蚊がたくさんいるので虫除け対策も必須です。
これら4つのビーチは全て徒歩圏内。20~30分程度で歩いて回れます。小さな島なので、一日に全てのビーチを回ることも容易にできます。
ビーチからビーチへの移動中、山中の道にはヒッピーが好みそうなレゲエバーがあったりします。この様なお店で遊んでいくのも面白そうです。
"最後の秘境"といっても、リペ島での生活で不便を感じることはほとんどありません。島唯一の繁華街である「ウォーキング・ストリート」には、たくさんのみやげ物店の他、レストラン、カフェ、薬局、スーパーマーケットなどが揃っており、セブンイレブンも2軒あります。本土の町と比べると若干物価は上がりますが、生活に必要な物はほぼ手に入れることができます。
欧米人が好みそうなお洒落なバーや、本格的な釜焼きピザの店なども続々オープンしており、今後も店の数は増えそうです。別の見方をすれば、近い将来この島もピピ島のように観光地化が進み過ぎてしまうのでは、とも考えられます。そういう意味でも、今こそ行っておくとよい場所なのかもしれません。
といっても、旅行者がほとんど立ち入らないような村落や、島民が普通に生活しているローカル地区もたくさんあります。そして、その様な場所近くに驚くほど安くて美味しい食堂があったりします。そんなお店を探しながら散策してみるのも楽しいでしょう。小さな島なので、どこでも歩いて回れます。