古き良き台湾を思わせる、ノスタルジックな建物が今も数多く残る台湾。そんな昭和レトロな建物に花を添える、マジョリカタイルを集めた小さな博物館が、嘉義という街にあります。懐かしくもあり新しくもある「台灣花磚博物館」の色鮮やかな世界をご紹介します。
花磚(ファーズァン)とは、多彩な色やレリーフを施した装飾タイルのことです。
マジョリカタイルとも呼ばれ、そのルーツはヨーロッパにあります。日本に渡ってきたのは明治維新以降のことで、イギリスのビクトリアタイルを模したと言われています。1900年代前半、日本統治下にあった台湾にも持ち込まれ、民家の屋根や門など目立つ位置に装飾するのが流行しました。当時、高価なものであった花磚は、家主の地位や権力を象徴する役割も果たしていたそうです。台湾の民家や廟などに今でも残る花磚は、すべて日本で作られたものですが、子孫繁栄を象徴する果物や、縁起のいい動物などを描いた台湾ならではのデザインに人気があったようです。
「台灣花磚博物館」があるのは、台湾の嘉義という街。街のいたる所に、名物の火鶏肉飯(七面鳥肉ごはん)の看板を掲げるお店があります。
博物館は、台鉄嘉義駅から林森西路沿いを歩いて10分ほどで到着します。(新幹線の嘉義駅ではないのでお間違いなく!)博物館というと、入り口も建物も大きなイメージを抱きがちですが、町屋スタイルの一角を改装した小さな建物なので、通り過ぎてしまわぬようご注意ください。
博物館へ一歩足を踏み入れると、そこには色鮮やかで華やかな花磚の世界が広がっています。奥行きのある2階建ての建物の中は、たくさんの観光客でにぎわっていました。
この博物館のオーナーさんは、長きにわたりの花磚の研究と収集に時間をささげてきた方で、材木問屋だったこの建物を数年前に改装し、博物館をオープンされたそうです。花磚の生産は太平洋戦争によって終わりを迎え、数千棟に及ぶ花磚を施した貴重な建物も、この数年に取り壊されてしまったそうです。この博物館では、徐々に姿を減らしつつある花磚を、台湾の重要な文化遺産として守っていこうという活動も行っているそうです。
また館内では、コースターやポストカードなど、花磚をモチーフにした雑貨の販売も行っていて、入場チケットは割引券として使うことができます。
まだあまり知られていない小さな博物館ですが、歴史好きやアート好きの方々におすすめの博物館です。嘉義を訪れる際はぜひ足を運んでみてくださいね。
台灣花磚博物館
住所:嘉義市林森西路282號
電話:(0979)060-750
時間:10:00~12:00、14:00~17:00(月、火曜休み)
入館料:50元