フランスのお酒といえばワインが主流です。日本ではお目にかかることのできない希少性の高いワインや、産地直送の生産数の少ないビオワインのほか、バーやスーパーでもお手頃で美味しいワインが揃っており、フランス人にとってワインはとても身近な存在であることが伺えます。
ワインの需要はもちろん高いのですが、6年程前から若者世代を中心に人気が高まっているのがカクテルです!カクテル自体は古くからフランスでも飲まれていましたが、食前もしくは食後酒というイメージが定着していました。しかし、カクテル×フードのペアリングを打ち出したレストランが登場し始め、フランスでのカクテルの立ち位置が変化したのです。
パリ市内にいくつものカクテルバーが立ち並ぶようになりましたが、なかでも今年4月にオープンしたばかりの「フレクエンス(Fréquence)」が今一番ホットなスポット。共同オーナーを務めるのは、バーテンダー、DJ、シェフの3人。
パリの有名カクテルバー「シェリーバット(Sherry Butt)」で働いていたバーテンダー、ギヨームが作るオリジナルのカクテルは梅酒や日本酒を使った斬新なテイストを楽しめます。
カクテルと一緒に気軽に食べられるフィンガーフードがメインで、週末はブランチメニューも提供しています。シェフを務めるバティストは、料理学校で学んだ後、スカウトされてモデル業を経験したそう。モデルとして世界中を飛び回り、異国の食文化に触れた経験を現在の料理に生かしているのです。「訪れた中で一番衝撃的で大好きな国は間違いなく日本!何度訪れても刺激をくれる。食だけでなく、音楽、文化、インテリアなど全てインスピレーションを与えてくれるんだ」と笑顔で話してくれました。現在は餃子や日本の調味料を使ったスペイン風シーフード料理などが並んでいます。日々新メニューの創作に取り組んでいるそうで、パリで日本食の新たな魅力を見いだせる機会となりそうです。
カクテル、フード以外に重要なコンセプトとして掲げているのが、ミュージックです。店内の壁一面に並べられているレコードは、彼ら3人のコレクションなのだとか。
1970~80年代後半のミュージックがメインで、週末の夜はクラブへと表情を変え、大いに盛り上がりを見せています。開放的な空間と落ち着いたミュージックで、肩肘張らず気軽に立ち寄れる雰囲気が、幅広い層のパリジャンに愛されている秘密かもしれません。
店名の「フレクエンス」とは、フランス語で周波数を意味します。「この空間で楽しい時間を共有し、良い周波数を感じ取ってもらえれば」と3人が語ってくれました。今パリジャンに最も愛されるこの空間で、ワインだけではないフランスのお酒の魅力をぜひ味わってみてください!