旅行記者として、世界あちらこちらを取材して約35年。訪れた国と地域はおよそ40に及ぶ。
しかし、なぜかオーストラリアは行ったことはなかった。格別の意味合いはなく、なんとなく機会がなかったのである。
したがって、今回のケアンズ取材は初オーストラリア。成田からわずか7時間半のフライトで到着にも驚いたが、さらに時差はわずか1時間。オーストラリアが、これほど身近な国であったことをあらためて実感したものである。ケアンズが、日本人観光客に人気が高いのもよくわかった。
公園の向こうがラグーン・プールで、右手はバーベキュー・スペース
そのケアンズでぜひ行ってみたいのが、トリニティ湾に面したエスプラネード通りの公園の一角にあるラグーン・プール。
本文でも書いたが、ここは誰もが無料で利用できる野外プール。全長約80m、幅30m、水深は一番深いところで、1.5mと、大人も子どもも楽しめる施設だ。
ここが、普通の野外プールと違うのは、入り口付近にきれいな砂浜が設けられているので、本物の入り江で遊んでいるような気分にしてくれること。しかも、プールの先に広がる海と一体化しているような設計になっているのである。さすがは、オーストラリア有数の観光地らしい配慮というか、遊び心いっぱいの工夫に感心した。
ラグーン・プールに立つ飲食禁止の看板
ただし、喫煙はもちろん、飲食はNG。あくまでも、水遊びとスイミングを楽しむ場なのである。
でも、ちょっと待てよ。ケアンズといえば、沖合に美しいグレートバリアリーフがあり、ラグーン・プールの先にも海が広がっているのに、なぜわざわざプールを作ったの?という疑問が残る。
その答えは、なんと「クラゲ」。ケアンズの11~5月は、通称スティンガーと呼ばれる強い毒性を持つクラゲが発生するのである。取材時は見かけなかったが、そのクラゲが発生すると、あちこちに「クラゲに注意!」の看板が立つそうだ。
ボタンひとつで熱くなるバーベキュー用の鉄板
さて、そのラグーン・プールのある公園でのお楽しみは、バーベキュー。あちこちに、無料で誰もが自由に使用できるバーベキュー・スペースがあるのだ。台の上にバーベキュー用の鉄板がいくつか設けられているだけだが、ボタンを押すだけで鉄板が熱くなり、朝6時から夜9時の間なら、いつでも気軽にバーベキューをすることができるようになっている。近くのスーパーで食材を仕入れてくれば、ごくごく簡単にバーベキューパーティーが楽しめるというわけだ。 残念ながら、今回は実際にバーベキューをしている姿は見なかったが、ガイドさんに聞くと、ケアンズには公園や海岸近くには必ずといっていいほどバーベキュー・スペースがあり、週末になると大変なにぎわいになるという。「オーストラリアは移民の国だけに、それぞれの国のスタイルで楽しんでいますよ」とか。
バーベキュー・スペースの注意書き
もっとも、日本でバーベキューといえば冷えたビールが付きものだが、アルコールは禁止。オーストラリアは煙草だけでなくアルコールについても厳しい制限があり、レストランやバー以外の公共の場所での飲酒はNGなのである。 酔っぱらってバカ騒ぎをするよりも、この地では純粋に太陽の下でのバーベキューを楽しみたい。