ハワイといえばイコール、オアフ島=ホノルル=ワイキキビーチと思い浮かべるのが一般的だ。確かにオアフ島はハワイ旅行最大の人気観光地であり、ショッピングや食べ歩きにうってつけの店が軒を連ねている。
ところが今回の『トラベル&ライフ』6-7月号でのハワイ特集は、あえてオアフ島をはずし、ハワイ島、マウイ島、ラナイ島、カウアイ島の4つの島巡り。普段、あまり行くことの少ない島の魅力をご紹介しようというわけである。
取材は多岐にわたり、それぞれ素晴らしい出会いがあったが、なんといっても一番感動し、驚愕したのがマウイ島のホエール・ウオッチングだ。毎年12月から5月にかけて、ハワイ近海にはアラスカ沖からザトウクジラがやってくる。この季節は、ハワイの海で出産、子育て、交配のためにはるばると旅をしてくるのである。
なかでもハワイ諸島でもっともザトウクジラの姿を見ることができるのが、マウイ島なのだ。地元のホエール・ウォッチング・ツアーのパンフレットには、「世界最高のホエール・ウオッチングが楽しめます」とさえ書かれているほどだ。
2月24日午前7時。私とカメラマンのT氏は、ホテルからタクシーでマウイ島西岸のラハイナ港に向かった。マウイ島にはホエール・ウオッチングの基地となる港がいくつかあり、今回予約しておいたエクスプレス号が出航するのはラハイナ港。7時30分にチェックインして、出航は8時。20名ほどの乗船客はほとんどが米国本土からのアメリカ人だ。5歳くらいの子供からお年寄りまでまさに老若男女の乗合である。
エクスプレス号でのホエール・ウオッチング
エクスプレス号は波しぶきを上げて疾走し、やがて15分ほどすると、船長が「1時の方向に3頭!」と叫んだ。すかさずその方向に目を向けると、確かに潮を吹いている様子が見える。距離は200mほどか。3頭のクジラは背中を見せるだけで水中に潜ってしまったが、初めて見る光景だけに興奮はおさまらない。
やがて「3時の方向!」「10時の方向!」と続き、潮吹きだけでなく、尾びれを水面に突き出すシーンも確認できた。
40分ほど経過した時だ。なんとなく穏やかな水面にカメラを構えていたら、突然凄まじいしぶきとともに大きな1頭が目の前でジャンプした。体長は10mほどか。いわゆる「ブリーチ」といわれる行動で、空中で回転して背中から海中にダイブするのだ。
「オー・マイ・ガッド!」「ワオー!」と船上は大騒ぎ。瞬間、シャッターを切ったが、そのダイナミックな様子は6-7月号でのお楽しみ。