秋田県 森吉・阿仁

自然が作り出した芸術　巨大スノーモンスター「森吉山の樹氷」

概要・エピソード

青空を背景にそびえる、もこもことした雪の塊。人間の背丈をはるかに超える「巨大なスノーモンスター」は、自然が生み出した芸術作品です。その正体は、アオモリトドマツという樹にまとわりついた樹氷。限られた条件下でのみ発生する自然現象です。樹氷の発生には五つの条件があります。
（1）アオモリトドマツが自生していること
（2）雪が降りすぎないこと
（3）山の西～北西の斜面であること
（4）マイナス5℃以下の強い北西の風が吹くこと
（5）雪が適当に降ること
以上の条件を満たした時、雪原にたくさんの巨大なスノーモンスターが出現します。雪原の散策路を囲み、たくさんのスノーモンスターが群れる様子は圧巻です。樹氷の成長にはいくつもの気象条件がからむため、観賞できる場所は世界的にも貴重であり、秋田県の森吉山は、山形県の蔵王山、青森県の八甲田山と並んで「日本三大樹氷観賞地」のひとつに数えられています。

見所・お勧めポイント

樹氷群エリアである樹氷平へは、標高1,167m地点にあるゴンドラ山頂駅舎から散策できます。最寄りの樹氷群までは駅舎から徒歩約5分。樹氷観賞コースの周回時間は約1時間半。スキーやスノーボードがなくても、長靴やスノーシュー、ストックの無料貸し出しがあるため、初心者でも気軽に樹氷観察を楽しめます。また、ゴンドラ山頂駅舎にある森吉山ビジターセンター「ぷらっと」では、室内から樹氷を見ることもできます。樹氷観賞期間中には、夜の樹氷観賞会（要予約）も開催され、満天の星空とスノーモンスターの競演が楽しめるのでおすすめです。

背景

秋田県の中央東部にある森吉山は、標高1,454ｍ。北東麓が「奥森吉」、南東麓は「奥阿仁」と呼ばれている自然豊かな地域で、1968年に約15,000haが県立自然公園に指定されました。古い火山であり、高山帯では初夏から秋にかけて約300種もの高山植物が咲き乱れ、「花の百名山」としても知られています。山頂からは鳥海山、岩手山、八甲田山、白神山地、男鹿半島、日本海などを一望でき、初夏から秋にかけては高山植物や紅葉をめあてに登山客が訪れる絶景スポットです。