佐賀県 太良

月の引力が見える場所　有明海の海中道路・海中鳥居

概要・エピソード

海に浮かぶ「海中鳥居」は国内にいくつかありますが、その中でもめずらしい、三基もの鳥居が潮の満ち引きによって様々な姿をみせるのが、佐賀県にある「大魚神社の海中鳥居」。そのかたわらには沖に向かってのびる道路があり、海の影響を受け、満潮時には海中に隠れてしまうことも。この道路は漁業の荷揚げに用いられているもので、漁港のそばにある大魚神社の鳥居と並び、干潮時と満潮時には大きく異なる景色を見せてくれます。訪れる際には、干潮と満潮のタイミングに気をつけて、カレンダーをチェックしていくといいでしょう。潮の満ち引きは、月の引力に海水がひっぱられることによって発生しています。遠い空に浮かぶ月が、地球の海水を引っ張って景色を変える。そんな不思議な宇宙のロマンを考えながら海を眺めてみても面白いかもしれません。

見所・お勧めポイント

沖へ続く三基の赤い鳥居と、一本の道。この鳥居と道路は、潮の満ち引きによってその姿を変えながら、日々の移ろいを、月の満ち欠けの様子を、そして季節の変化を、海のそばで暮らす人々に教えてくれます。

背景

大魚神社はおよそ300年ほど前に建立されました。その由来は、昔むかし、この地に暮らす人々を苦しめていた一人の悪い代官にさかのぼります。代官の悪行に耐えかねた人々は、代官をこらしめようと有明海に浮かぶ沖ノ島まで連れて行き、そのまま置き去りにしてしまいました。困り果てた代官が竜神に助けを求めると、海から現れた大魚が代官を背中に乗せて島から助け出してくれました。竜神の助けに喜んだ代官は、感謝の意を込めて有明海に面する場所に大魚神社を建てて祀り、その後は土地も豊かに発展していったと伝えられています。