ハリアンズの多彩なニョニャ菓子
素朴なスイーツの多いアジアのなかでも、
マレーシア・シンガポールなどで味わえる色美しい“ニョニャ・クエ”。
プラナカンの伝統菓子です。
“プラナカン”とは、17世紀にマレー諸島に移り住んだ中国系の人々のことで、
カラフルな和洋折衷建築に住み、衣服はビーズや刺繍で彩るなど、
ユニークで鮮やかな文化を育んできました。
そんな彼らの独特の文化はお菓子にも表れています。
“ニョニャ”とはプラナカンの女性のことを指し、“クエ”とはお菓子の意味。
そのため、プラナカン料理はニョニャ料理ともいわれ、
いずれもシンガポールやマレーシアで味わえます。
“ニョニャ・クエ”は、ココナッツミルク、サゴ、スイートポテト、パームシュガー、
パンダンリーフ(東南アジアに生息するタケノコ科の植物。バニラの香りに似た甘い香りを放ち、
緑の着色などにも使われる)などを主に使っていて、カラフルで豊富な種類が特徴。
どのお菓子もカラフルな色でちょっとびっくりしますが、
花や植物などの天然色素を使って色づけしているので、安心していただけます♪
ニョニャ・クエのポイントは“ココナッツ”
基本的に全部ココナッツの風味が漂うニョニャ菓子。
成熟したココナッツの固形胚乳から作られるフレーク状のココナッツや、
ココナッツミルク&ココナッツクリームはクエには欠かせない材料。
その他でクエ作りの定番素材は、Pandan(パンダン)、Butterfly Pea(バタフライピー)。
パンダンはクエの香りづけと緑色の色づけ、バタフライピー(=ブルーピー)は
青色の色づけに使われます。
ココナッツパームシュガーのGula Melaka(グラマラカ)は強いコクのある甘味を持ち、
クエによく使われる砂糖になります。
Sago(サゴ)はサゴヤシから採れるデンプンで、一部クエに使われる素材です。
地元の人気女性誌にも、結婚披露宴のおススメの伝統的なプラナカン菓子として
紹介されたこともあるローカルスイーツ“ニョニャ・クエ”の人気店“HarriAnns(ハリアンズ)”。
特にお店のイチ押しは、お祝いの席にもよく使われる、虹のように色を重ねた“クエ・ラピス”
(マレー語で「層になったケーキ」という意味)という、ういろうのようなお菓子と、
ローカルフードガイドでも常に取り上げられている、
“オンデ・オンデ”というパームシュガーシロップ(黒蜜)入りのココナッツをまぶしたお餅。
最近人気上昇中のシンガポールのお洒落スポット、
ティオンバル地区にあるティオンバル・マーケットの2階の
こじんまりとしたホーカーにあるお店がなんと本店なのです。
Onde Onde(オンデ・オンデ)
もちもちの白玉みたいなパンダンリーフで緑色に着色したお餅の中に、
パームシュガーシロップ(黒糖蜜)のトロリとしたソースが入っていて、
周りにココナッツフレークがまぶしてあるお菓子です。
*パンダンリーフは、“アジアのバニラ”ともいわれる、菖蒲のような形の植物で、
長い葉を煮出すと香りのよい甘味が取れます。
お餅を噛むと、ジュワーっと黒糖蜜が溢れてきて、もう堪らぬ美味しさです。
オンデ・オンデの中の黒糖蜜が溢れるので、一口で。
お餅はとっても柔らかく、どこか懐かしい味わいの黒糖が濃厚でくせになります!
中に包んだ黒糖蜜が、時間経過と共にお餅に吸収されるので
出来たてから数時間以内に食べてしまいたい新鮮勝負のニョニャ菓子です。
オンデ・オンデは出来たてが一番美味い♪
Kueh Chendol(クエ・チェンドル)S$1.20
茶色はパームシュガー、緑はパンダンリーフ。
パンダンリーフはクエ・タラム同様、甘さ控えめで薄い緑茶のような味に、
パームシュガーのやわらかい甘さが美味しい!
チェンドル(かき氷でココナッツミルクと黒糖がかけられ、
中にパンダンゼリーが入ったデザート)を模したもの。
茶色が黒糖の練り物、白色がココナッツクリームとパンダンゼリーの練り物になっています。
ココナッツと黒糖の優しい甘さが美味しいイチオシのクエです。
Kueh Talam(クエ・タラム) S$1.20
緑と白の2色使いが印象的。
もっちり、やわらかな食感に、ココナッツのまろやかさが堪らない。
白い部分はほんのり塩気のきいたココナッツのムースのように口どけがよく、
緑のパンダンリーフの部分はういろうのような食感で、甘すぎず苦味もあって、
白のココナッツの甘さとの相性はばっちり◎
Kueh Bubur Chacha(クエ・ボボチャチャ) S$1.20
“ボボチャチャ”とは、ココナッツミルクにお芋やカボチャ等が入った甘いおしるこ。
ココナッツミルクのまろやかさに、イモの素朴な甘みがよく合っている温かいデザート。
ボボチャチャを模したこのクエは、まろやかなココナッツミルクの風味のベースに
紫さつまいもやタロイモの角切りに透明なサゴが入っています。
青く色づいている部分はプラナカン料理に欠かせないブンガ・トゥラン
(Bunga Telang=英名バタフライピー)という青い花で着色されたもの。
クエ・チェンドルとクエ・タラムがわりとしっかりと風味のあるクエでしたので、一番薄口に感じました。
“HarriAnns(ハリアンズ)”のサンテックシティモール店でちょっとお茶タイム。
こちらにはプラナカン風の隠れ家的なイートンインスペースがあります。
ここでは、ニョニャ・クエではなく、
オンデ・オンデのケーキとブルーピーのソーダをオーダーしてみました。
もちろん、お店自慢のニョニャ菓子もありますので、ぜひお試しを。
平日にも関わらず、次から次へとお客さんがテイクアウトしていってましたよ。
Ondeh Ondeh Cake(オンデ・オンデ ケーキ) S$6.90
スポンジはパンダンのふわふわのシフォンケーキ、そしてココナッツクリームを使用。
間に挟まった茶色のグラマラカは甘すぎず、とってもコクのあるいい味を出しています。
スポンジは見た目以上に柔らかくて口どけもよく、
フォークを入れた途端、ホロホロと崩れ落ちてしまうほど。
ココナッツクリームは、生クリームほど重くなく、サラっとした軽い感じがGOOD。
ケーキにしては珍しく、こんなに軽いとホールでペロっといけちゃいそう。
Blue Pea Soda(ブルーピー・ソーダ)S$4.80
澄んだ濃いブルーの花が目を引くブルーピー(バタフライピー)はマメ科のハーブ。
天然の染料としても使われるブルーピーですが、お茶にしてもとてもきれいな青いお茶になります。
ブルーピーだけでもお茶として楽しめますが、味がさほどないので、
単体での場合ははちみつや柑橘系のジャムなどで甘みを加えたり、
炭酸水などで割って飲むのが一般的。
このブルーピーの花の青には、アントシアニンという天然の青い色素が含まれていて、
出来上がったお茶にレモンなどの柑橘系の汁を垂らすと、
アントシアニンが柑橘類のクエン酸と化学反応して、青色から紫色に変化するのだそう。
実際レモン汁を少し入れてみると…とても美しい紫色に変化!面白いですね。
レモンの風味の炭酸割は、なんともさっぱりとした味わい♪
世界中のものが手に入るシンガポールでは、
手間のかかるプラナカンの伝統菓子を自宅で作る風習もなくなってきています。
失われつつある文化を伝えたいと、
プラナカンのお菓子などの食文化を若者に伝えるイベントも行っているのだそう。
わたしはこのニョニャ菓子が大好きです。
ここでしか味わえないこの味と食文化を絶やすことなく、
後世にずっと引き継いで欲しいものですね。
ハリアンズ ニョニャ テーブル -HARRIANNS NONYA TABLE-
■ Tiong Bahru Food Centre 30 Seng Poh Road #02-25
OPEN:火~日 7:00-14:00
■ 3 Temasek Boulevard #01-416A Suntec City West Wing
OPEN:毎日 8:30-19:30
※ブギス・ジャンクション店、オーシャン・ファイナンシャル・センター店もあり
★★詳細はコチラ☛ https://harrianns.com/
※記載されている料金は変更する場合があります。
この記事でご紹介したスポット
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オプショナルツアー(現地発着)JPY6,827〜※価格は予告なく変更になることがございます。ここぞというポイントをおさえた3時間凝縮の観光プランです。午後市内発/市内解散ですので、朝はゆっくり、夕方までの時間を無駄なく有効活用したい方におすすめです。