シンガポールのお盆 ハングリーゴースト・フェスティバル


ケンケン

日本もこれからお盆の時期なのですが、
“中元節、盂蘭節、鬼節”などと呼ばれるシンガポールのお盆が、
旧暦の7月から1ヶ月間渡って行われます。
中国では、旧暦の7月(2023年は8月30日)は、
地獄の大門が開かれ親縁がいない死者の霊が、地上に降りてくると考えられています。
これはシンガポール人であれば誰もが知っている昔からの言い伝えで、
ご先祖様だけではなく、街中をさまよう亡霊たちのためにも、
お供え物をしたり、禁忌事項(タブー)を避けたり、様々な行事やイベントを開催することで、
霊を供養し鎮めることができると言われています。
ちなみに、中国語では弔ってくれる縁者のいない魂のこと“餓鬼=飢えている亡霊”と呼び、
英語もそのまま直訳で“ハングリーゴースト”となりました。

(お線香、ろうそく、お菓子、果物などをお供えします)

どのように供養するの?

住宅街のあちこちに金属製のゴミ箱を目にします。
これらは地獄の金や車、時計、宝飾類などを模した紙製の供物を入れるために
特別に置かれているものです。
この期間、人々は祖先が死後の世界で困らないように、
“お金”をはじめ、時計や宝石、スマホ、車、豪邸、スポーツカー、等々、
さまざまな実用品を模した紙製のレプリカを燃やします。
死後の物質的要求にも対応して亡くなった家族の魂を鎮めるために、
親族がこれらの供物を燃やすというわけです。

(紙幣を模した紙束やさまざまな実用品を模した紙製のレプリカを燃やします)

住宅街のあちこちに金属製のゴミ箱を目にします。
これらは地獄の金や車、時計、宝飾類などを模した紙製の供物を入れるために
特別に置かれているものです。
この期間、人々は祖先が死後の世界で困らないように、
“お金”をはじめ、時計や宝石、スマホ、車、豪邸、スポーツカー、等々、
さまざまな実用品を模した紙製のレプリカを燃やします。
死後の物質的要求にも対応して亡くなった家族の魂を鎮めるために、
親族がこれらの供物を燃やすというわけです。

供養する規模ややり方はいろいろですが、基本は日が出ているうちに行われます。
会社やお店を経営する人の場合、ビジネスの成功を願い、
祭壇などを設置し盛大に行われます。
無病息災を祈願する一般の人は、道路脇または木の周りに供えるだけでも構いません。
戸外に供えられた食べ物を踏んでしまわないよう、この時期は足元には注意が必要です。
大半の人々はお供え物や線香を正式な祭壇に備えますが、
歩道の脇にそっと置いたり、木々の周りに並べる人もいるからです。
お線香、ろうそく、お菓子、果物などをお供えをした後、
紙幣を模した紙束やさまざまな実用品を模した紙製のレプリカを燃やします。
何故ものを燃やしたりをするについては諸説あるのですが、
亡き霊たちは煙を介してお供え物を頂くと言われています。
これらのお供え物は、通常専門店で購入しますが、この時期はスーパー等にも置いてあります。
唯一気を付けるべき点は、供養を終えた後はそのまま帰宅せず、
コンビニなどに立ち寄ってから家に帰ることが望ましいとされています。
というのも、亡霊たちに後追いされないためなのだそう。

この時期は金属缶や物を燃やす専用スペースをあちらこちらに設けています。
シンガポールの街中が、この時期煙たくなるのはこのように至る所で紙束が燃やされるからなのです。

(この時期は団地の至るところに焼き場が設置されます)

パフォーマンスショー = 歌台(ゲタイ)

亡霊の金欲と食欲を満たすだけではなく、
亡霊を楽しませることも重要な供養のひとつと考えられています。
フェスティバルの中心は「ゲタイ」と呼ばれるパフォーマンスで、
さまよう霊に人気の娯楽として行われています。

(チャイニーズ・オペラ)

夜の“ゲタイ”(中国語で「歌のステージ」という意味の、生のステージ・パフォーマンス)も
この時期の伝統的一大事イベントです。
さまよう霊に人気の娯楽として行われています。
今日の“ゲタイ” は昔とは様変わりし、LEDパネルがステージを華やかに演出されています。
若くてセクシーなパフォーマーたちが、伝統的な方言の歌だけでなく、
英語や北京語のポピュラーソングをテクノバージョンで歌い上げられたりされています。
精神世界のテイストも、時の流れとともに変化しているようです。
パフォーマンスのための屋外会場が設けられ、当地で著名なアーティストが出演して、
歌やダンスパフォーマンス、チャイニーズ・オペラが行なわれます。
所々で賑やかなディナーやオークションも開催されます。
その際、最前列の座席は空けておくという不文律があります。
それは亡き霊が座るためなんだそうです。
これらのイベントを鑑賞したり、参加するのであれば、チャイナタウン、アンモキオが盛大です。

絶対にやっちゃいけないタブー

このハングリーゴーストが街をさまよう時期には、タブーがいくつかあります。
以下紹介するこの時期のタブーは古くから伝わるものです。(一部を抜粋)

①ご飯にお箸をさす
なぜ?:霊がお供え物と間違えてしまうから。

②家の中で傘をさす
なぜ?:霊を家の中へ呼び込む可能性があるから。

③(普段見ないような)虫を殺す
なぜ?:その虫たちはもしかしたら挨拶に来たご先祖様かもしれないから。

④水際に近づく
なぜ?:溺死した霊に引きずりこまれてしまうから。

⑤ハングリーゴースト用のお供えを踏んだり跨ぐ
なぜ?:お供え物は霊たちを喜ばすためのものだから。

⑥外にいる時に誰かに名前を呼ばれてもふり返らない
なぜ?:霊と出逢わないようにするため。

⑦引っ越しする
なぜ?:”これからも一緒にいよう”というメッセージを霊に送ってしまうから。

⑧結婚
なぜ?:意地悪な霊たちによって、結婚を失敗に陥れられるから。

⑨夜遅くまでの外出
なぜ?:霊の世界に連れて行かれてしまうから。

⑩夜に洗濯物を干す
なぜ?:徘徊している霊たちがその服を着て、家の中に入ってきてしまうから。

古くからの習わしによると、このフェスティバル期間の1カ月間は、
死者の魂がこの世をさまよい、無視をすればいたずらをすると信じられています。
いたずらをされないように、この期間(旧暦7月)にはありとあらゆるもてなしをして、
このようにお盆の期間は、タブー事項をしっかり守らなければいけません。
シンガポールのお盆“ハングリーゴースト・フェスティバル”は日本のお盆とは一味違っていて、
ところ変わればと言うように日本の文化・習慣との違いを改めて思い知らされます。

この記事を書いたレポーター

ケンケン

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