シンガポール発!世界遺産マラッカ日帰りツアー体験レポート
シンガポールにはたくさんの観光地とお買い物スポットがありますが、残念ながら「世界遺産」は今のところありません。しかしお隣のマレーシアまで少し足を伸ばすだけで、2008年にUNESCO世界文化遺産に登録されたマラッカへ日帰りで行くことができるのです。ということで、JTBのマイバス(オプショナルツアー)を使って実際に行ってみました!
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6月某日、「シンガポールに住んだらマレーシアなんて目と鼻の先だよ」と聞いていたものの、まだ足を踏み入れたことはなかった私は、期待に胸を膨らませて起床。お天気はあいにくの小雨ですが、晴れてくることを信じて…行ってきます!
ツアーの待ち合わせ場所はスイソテルザスタンフォードのロビー1階。シンガポールの地下鉄MRTのシティホール駅から直結で非常にわかりやすく、方向オンチの私としては無事にたどり着けてまずは一安心・・・。国境までのガイドはアンジさん。日本が上手で聞き取りやすく、たまに自虐ネタで社内を盛り上げていて、日本人の私も感心してしまいます。直前に不安にならないよう、出入国の注意事項はここでしっかりと聞いておきましょう。国境まではシンガポール中心部から約30分です。
出入国には時間がかかると聞いていたので覚悟していたのですが、平日の朝ということもあり、出国審査の列に並んだ時間は1~2分。これは本当にラッキーだったそうです。全員無事にシンガポールから出国すると、先ほどまで乗っていたバスに乗って、今度は1kmちょっと離れたマレーシアにて入国審査を行います。本当は「○○が大変だった~」などと苦労話も書きたいのですが、この日の入国審査はシンガポール出国以上に空いており、苦労も何もなく数分で終了。晴れてマレーシアに到着しました。
車中
ここからはジョホールバル半日観光のお客様とマラッカ観光のお客様に分かれ、マラッカ組は別のバスにて移動することになります。先ほどまで陽気なガイドさんはジョホールバル組に同行するそうで、ここでお別れ。今度はエリックさんという男性のガイドにかわります。最初は、「ガイドが途中で代わるってなんだかな~」なんて思っていたのもつかの間、待たされることないスムーズな引継ぎと、アンジさんに輪をかけて明るい人柄でこちらまですぐに笑顔になってしまいました。聞くと、どうやら「マレーシアの観光案内するのは、マレーシア人のガイドでないといけない」という決まりがあるそうで、その分マレーシアに関する知識も豊富です。日本のギャグもいろいろ披露してくれますよ。
さて、マラッカへのツアー申し込もうと考えたときに、お客様にとって最大のネックになるのがこの移動時間でしょう。片道3時間、道路沿いのヤシの木を眺めながらひたすら走ることになるので、無理もありません。しかしそんなときはガイドさんの話に耳を傾けてみては?ガイドという仕事柄、その知識量は私たちの想像をはるかに超えたレベルで、飽きるどころかもっともっと聞きたくなってしまうほど。ここで全部紹介してしまうと今後ガイドさんが困ってしまうので、簡単に3つほどご紹介します。
・連邦制の国、マレーシア
13州のうち9州に世襲制の王様がいて、普通宮殿は黄色だが、ジョホールバルの王様は青が好きで家の瓦も青い。そしてこの瓦は日本の「三州瓦」を使っているとか。意外なところで繋がっているんですね。
・マレーシアの発展
2020年には国民の平均年収を 200万円にのせ、 先進国の仲間入りを果たしたいとのこと。(ちなみに今の平均年収140万円ほど。シンガポールは440万円だというから驚き!) そのために、マレーシアからシンガポールへ新幹線も走らせ、現在シンガポールを走っている地下鉄も延伸する予定なのだとか。また、2006年から推進されているイスカンダル計画には、シンガポール国民もマレーシア国民も非常に期待しているそう。
・フルーツ
マレーシアは年間を通じてフルーツ天国。特に4~7月は旬のものが多く、35種類くらい食べられるとのこと。なかでもドリアンはちょうど今が季節で、そろそろシンガポール人が“ドリアンツアー”を企画し、大型バスでわざわざマレーシアまで食べに来るころだとか。気になる匂いに関して聞いてみると、「フレッシュなものは臭くないが、割れてしまって中に空気が入るとすぐに傷んで臭くなる」とのこと。
フルーツの試食
走り始めて2時間弱、ガイドさんの話を聞いているとあっという間ですが、トイレ休憩のために日本のサービスエリアのようなところに15分ほど立ち寄ります。マレーシアはトイレに紙がないと聞いていたのですが、ここは珍しく手洗い場の近くにトイレットペーパーホルダーがありました。そしてトイレの向かいにはフルーツを売っているお店があり、自由に買うことができます。ここで私はガイドさんのすすめもあったので、マンゴスチンとドリアンに初挑戦することに!初めてのドリアン。ひとさじ…うん。確かに日本で売っているものより臭みもなく、案外フルーティー。だけど…やはりひとくちでいいかな…。 微妙な表情でガイドさんを見上げると、彼は実においしそうに残りのドリアンをほおばっていました…。
気を取り直して、おいしそうなドラゴンフルーツとマンゴーを購入。こちらは大当たり!甘みが強くてとっても美味です。小さいお店のためシンガポールドルは使えません、入国審査場の売店で水を買ったときにお釣りとしてもらったマレーシアリンギットがここで役に立ちました。
ニョニャ料理の昼食
さらに車を走らせること1時間弱。少しおなかが空いてきたところでオールドマラッカというエリアの「Kapitan」にて昼食です。のどかで昔ながらのオールドマラッカの街中にありながら、このKapitanは今風の店構え。自然とテンションもあがってしまいます。中もとてもきれいで、トイレ(2つ)も清潔に整えられており、冷房、そしてなんとWi-fiも完備!通信手段が限られてしまう旅行時にはとってもありがたいお店です。
でもこれだけ満足してはいけません。初めてのニョニャ料理ということで、独特のスパイスや未知の味が苦手な私は戦々恐々としていたですが、一口食べた感想は「すごくおいしい!」 激辛料理が多いのが特徴だと聞いていたものの、日本人向けにしてあるのか、辛いものが食べられない私も全ておいしくいただくことができました。ちなみにこのニョニャ料理の成り立ちですが、その昔、中国からマレー半島へと新天地を求めて渡ってきた中国人たちが、現地のマレー人女性と結婚してマレー・中国の混血文化(ペラナカン文化)を創り出し、男性をババ、女性をニョニャと呼んだことから、母親のつくる「中華料理にマレーの香辛料を混ぜたもの」をニョニャ料理と呼ぶようになったそうです。Kapitanで出されるお料理はどれもくせがなく、量も十分すぎるほどで、大大大満足でした!
いよいよマラッカ観光へ!
昼食会場を出て15分ほど走ると、ようやく念願の世界遺産マラッカに到着です。まずはチャイナエリアのジョンカー通りをジャランジャラン(マレー語でぶらぶらと散歩すること)。ここにはうなぎの寝床のような、間口が狭く奥行きの長いプラナカン文化独特のショップハウスが立ち並んでいます。店先から中をのぞくと、奥行きが30m以上ある家具屋さんから若者向けのセレクトショップのような店まで様々。歴史あるものをそのまま活用して新たな価値を生み出しているこのエリア、平日の真っ昼間にもかかわらず観光客らしき人の姿も多く、賑わいを感じました。
そして、ハーモニー通りにあるチャンフーテン寺院へ。ここはマレーシア最古の中国寺院だそうで、あちらこちらに鮮やかで美しい陶磁器の装飾が施されているのが印象的です。地元の方も多いせいかお供えものがたくさんあったのですが、今はご先祖様や観音様には現物ではなく紙でできたものをお供えするのが主流とのこと。確かに寺院周辺の商店でも、紙で作られた洋服、バッグ、食べ物、自転車、食器、携帯電話など、ありとあらゆるものが売られていました。
商店街の自由散策を終えて、オランダ広場に向かいます。今まで見てきたこの広場の写真はなぜか曇天時のものが多く、正直なところあまり期待はしていなかったのですが、青空に映える赤茶のキリスト教会はとてもきれいで思わず感動。手前の花壇もしっかりと手入れされ、文字通りこの広場と教会に花を添えていました。教会の内部にも入ることができますが、ここは寄付をしないと写真を撮ることができないそうで撮影は断念。中は教会によくあるステンドグラスやパイプオルガンはなくどちらかというと質素なつくりですが、座席にアジアならではの素材を使っていたり、天井の梁にも継ぎ目のない一本の木を使ったりしているそうで、細部へのこだわりを感じました。こういったことはガイドさんの豆知識、とても勉強になります。静かなイメージの観光地でしたが、教会の周りには大音響を鳴らしたトライショーが並び、東南アジアの雑多名は部分とキリスト教会の厳かさが融合した、独特の雰囲気を作りだしていました。(※ミサの時間は教会内に入ることができないので注意)
続いて、急な坂を5分ほど上り、日本でも大変有名な宣教師、フランシスコ・ザビエルの像へ。ここで注目していただきたいのはザビエル像の右手。良くみると手首から先がありません。実はこの像が建てられてまもなく大嵐によって偶然右手首だけ壊されてしまったそうですが、元々ザビエルの遺体にも、この像と同じく右手首だけなかったというのだから驚きです!ガイドさんの話によると、ザビエルの遺体をマドラスへ送る際に、右手だけは検証のために切り取られてポルトガル本国へ送られたとのこと。大自然の力か、はたまた神の力か…大嵐によって遺体と同じ姿に近づいた奇跡のザビエル像です。
ザビエル像の後ろにはセントポール教会跡。ここはポルトガルがマラッカを占領していた時代に作られた教会です。フランシスコ・ザビエルが殉教したあとに9ヶ月間遺体が安置されていた場所ということで、カトリックの信者にとって非常に重要な意味をもっている場所とのこと。今は外壁と、内側にポルトガル人の墓標(ギリシャ文字のため読めませんが)だけが残っています。
そして最後はサンチャゴ砦とマラッカスルタンパレスへ。サンチャゴ砦はポルトガル支配時代に立てられたそうで、石とレンガで強固に固められており、いかにも「砦」といった風貌。そばには砲台も残されてます。また、マラッカ王国時代の王宮を再現したマラッカスルタンパレス(現在は文化博物館)は、決して広くはありませんが、蝋人形による当時の再現や、マレー衣装を着たマネキンがいて、説明文がわからなくても目で楽しむことができます。ここでもマレーシア人のものの考え方や、各宗教の違いなどをガイドさんから教えていただきながら回ったことで、植民地から植民地へと歴史の波に飲まれていったマラッカに思いをはせることができました。マラッカ観光の締めくくりにふさわしく、できればもう少し長くみていたかったほど。
さらばマラッカ!
後ろ髪をひかれながらも、そろそろ帰路につかなければなりません。マラッカを出てすぐ、小さなお土産やさんに立ち寄ります。黒胡椒やなまこ石鹸、銘菓、マグネットなどが日本語のポップとともに販売されていますので、もしマレーシアリンギットがまだ手元に残っているようであれば、ここで使ってしまったほうがいいかもしれません。(このあと、マレーシアリンギットを使う機会はほぼありません) 特にお土産はいらない、という方は、スプライトやミネラルウォーターで渇いたのどを潤すのもおすすめです。帰りはまた長距離のドライブになりますが、暑いなかの観光で適度に疲れていたこともあり参加者の皆様は睡眠タイムへ。出入国審査は行き同様大変順調で、シンガポール入国時に少し混雑していたものの、予定時間よりだいぶ早く解散場所のホテルに到着しました。10時間の長旅、お疲れ様でした!
おすすめです!
さて、今回の日帰り旅、リアルな所要時間は以下のとおりです!
8:30 スイソテルザスタンフォード集合
9:00 シンガポール出国
9:30 マレーシア入国
11:15 トイレ休憩(SAにてフルーツ試食)
12:20 昼食場所到着
13:10 昼食場所出発
13:20 マラッカ散策開始
15:30 土産物店立ち寄り
15:40 マラッカ出発
17:10 トイレ休憩
17:50 マレーシア出国
18:20 シンガポール入国
18:50 解散
確かに移動時間は長いのですが、ガイドさんのお話やフルーツの試食があったので、それほど長時間には感じませんでした。ただ、この日は平日だったため出入国も非常にスムーズだったのですが、休日になると全体的にもう少し時間がかかるかもしれません。
シンガポールとはまた違った歴史と文化を持ったマラッカ。ガイドブックやインターネットでは見たことがあったものの、実際足を運んだからこそ学べることも多く、本当に有意義な1日になりました。特にシンガポールはもう回りつくしたお客様、旅行日数の長いお客様、歴史や世界遺産が好きなお客様にはおすすめです。ぜひともマラッカ、行ってみてください!
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