天国に一番近いドアが開かれる!バチカン市国の一大イベント『聖年』とは?
2025年、ローマは特別な年を迎えます
カトリック教会の総本山であるバチカン市国で、25年に一度しか訪れない「聖年」が開催されるのです。「聖なる扉」と呼ばれる特別な扉が開かれ、世界中から巡礼が訪れます。バチカン市国を市内に擁するローマは今、観光客の受け入れ準備で大忙しです。
聖年って何?
聖年は、大赦と呼ばれる罪の免償が与えられる特別な機会として、カトリック教会が定めた特別な年です。神の赦しを得られた者は、大雑把に言えば、死後、天国に行けるということになります。
大赦にあずかるために信者がやるべきことは色々あるそうですが、中でもローマに来ないとできないというハードル高めな条件が、「聖なる扉(porta santa)」をくぐること。
逆に言えば、聖なる扉とは、この機会にローマを訪れることで通れる天国への近道とも言えます。
聖なる扉はどこにある?
聖なる扉は、サン・ピエトロ大聖堂をはじめとして、サン・ジョヴァンニ・イン・ラテラーノ大聖堂、サンタ・マリア・マッジョーレサン・ジョヴァンニ・イン・ラテラーノ大聖堂、サン・パオロ・フオリ・レ・ムーラサン・ジョヴァンニ・イン・ラテラーノ大聖堂という、バチカン市国所属の4つの主要聖堂に設置されています。この扉は普段は閉ざされており、聖年の期間中のみ開かれます。
聖年は、サン・ピエトロ大聖堂の聖なる扉をローマ教皇が開けることでスタートし、閉じることで終わりが告げられます。
天国への扉というと、フィレンツェにある「天国の門」(ギベルティ作-サン・ジョヴァンニ洗礼堂)を思い浮かべる方も多いでしょう。しかし「聖なる扉」と「天国の門」は別物です。
前者は、「(近道として)ここをくぐれば天国に行ける扉」ですが、後者は「天国を思わせる見事な扉」。あのミケランジェロが、あまりの美しさに「天国の門」と激賞したことからこう呼ばれていますが、くぐっても特別なご利益はないようです。
めったにないレアイベント
聖年の歴史は1300年に遡りますが、当初は100年に一度の予定が、50年毎になったり33年毎になったり、開催間隔は一定していませんでした。
人生40年時代に50年毎ではあまりにチャンスが少ないからか、1475年以降は基本的には25年に一度、必要に応じて随時「特別聖年」が開催されるようになりました(直近の特別聖年は、現教皇フランシスコが着座間もなく2016年に開催した「いつくしみの特別聖年」)。
とりわけキリスト教的に節目の年である西暦2000年は、『大聖年』という1000年に一度の巨大イベントというわけで、巡礼だけでなく、「聖なる扉」をくぐって大赦にあやかろうとローマを訪れる観光客で大賑わいとなりました。
2025年、聖なる扉が再び開く
かつては多くの宗教において、聖地巡礼は信者にとって一生に一度の大事業でしたが、今は週末旅行でも行ける時代。でも聖年は25年に一度しかチャンスは巡ってきません。レアだからこそ、主催者側も力が入ります。バチカンはもちろん、ローマも多くの観光客が訪れるということで、あちこちでインフラの改修が進んでいます。
信者じゃないから関係ない?
とはいえ、この聖年だけに開かれる『聖なる扉』は、人種、信条、老若男女問わず、あらゆる人に向けて開かれています。踏み絵などはありません。
今回の聖年では、2020年から世界を襲ったパンデミックをはじめ、終わりの見えない紛争など、困難な状況にある世界に希望のメッセージを届けるために、「希望の巡礼者」というテーマが掲げられています。
ちなみに、聖なる扉は4大聖堂に備わっていますが、どれかひとつくぐれば大赦への条件はひとつクリアされます。その辺は割とゆるめなんですね。
でもせっかくローマを訪れたなら、ぜひ4つコンプリートしたいところ。
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