ローマ・ガルバテッラ地区 労働者の町の風景
まるで高級住宅街?ローマの労働者階級用公営団地が美しい。
ローマの街を囲むアウレリアヌス城壁のすぐ外側に、ガルバテッラと呼ばれる地区があります。
19世紀末に始まった隣接地域の再開発工業地区化に伴い、第一次世界大戦後に、斬新かつ厳密な都市計画に従って造られた労働者階級向けの公営団地です。
当時流行っていたガーデンシティの概念に倣い、敷地はゆったりと緑豊かで、学校、病院、教会、公園、劇場、公衆浴場など、生活に必要なものはすべて揃って至れり尽くせり。
建物の外観は、古代ローマから近代にいたるまで様々な時代の様式を取り入れ個性的で美しく、現代では観光客や建築科の学生も訪れる歴史的景観保護地区となっています。
花と緑に囲まれて
もとは労働者向けの集合住宅として造られたので、各戸はそう広くはないようですが、中庭などの共用スペースがゆったりととられ、緑がふんだんに配置されています。
見た目ほど古くはない
昔の建築様式を各種取り入れているのと、全体的な朽ち具合のせいで、かなり古く見えるものもありますが、実はほんの100年前の建物。原宿駅の旧駅舎と同い年くらいです。イタリア的には中堅クラスといったところでしょうか。
バラバラでボロボロ。だが、そこがいい。
意地でも隣と同じにはしないという強い意志すら感じられるのに、なぜか統一感のある街並み。
公衆浴場などの公共施設には使われなくなってから久しいものも多く、廃墟っぽさすら漂って、ハウスウォッチャーのみならず廃墟マニアの琴線も揺るがしかねません。