シーク教の聖地アムリトサルの黄金寺院(ゴールデンテンプル)

アムリトサルは、インドの北西450km、パキスタンと国境を接するパンジャブ州にある最大の町。あまり聞きなれない名前かと思いますが、昔から交易の要衝として栄えてきました。1番の特色はシーク教徒の聖地であるということ。そしてインドの人々にとって、忘れてはならない歴史的事件があった場所もここ。せめぎあう歴史を多く育んできたアムリトサルの魅力をご紹介いたします。

ゴールデンテンプルには世界中のシーク教徒が訪れます。

シーク教の総本山



パキスタンと国境を接するパンジャブ州は、ヒマラヤからのいくつもの水脈に育まれたインドの穀倉地帯。州内に入ると、沿道に見える野菜や果物の種類が増え、サイズも大きくなって、この地域の土壌の豊かさを、目でも感じることができます。
アムリトサルは、そのパンジャブ州の最大の街で、交通の重要な拠点として古くから栄えてきました。

インドの人々にとってアムリトサルは、別の意味でとても重要な町です。この街はシーク教徒の聖地なのです。
旧市街の中心にある、シーク教徒の総本山・黄金寺院(ゴールデンテンプル)は、まさにその名のごとく黄金色に輝き、異教徒の心をも奪うほどの佇まい。寺院周辺にはバザールが開かれ、参拝関係者の人々で賑わいを見せます。

お祈りの仕方



シーク教の寺院での礼拝とはどのようなものでしょうか、簡単にご紹介しましょう。
時間となりますと、集まった信者たちが祈りの歌をうたいます。その後聖典を読むなど、約1時間の礼拝後にカラーパルシャードと呼ばれる砂糖菓子が配られます。これは日本で神社・仏壇のお供えものを有難く頂戴するのと同じ習慣です。
また、グル・カ・ランガル(共同食堂)では無料のインド料理(チャパティー、パコラ[インド風野菜のてんぷら]、ヨーグルト、スープ)が皆に振舞われます。これは「カースト、年齢、性別、社会的地位等に関わらず全ての人々は平等である」というシーク教の教義に基づくもので、たとえ階層や宗教が違ったとしても、寺院を訪れる人々が皆同じ場所で、同じものを平等に食する、シーク教独特のしきたりです。

参拝する時の注意点



異教徒でも気軽に参拝できるのがシーク教の良いところですが、聖なる礼拝堂に入るには最低限のしきたりがあります。靴と靴下を脱ぎ、手足を洗い、頭を布で覆います。皮製品も決められた場で預け、思い思いに参拝しましょう。

シーク教って一体どんな宗教?



ヒンズー教とイスラム教から派生した宗教で、ヒンズー教同様、輪廻転生は肯定し、古来よりインドの階級の仕組みを形作るカースト制度を否定しています。
また、「ターバン」を巻く人たちが世界的に「インド人のイメージ」として定着していますが、実はその人たちこそシーク教の人々。しかし、シーク教はインドの人口の約2%を占める程度で少数派です。
しかし世界的に見ますと、世界5大宗教の1つとされ3000万人を超える信者を擁する大宗教と言えるでしょう。

宗派によりますが男性は一般的に髪と髭を切らず、毎朝、頭に6~8mもの長さのあるターバンを巻く習慣があり、服装もターバンの色と合わせてコーディネートしています。バイクの運転時ヘルメットも免除されています。女性でも髪を切らない人がいますがターバンは巻きません。また、技術的なものに強い人が多く、インドのタクシードライバーや経理などの仕事に携わることが多いといわれています。

独立を巡る悲劇の舞台



アムリトサルの見どころは寺院だけではありません。
1919年に起きたアムリトサル大虐殺跡に造られたジャリアンワーラー庭園があります。ここは歴史的な事件の舞台にもなった場所。この美しい庭園で、後に「アムリトサル大虐殺事件」と呼ばれることになる事件が起きたのです。
イギリス占領下の時代、インドの独立を掲げたシーク教徒たちが、この庭園に1000人以上たてこもりました。しかしイギリス軍は無差別に発砲し、数百人もの犠牲者を出して武力鎮圧しました。現在では公園内にその慰霊碑が立てられ、この惨劇の場を訪れるインド人は後を絶ちません。

アムリトサルの目玉儀式・国旗の降納式

市内から西へ約30km離れたパキスタン国境の町アターリー(パキスタン側ではワガ)で行われる、インドとパキスタンの両国の兵士たちが、それぞれ国旗を降ろす儀式も非常に見ごたえがあります。
毎日夕方頃、国境を閉鎖する時間に国旗を降ろす降納式が行われます。その締めくくりには、国境警備隊を鼓舞する儀式があり、インドとパキスタンの兵士たちがそれぞれが国を讃える言葉を叫びながら拍手とともに行われます。
イギリスや台湾の衛兵の交代式とはかなり趣が異なり、双方の応援合戦は約30分間繰り広げられます。この儀式の時間帯は日没前なので季節によって時間が異なるので注意しましょう。

シーク教の総本山のある町だけにインド国内外から多くの参拝客や観光客が訪れます。それらの客目当てにみやげ物や生活用品店が軒を連ねており、シーク教徒が腰から下げる剣、寺院参拝時に頭に被る布、お香立てなど様々な物が賑やかに揃っています。アムリトサルならではの旅の思い出となるグッズが必ず見つかるはずです。インドの歴史的にも重要な町のひとつであるアムリトサル、皆さんも訪れてみませんか?

<アムリトサルへのアクセス>
飛行機: 1日7便ほど運航しており、早朝、昼どの時間帯でも選択肢があって便利。 所要時間=約1時間
列車: 所要時間はさまざまですが、1日約20本の便数。所要時間=約6~12時間

国旗の後納式と国家を讃える儀式。賑やかで応援合戦のようです。

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