インドネシアのバリ・ヒンドゥー教の歴史とおすすめ寺院

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バリ子

バリ・ヒンドゥーはジャワから伝来したヒンドゥー教や仏教に土着の宗教が融合して生まれました。最高神サン・ヤン・ウディの存在もバリ・ヒンドゥー独特のもの。ヒンドゥー教の寺院はバリ島の歴史そのものであると同時に住民が日常的に祈りをささげる聖地。神秘にふれてパワーを得られる寺院をめぐってみませんか。

インドネシア国民の約9割がイスラム教徒ですが、バリ島ではヒンドゥー教徒が9割を占めています。もともとバリ島には隣接するジャワ島から仏教やヒンドゥー教が4~5世紀に伝わっていました。また、インドネシアの広範囲を支配していたマジャパイト王国はヒンドゥー教国でしたが、16世紀ごろ、イスラム勢力の台頭により、ヒンドゥー教徒たちは追われる形でバリへ移動していきました。その結果、マジャパイト王国に仕えていた僧侶や貴族、工芸技師たちが大勢バリ島に住み着くことになり、バリ島のヒンドゥー教化が一気に進んだと言われています。

その後、第二次世界大戦を経て、インドネシアは共和国として独立しましたが、国教をイスラム教に定めず、公認宗教として「イスラム教」「カトリック」「プロテスタント」「仏教」「儒教」「ヒンドゥー教」を制定しています。ただ、インドネシア共和国の憲法における建国五原則のひとつが「唯一至高の神」であったことから、多神教であるヒンドゥー教は窮地に立たされました。ヒンドゥー教の宗教家たちは唯一神(最高神)「サン・ヤン・ウィディ」を作り出し、ビシュヌ(生命維持の神)、ブラフマ(創造の神)、シヴァ(破壊の神)などヒンドゥー教の神々は、サン・ヤン・ウィディの化身であると主張したことで、国から公認されたとのことです。このような経緯だけでなく、バリ・ヒンドゥーは仏教や土着の宗教の影響を受けて独自の宗教観を持つに至ります。その代表的なものが「二元論」。すべての物事には善と悪、生と死といった相反するものがバランスよく存在し、このバランスが崩れると災いが起こる、というものです。

こうしたバリ独特のヒンドゥー教は、バリ島住民の精神に宿り、日常生活になくてはならないものとなっています。ヒンドゥー教寺院には年中お祈りを捧げる住民の姿が後を絶ちません。
今回はバリ島を深く知るために、訪ねておきたい寺院をご紹介しましょう。

バリ・ヒンドゥー教寺院には以下のような特徴があります。
1.メル(何層もの屋根を持つ塔)・・・聖なる山「アグン山」を表すとされ、一般的に奇数の屋根を持っています(中には偶数のものもある)。最高は11層。
2.チャンディ・ブンタル(割れ門)・・・寺院の入口にある左右対称の割れ門。善と悪、陰と陽など表裏一体を表現し、人間は完全ではないということを表しているとか。邪気のあるものは通れないそうです。
3.デドゥン(傘)・・・寺院を彩る傘は降臨する神様を迎えるためのもの。赤はブラフマ神、黒はビシュヌ神、白と黄はシヴァ神を表しています。

ブサキ寺院(バリ島東部)

バリ・ヒンドゥー教の総本山。16世紀ごろ、ゲルゲル王朝時代に王家の葬儀に使われたとされ、その名が広まりました。大小30もの寺院の集合体と、ヒンドゥー教の3大神、ブラフマ、ビシュヌ、シヴァを祀る3寺院があります。バリ島の最高峰、聖なるアグン山の麓に建てられ、敷地内には11層ものメルがいくつも建ち並び、荘厳な雰囲気が漂う寺院です。ブサキ寺院を見学するには寺院専属ガイドを雇わなければならず、それが高額なことからかつてはトラブルが頻発し、旅行会社がツアーを中止していましたが、近年はそれらも減少傾向にあり、ツアーも再開されつつあります。

ヒンドゥー教の総本山ブサキ寺院は正装した参拝客が後を絶たない。

タマン・アユン寺院(バリ島中部)

バリ島でブサキ寺院に次ぎ2番目に大きい寺院。ゲルゲル王朝の後ろ盾だったムングィ王国の国寺として1634年に建立されました。タマン・アユンとはインドネシア語で「美しい公園」を意味します。周囲を濠で囲まれているのが特徴で、敷地内にはアグン山を模した10基のメルがそびえています。

メルが立ち並ぶさまはまさに「美しい公園」。

ティルタ・ウンプル寺院(ウブド北部)



ウブドの北部、タンパシリンからさらに北にある寺院で、「聖なる泉の湧く寺院」として知られています。寺院の外側には泉の水を引いた沐浴場があり、祭礼や満月、新月の日にはヒンドゥー教徒が体を清めに訪れます。

タナ・ロット寺院(バリ島中部)

「世界一美しい夕日のスポット」として知られるタナ・ロット寺院。16世紀にジャワの高僧がこの地を訪れ、あまりの景観の素晴らしさに「神々が降臨するにふさわしい場所」として寺院の建立を村人に勧めたと言われています。満潮時は海に浮かぶように建っていますが、干潮時は寺院まで歩いて渡ることができます。寺院そのものをシルエットに沈む夕日は一見の価値あり。

誰もが心をつかまれるサンセットの風景。

ウルワツ寺院(バリ島南部)



ウルワツとは「岬」を意味し、インド洋に面した断崖絶壁に建っています。建立は10世紀ごろでヒンドゥー教の3大寺院のひとつ。16世紀にジャワの高僧がパドマサナ(最高神サン・ヤン・ウディを祀る3層のメル)を建立したと言われています。タナ・ロット寺院と並ぶサンセットのスポットとしても有名です。

ウルン・ダヌ・プラタン寺院(バリ北部)



ウルン・ダヌとは「湖の先」の意味で、湖の上に浮かぶように建っています。タナ・ロット寺院同様、“絵になる”寺院として有名。1633年にムングィ王によって建立され、湖上にある11層のメルには湖の神デウィ・ダヌが祀られています。

JTBでは、タマン・アユン寺院とタナ・ロット寺院の見学に夕日鑑賞とディナーをセットにしたツアーをご用意しています。バリ・ヒンドゥーの代表的な寺院と、1番の見どころであるサンセットをお楽しみください。

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